最終更新日 2023年3月2日
このページは、市長の令和5年度市政執行方針演説を掲載したものです。
本日、令和5年度当初予算案及び関係議案を提出するにあたり、新年度における市政執行の基本方針について所信を申し上げます。
世界情勢の混迷が深まる中、新型コロナウイルス禍と物価高騰により、市民生活は大きな影響を受けています。
しかし、先を見通すことが困難な今こそ、新しい視点と価値観で長岡の課題に取り組み、明るい未来をつくるために大きく踏み出す必要があります。
そこで、新年度をDX元年と位置付け、改めて行財政の課題を洗い出し、デジタル技術を活用した効率化に取り組みます。また、女性活躍の推進と多様性の確保、新しい価値の創出を共通の視点とし、あらゆる分野で変革を促すとともに、新しい時代に求められる人材を育成し、「選ばれるまち長岡」の実現に向けた取組を力強く進めてまいります。
選ばれるまちの実現には、誰もが快適で安全安心に暮らせることが基本です。安心して子どもを産み、育てられる環境を充実させるため、健診や発達相談体制を強化するなど、きめ細かい子育て支援に取り組んでまいります。
そして、引き続き医療体制の確保と福祉・教育のさらなる充実を図るとともに、災害対策や身近な生活環境の整備、地域コミュニティ力の強化にもしっかりと取り組んでまいります。
さらに、あらゆる分野で女性が個性と能力を十分に発揮できる「女性活躍の推進」に取り組むとともに、性別や国籍を問わず、さまざまな価値観の人が活躍する、多様性のある「地域共生社会」の実現に力を入れてまいります。
いよいよ今年の7月22日に、人材育成と産業振興、イノベーションの拠点「米百俵プレイス ミライエ長岡」が先行オープンいたします。新しい互尊文庫や、子どもから高齢者まで誰もが気軽に立ち寄れる学びの場、そして市内4大学1高専や産業界の関係者が集い、若者の起業・創業と産業ビジネスを支援する拠点が誕生します。
ミライエ長岡を「新しい米百俵」による人材育成、「長岡版イノベーション」をさらに加速させる拠点として、新しい価値の創造による活力あるまちづくりを推進し、日本初の「イノベーション地区」創設を目指してまいります。
現在、長岡北スマート流通産業団地は完売が見込まれ、中之島見附ICの近隣に新たな産業団地の整備を進めています。また、長岡駅前では、首都圏企業のサテライトオフィスやコワーキングの民間拠点も次々に誕生するなど、これまで「長岡版イノベーション」の推進によって産業の拠点性を高め、働く場の創出に取り組んできた政策の成果が着実に表れてきています。
引き続き、企業誘致をはじめ、地元企業へのU・Iターンを促進するとともに、専門的な知識や技術を持つベトナムやモンゴルなどの外国人材のインターンシップ事業を進めてまいります。そして、地域産業のデジタル化・DX支援やデジタル地域通貨「ながおかペイ」のさらなる活用、スマート農業、バイオエコノミー、脱炭素・省エネ等の推進により、地域経済の好循環を生み出してまいります。
併せて、長岡の魅力発信や観光拠点の整備を進め、長岡まつり大花火大会はもとより、感染禍で中止していた様々なイベントを復活・開催することにより、観光・交流人口の拡大を図り、地域の活性化につなげてまいります。
以上を踏まえ、「選ばれるまち長岡」の実現に向けて、「市民生活の安定と向上」と「選ばれるための成長戦略」に重点を置き、全力で市政運営に邁進する決意です。
受け継がれてきた「米百俵の精神」のもと、市民、事業者、団体など、オール長岡で一致団結し、長岡の明るい未来を創ってまいります。
新年度の財政状況について、歳入は停滞していた景気に持ち直しの動きがみられ、基幹収入である市税などの増加が見込まれる一方で、歳出はエネルギー価格や物価の高騰の影響を大きく受けるなど、これまでとは異なる厳しいものとなりました。
このような状況下での予算編成にあたっては、国・県支出金や交付税措置のある有利な起債など、特定財源を有効に活用するとともに、不足する財源については、財政調整基金を32億円取り崩して対応することといたしました。
令和5年度当初予算は、以下申し上げる5つの柱に基づき、各種の重点施策を行ってまいります。
第1の柱 快適で安全安心に暮らせるまちづくり
5歳児健康相談会を開催して発達特性のある子どもと保護者への支援を強化するとともに、産婦健康診査費用の助成や3歳児健診時の視力屈折検査を新たに導入するなど、妊産婦と子どもの健診体制を充実させることで、妊娠から出産、子育てまでを応援する取組を強化します。
医療・福祉の充実と健康づくりの推進として、障害者の緊急相談を24時間体制で受け付ける地域生活支援拠点を整備するほか、認知症の人と家族を支援するプログラムを実施します。
未来を担う若者が地域に愛着を持ち続けられるよう、遠距離通学する高校生に対してバス定期代を支援するとともに、支所地域に高校生が集える場を整備します。また、コミュニティ推進組織と支所が一体となって進める住民サービスや地域課題への対応を強化します。
地域に精通した地元業者が公共土木施設を包括的に維持管理する範囲の拡大や、路線バスの位置情報配信システム「ながおかバスi」の再構築などにより、身近な生活環境を整えます。また、女性の視点から地域防災活動等に必要な対策を検討する有識者懇談会を設置し、災害対応力を強化します。
第2の柱 「新しい米百俵」による人材育成
「米百俵プレイス ミライエ長岡」西館でオープニングイベント等を実施するほか、同館に移転する互尊文庫や NaDeC BASEにおいて、新たなにぎわいと価値を創出します。
「長岡ワークモデル」の普及や多様な人材の活用を図り、学生などの起業・創業を推進するため、ミライエ長岡のイノベーションサロンで起業相談を実施します。また、海外の高専や工科大の生徒がインターンシップする際の市内企業の受入れを支援するなど、外国人材が活躍できる環境を整備します。
未来を担う人材の育成として、中学校のスポーツや芸術文化の部活動の地域移行に向けた環境を整えるほか、登校や外出が困難な子どもたちへの支援体制を充実させ、居場所づくりを進めます。
第3の柱 「長岡版イノベーション」による成長戦略と地域経済の活性化
日本初の「イノベーション地区」創設を目指し、デジタル技術の活用や居心地の良いまちなかを実現するため、イノベーション創発の調査研究を進めます。また、産学官の協創拠点となる新生NaDeC BASEで企業人材を活用し、様々な連携プロジェクトを実施します。
「長岡市カーボンニュートラル チャレンジ戦略2050」により、循環型社会の実現に向けた取組を推進し、コミュニティセンターや体育館の照明のLED化など、公共施設の光熱費節減の取組を積極的に進めます。
地域と行政のDXの推進は、農作業の負担軽減や生産性の向上が図られる先端機器の導入を支援することで、女性や若者も就農しやすい長岡版スマートアグリを推進します。また、行政窓口のデジタル化を進めて手続きや窓口サービスの利便性を向上させます。
人員の確保に悩む市内企業と柔軟に働きたい市民のニーズをマッチングして、多様な働き方を提案する「長岡版ワークシェアリングシステム」の構築に向けた実証実験を行います。また、デジタル地域通貨「ながおかペイ」の決済時ポイント付与キャンペーンを通じて、地域経済の活性化に取り組みます。
第4の柱 長岡を楽しく元気にする活動の推進と魅力発信
人々の活動が元に戻りつつある中で、若者から高齢者まで誰もが参加できて元気になれる機会を創出するため、eスポーツなどの体験イベントや高齢者向けのスマホ教室を開催します。さらに、地域住民を「スマホアンバサダー」として養成し、交流しながらデジタル技術を学ぶことができる環境をつくります。
長岡の歴史を後世に継承するため、戦災資料館の移転整備に着手します。また、観光事業者とともにデータマーケティングによる新たな観光誘客や商品の開発に取り組むことで、地域ブランド「越後長岡」を活用した観光振興を強化します。
長岡の魅力発信により交流・定住人口の増加を図るため、お試し移住の取組を拡充するほか、市内4か所の道の駅の観光周遊拠点としての機能を強化するためのイベントを開催します。
第5の柱 持続可能な行財政運営プランの着実な推進
令和2年度に策定した行財政運営プランに基づき、社会経済情勢の変化に対応していくために、先端技術を取り入れながら行政サービスの質の向上と業務の効率化を図るとともに、公共施設の見直しなど行財政全般の再構築に引き続き取り組みます。
以上申し上げた施策に基づく令和5年度の当初予算の規模は、一般会計が1,299億8,700万円と、前年度より1.5%、約20億円減少しましたが、新型コロナウイルスワクチン接種事業費等の前年度の特殊事情を除く実質的な規模では1,224億1,954万円で、前年度より3.8%、約45億円の増加となりました。
なお、特別会計と企業会計の合計は875億7,810万円、総予算額は2,175億6,510万円であります。
以上、令和5年度の市政執行にあたっての私の所信と当初予算の重点施策を申し上げました。
議員各位の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
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