最終更新日 2024年3月4日
このページは、市長の新年度の市政執行方針演説を掲載したものです。
本日、令和6年度当初予算案及び関係議案を提出するにあたり、新年度における市政執行の基本方針について所信を申し上げます。
はじめに、1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
このたびの地震では、本市も大きな揺れに襲われ、家屋の損壊もあったほか、寺泊地域で津波を観測し、多くの皆様が高台に避難しました。そうした状況と教訓を踏まえ、現在、津波対策の強化に取り組んでおります。
また、被災地へは、市職員を派遣し、市内の民間事業者と連携して復旧活動や物資の提供を行ってまいりました。引き続き、復旧・復興を支援してまいります。
今年は中越大震災と7.13水害から20年の節目の年です。激甚化・頻発化する自然災害を踏まえ、改めて防災への意識を高めるとともに、防災・減災への取組を一層進めてまいります。併せて、能登半島地震を踏まえた避難指示の発令基準の改定、情報発信の多重化などの津波対策と、「市町村による原子力安全対策に関する研究会」の活動などを通じた原子力防災にしっかりと取り組んでまいります。
さて、世界情勢はますます混迷が深まり、国内の政治・経済の先行きは見通せず、国際競争力の低下も危惧される中、価値観や生活様式の多様化などの変化がかつてないスピードで進んでいます。さらに、AI(人工知能)の進化と普及は、急速な技術革新と競争力の飛躍をもたらし、社会のあり方自体が大きく変わろうとしています。
こうした激動の時代こそ、長岡のまちづくりの原点である「米百俵の精神」と「市民協働」に立ち返り、オール長岡で一致団結し、あらゆる災害や社会の変化を乗り越えてまいります。そして、「長岡版イノベーション」を加速させ、地域力の向上や経済の成長を通じて、安全安心に暮らせる明るい未来を実現するまちづくりを進めてまいります。
昨年暮れに報道されました「共働き子育てしやすい街ランキング」で、長岡市は北信越1位、全国18位、とりわけ、「保育の質」部門では全国トップとなりました。子育て日本一を目指し、引き続き保育や子育て環境の整備に取り組むとともに、発達段階における相談体制も充実させ、子どもの成長を社会全体で支えてまいります。
さらに、子どもたちや若者には、ロボコンやプログラミング、AIをはじめ、新しいことに挑戦できる場の提供などを通じて、未来を担う人材の育成をさらに進めてまいります。
また、地域の生活道路などの身近なインフラ整備や支所長判断による緊急時の機動的な対応を充実させることで、安全安心な暮らしを守ります。
併せて、健康づくりを推進し、質の高い介護サービスを確保するなど、福祉・医療のさらなる充実を図るとともに、猛暑や豪雨、豪雪などへの対策やクマ・イノシシなどの鳥獣被害対策についても、さらに強化してまいります。
そして、今後も、女性活躍の推進や多様性(ダイバーシティ)の確保、地域コミュニティ活動への支援などを通じて、誰もがいきいきと暮らせる「地域共生社会」の実現に取り組んでまいります。
昨年7月、「米百俵プレイス ミライエ長岡」の西館がオープンしました。新しい互尊文庫を中心に、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方からご利用いただき、新たな出会いと交流の場、学びの場となっています。そして、4大学1高専や産業界の活動拠点であるNaDeC BASEをはじめ、スタートアップやベンチャー企業、研究開発機関等も入居し、さまざまな企業人や起業家、研究者が共に活動しています。
ミライエ長岡を人材育成と産業振興の拠点として、全国、世界から多様な人材が集い、交流しながら、次々にイノベーションを生み出す開かれた場にしてまいります。
また、長岡駅周辺では、首都圏企業のサテライトオフィスの設置などが相次いでいます。若者の起業・創業も着実に増え、長岡で暮らしながら首都圏企業にリモートワークで勤める「ナガオカ ワーカー」は、今年100人を超える見込みで、長岡定着につながっております。
今後も若者や女性が能力を存分に発揮できる働く場の創出を図り、人と企業から選ばれるまちづくりを進めてまいります。併せて、脱炭素化と再生可能エネルギーの導入、スマート農業やバイオエコノミー等の推進により、地域経済を活性化してまいります。
また、摂田屋・宮内地区や支所地域等の豊かな歴史文化と観光資源を活かした広域観光を進めるとともに、効果的な魅力の発信により、交流・定住人口の拡大につなげてまいります。
以上を踏まえ、「災害に強く安全安心なまちづくり」と「明るい未来をつくる成長戦略」に重点を置き、全力で市政運営に邁進する決意です。長岡に受け継がれてきた「米百俵の精神」のもと、10年後、100年後につながる明るい未来を目指し、まっすぐに進んでまいります。
新年度の財政状況について、基幹収入である市税は国による定額減税の影響で減額するものの、地方交付税、地方特例交付金などの税外収入を含めた一般財源総額は前年度より増加すると見込んでいます。歳出では、これを上回る物価等の上昇に伴う固定費の増加が見込まれますが、一方で、長岡の未来に向けた取組もしっかりと進める必要があります。
こうしたことから、予算編成にあたっては、国・県支出金や交付税措置が有利な起債など、特定財源をこれまで以上に活用するとともに、財政調整基金を39億円取り崩して対応することといたしました。
令和6年度当初予算は、以下申し上げる4つの柱に基づき、各種の重点施策を行ってまいります。
第1の柱 災害に強く誰一人取り残さない安全安心なまちづくり
中越大震災と7.13水害から20年の節目となる年に能登半島地震が発生したことを踏まえて、沿岸部の津波対策や原子力防災の推進、地域防災力の強化など災害への備えを進めます。
配慮を要する子どもと保護者、不登校児童生徒への相談・支援体制を整備するとともに、子ども食堂や民間の放課後児童クラブへの支援を拡充します。さらに、認定こども園などの保育環境を整備することで、子どもの成長と子育てを切れ目なく社会全体で応援する環境づくりを進めます。
健康づくりの推進と医療・福祉の充実として、全市民参加型の「ながおかウェルネス事業」で健康寿命の延伸に向けた取組を充実させます。
また、介護事業所等の見守りセンサー付きベッドマットなどの導入支援を通じて、質の高い介護サービスを確保するほか、ひきこもり相談・支援体制を強化するなど、年齢や障害の有無などにかかわらず、誰もが安心していきいきと暮らすことのできるまちづくりを進めます。
中山間地域などで発生する小規模災害の応急対応や、住民サービス等への対応を強化するため、支所長が独自の判断で機動的に使用できる予算を拡充します。さらに、集落支援員と地域おこし協力隊員を増やして人口減少対策や地域課題への取組を強化するほか、鳥獣被害対策の拡充や、地域の生活道路の緊急対策工事を実施するなど、全市域のインフラの維持やコミュニティ活動への支援等を進めます。
第2の柱 「新しい米百俵」による人材育成と産業振興「長岡版イノベ-ション」の推進
「米百俵プレイス ミライエ長岡」西館を核として、中高生の起業家精神を育むためのアントレプレナー塾を開催し、4大学1高専の学生と若手経営者・起業家との交流会を実施するなど、若者の人材育成を進めるとともに、AIやデジタルアートなど進化する技術に対応したデジタル人材を育成します。さらに、中学校部活動の地域移行に向けた環境を整備するほか、小学校のスクール・サポート・スタッフを増員することで、教員が子どもと向き合う時間を一層確保します。
産業協創の拠点NaDeC BASEを中心にイノベーションの創発に取り組むほか、新築住宅のZEH(ゼッチ)化や太陽光パネル・蓄電池の導入を支援します。また、持続可能な農業の実現に向け、枝豆の残さを家畜飼料に加工する実証実験を支援するなど、循環型社会に対応するための取組を進めます。
官民連携により企業のデジタル化を支援し、DX推進体制の整備を促進するほか、市内企業が行う留学生インターンシップの支援を強化します。さらに、ながおかペイやポッキリパスポート、ECサイトによる切れ目のない消費喚起や、住宅リフォームに対する支援の拡充などの物価高騰対策のほか、商工業や農業、建設業など地域のあらゆる産業と経済を下支えする取組を行ってまいります。
第3の柱 長岡を元気にする活動の推進と魅力の発信
あらゆる分野での女性の活躍を一層推進するため、ネットワークづくり交流会やセミナーを開催します。
また、スポーツによるまちづくりを進めるため、新たに将来の地域スポーツイベントや障害者のスポーツ活動を支える指導者や運営スタッフなどの人材の育成・確保を図るほか、eスポーツを通じた関係・交流人口の創出と体験機会の拡大に取り組みます。
長岡の歴史文化を後世に継承し、観光資源を活かしたまちづくりを進めるため、旧互尊文庫に長岡戦災資料館を移転整備するほか、全国闘牛サミットの長岡大会を開催します。
長岡の魅力発信により交流・定住人口の増加を図るため、民間を含めた市内のイベント情報をAIで自動収集して、タイムリーに発信する情報サイトを構築するほか、市内宿泊客への名産品プレゼントキャンペーンを実施します。さらに、ふるさと納税やクラウドファンディングを活用して、長岡ファンの獲得に積極的に取り組みます。
第4の柱 効率的で持続可能な行政運営
社会経済情勢の変化に対応し、持続可能な行政運営を行うため、先端技術を取り入れながら行政サービスの質の向上を図りつつ、業務の効率化を進めます。
以上申し上げた施策に基づく令和6年度の当初予算の規模は、一般会計が1,339億8,500万円と、前年度より3.1%、約40億円の増加となりました。
なお、特別会計と企業会計の合計は858億5,290万円、総予算額は2,198億3,790万円であります。
以上、令和6年度の市政執行にあたっての私の所信と当初予算の重点施策を申し上げました。
議員各位の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
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