○長岡市集団救急事故対策要綱
平成4年3月18日
消防本部訓令第4号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 部隊の出動等(第4条―第7条)
第3章 現場活動(第8条―第15条)
第4章 雑則(第16条・第17条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、長岡市消防本部警防規程(平成4年長岡市消防本部告示第1号)第41条第1項の規定に基づき、集団救急事故(自然災害、交通事故、ガス爆発又は、その他の災害により、多数の傷病者が発生した事故をいう。)を対象として、救急隊等の効率的な運用と関係機関との連携により、総合力をもって迅速、かつ、安全に傷病者の救出救護を図ることを目的とする。
(運用の基準)
第2条 この要綱の運用基準は、次のとおりとする。
(1) 10人以上の傷病者の発生が予想される場合
(2) 救急隊等5隊以上を集中的に運用する必要がある場合
(3) その他警防本部長が必要と認める場合
(活動の原則)
第3条 消防部隊の現場活動においては、医療機関、警察その他関係機関と連絡を密にし、傷病者の効率的な救護に当たるとともに、救急活動については、傷病者の適切な選別(以下「トリアージ」という。)を行い、重傷者を最優先として必要な応急処置を施した後、それぞれの傷病者に適応した医療機関に迅速かつ、安全に搬送することを原則とする。
第2章 部隊の出動等
(出動区分)
第4条 警防本部長は、災害若しくは事故(以下「災害等」という。)の通報内容又は出動部隊の長からの報告によって集団救急事故と判断される場合は、別表第1に掲げる「集団救急事故出動計画表」に基づき、所要部隊等を出動させるものとする。
(他消防機関への応援要請)
第5条 警防本部長は、他消防機関の応援が必要と認めるときは、新潟県広域消防相互応援協定及び中部消防相互応援協定に基づき、応援要請を行うものとする。
(災害派遣医療チームの派遣要請)
第6条 警防本部長は、災害派遣医療チーム(以下「DMAT」という。)の派遣が必要と認めるときは、新潟県DMAT運営要綱(平成20年3月31日付け医第3073号新潟県福祉保健部長通知)に基づき、新潟県知事に派遣の依頼をするものとする。
2 警防本部長は、緊急やむを得ない事情により前項の依頼をするいとまがないときは、指定病院の長に対して、DMATの派遣を要請するものとする。
(その他の関係機関への応援要請)
第7条 警防本部長は、その他の関係機関の応援が必要と認めるときは、当該関係機関の長に応援要請を行うものとする。
第3章 現場活動
(先着隊による措置)
第8条 先着隊は、後着隊等が到着するまでの間、次の順位に従い必要な措置を行うものとする。
(1) 災害等の状況把握と報告
ア 災害状況の即報(災害発生場所・発生原因・傷病者、要救助者数等)
イ 二次災害発生危険の有無の確認
ウ 必要とする隊、資器材の応援要請(後着隊等の集結場所等)
(2) 傷病者の救出救護
(3) 災害等の現場における警戒区域の設定、後着隊等の進入、退出路の確保
(現場指揮本部の設置)
第9条 警防本部長は、現場指揮本部の設置が必要と認めるときは、これを設置するものとする。
2 現場指揮本部の班は、長岡市消防本部警防規程に定める「班」とし、編成は別表第4、任務分担は別表第5のとおりとする。
3 現場指揮本部は、次の事項に留意して災害現場で最も適した場所に設置するとともに、現場指揮本部旗を掲げてその位置を明確にするものとする。
(1) 現場全体が把握でき、かつ、消防部隊の集結が容易な場所
(2) 二次災害のおそれのない場所
(3) 通信障害の少ない場所
(4) 関係機関との連絡、調整が容易な場所
(現場救護所の設置)
第10条 現場救護所は、現場指揮本部設置時又は必要により設置するものとする。
2 現場救護所は、次の事項に留意して災害現場において最も適した場所に設置するものとし、「現場救護所」と表示する。
(1) 現場指揮本部との連絡が容易な場所
(2) 二次災害のおそれのない場所
(3) 出場隊の進入、退出路が別系統で確保が可能な場所
(4) 群衆の混乱による活動障害がなく、地形平坦で広い場所
(5) 通信障害が少ない場所
3 現場救護所には、トリアージ分類による傷病者の搬送位置を、トリアージシート等で明示し、指定しておくものとする。
4 現場救護所の任務分担は、別表第6に定めるところによる。
5 現場救護所の指揮者は、DMAT等が現場に出動した場合は、密接な連携の下に行動するものとする。
(消防部隊の任務)
第11条 消防部隊の任務分担は、別表第7に定めるところによる。
2 現場指揮本部及び現場救護所の設置に必要な資器材は、別表第8のとおりとし、消防本部庁舎の搬出に容易な場所に保管しておき、連絡車等で搬送するものとする。
(トリアージの方法)
第12条 現場救護所で行うトリアージの方法と負傷者の取扱いは、次の事項により実施するものとする。
(2) トリアージタッグの記入にあたっては、救命効率の向上を図るため所要事項についてはとりあえず知り得た範囲で記入し、時間の浪費をさけること。
トリアージタッグ | 担当 | 記載事項 |
1枚目 災害現場用 | 現場救護所(受付分類担当) 病院搬送救急隊 | 1 現場救護所(受付分類担当)は、性別及び負傷部位を記載後、病院搬送救急隊へ提出する。 2 病院搬送救急隊は、氏名、年齢及び搬送救急隊名を記載し、救護担当指揮者へ提出した後、搬送する。 |
2枚目 搬送機関用 | 病院搬送救急隊 | 病院搬送救急隊は、搬送途上等において1枚目の未記入事項の調査及び記載をして持ち帰り、救護担当指揮者へ提出する。 |
3枚目 収容医療機関用 | 警防班 (病院担当) | 警防班(病院担当)は、搬送先医療機関で、傷病者に表示してあるトリアージタッグの調査内容を警防本部に報告する。 |
緊急度分類による搬送医療機関の決定は、次によるものとする。
① 第1順位……救命救急センター及び第3次医療機関へ搬送するものとするが、心肺そ生法を継続している傷病者等緊急に救命措置を必要とするものは、直近の医療機関へ搬送する。
② 第2順位……第2次医療機関へ搬送する。
③ 第3順位……第1及び第2順位の傷病者の数と医療機関の収容能力を考慮し、その他の適応医療機関へ搬送する。
④ 第4順位……原則として搬送活動は行わない。
(消防団の出動)
第13条 消防団は、消防長が災害の状況等により必要と認めた場合に出動するものとする。
2 消防団部隊の指揮者は、現場到着したときは、速やかに現場指揮本部長に報告をするとともに、警戒支援活動等の任務に従事するものとする。
(医療情報)
第14条 指令室は、集団救急事故が発生したときは、速やかに医療機関の傷病者の受入れ状況の調査に着手するとともに、その状況を現場指揮本部へ速報するものとする。
2 住民に対しては、状況に応じ広報活動を行うものとし、報道関係者に対しては、速報、中間情報、まとめ等段階的に発表するものとする。
3 住民に対する広報は、災害現場における二次災害又は活動による危険防止を重点に、拡声器等を活用して行うものとし、報道関係者に対する広報は、広報担当者が専従して行うものとする。
第4章 雑則
(訓練)
第16条 この要綱の円滑な運用を図るため、集団救急事故に関する訓練を実施するものとする。
2 総合訓練を実施する場合等、必要により関係機関の協力を求めるものとする。
(その他)
第17条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附則
この要綱は、平成4年4月1日から施行する。
附則(平成8年10月1日消防訓令第1号)
この要綱は、公表の日から施行する。
附則(平成17年3月31日消防訓令第10号)
(施行期日)
1 この要綱は、公表の日から施行する。
(経過措置)
2 この要綱の施行の日から平成17年4月30日までの間における改正後の別表第2の規定の適用については、同表中「三条市」とあるのは、「三条地域」とする。
附則(平成17年12月28日消防訓令第26号)
この要綱は、平成18年1月1日から施行する。
附則(平成20年3月27日消本訓令第10号)
この要綱は、平成20年4月1日から施行する。
附則(平成22年3月30日消本訓令第4号)
この要綱は、平成22年3月31日から施行する。
附則(平成25年3月29日消本訓令第6号)
この要綱は、公表の日から施行する。
附則(平成26年3月20日消本訓令第5号)
この要綱は、平成26年4月1日から施行する。
別表第1(第4条関係)
集団救急事故出動計画表
区分 | 出動隊 | 出動車両 | 摘要 |
第一出動 | 傷病者10人以上 救急分隊 4隊 救助分隊 2隊 消防分隊 1隊 | 指揮隊車 1台 救急車 4台 救助工作車 2台 ポンプ車又はタンク車 1台 | ○ 出動部隊の編成は、直近編成運用とする。 ○ ポンプ車等で出動する分隊は連絡車等に分乗して2台出動とする(以下同じ。)。 ○ 非番招集を開始する(以下同じ。)。 ○ 必要により現場指揮本部及び現場救護所を設置する(以下同じ。)。 |
第二出動 | 傷病者20人以上 救急分隊 3隊 消防分隊 3隊 | 救急車 3台 ポンプ車又はタンク車 3台 | ○ 続発救急に備えるため、応援協定市町村に対して、必要に応じて応援出動要請を行う(以下同じ。)。 |
第三出動 | 傷病者30人以上 応援救急分隊 応援救助分隊 非番部隊 | 救急車 救助工作車 ポンプ車又はタンク車 | ○ 出動隊及び出動車両は、現場指揮本部の指揮者が決定する。 |
(注) 現場の状況に応じて、出動部隊の増減及び車両種別の変更をすることができる。 |
別表第2 削除
別表第3 削除
別表第4(第9条関係)
現場指揮本部の編成
別表第5(第9条関係)
現場指揮本部の任務分担
任務 担当 | 担当者 | 任務 |
現場指揮 本部長 | 警防副本部長又は署隊長 | 1 現場指揮本部の統括指揮 2 出動部隊の統括指揮 |
幕僚 | 署隊長 各班長 大隊長 本部長の指定する者 | 1 現場活動方針の検討 2 応援要請 3 消防団の運用 4 特命指揮(消防部隊の指揮) 5 本部長の命令事項 |
本部員 | 指揮隊 | 1 消防部隊の指揮補助 2 警防本部との情報連絡 |
警防班(病院担当) | 警防副班長 班員 | 1 医療機関の収容状況等の調査 2 傷病者発生状況等の調査(別記様式1災害記録票により調査及び報告) |
予防班 情報広報担当 | 予防副班長 班員 | 1 災害状況の調査及び速報(別記様式2災害速報記録票により速報) 2 住民又は報道機関に対する広報 |
庶務班(調達担当) | 庶務副班長 班員 | 1 資器材等の調達、補給 2 関係機関との連絡、調整 |
(注) 現場指揮本部の編成は、現場の状況に応じて縮小することができる。 |
別表第6(第10条関係)
現場救護所の任務分担
任務 担当 | 担当者 | 任務 | 備考欄 |
指揮者 | 救急小隊長 | 1 現場救護所の指揮 2 現場指揮本部との連絡 3 必要資器材の調達 |
|
受付分類担当 | 救急隊員 | 1 搬入傷病者の記録 2 傷病者のトリアージ 3 トリアージタッグの交付 4 収容場所の指示 | 現場に医師がいる場合は協力を求める。 |
救急処置担当 | 救急隊員 | 緊急度分類表に応じた救命処置及び応急処置 | 現場に医師がいる場合は、その指示に従って処置を行う。 |
救急車運用担当 | 救急隊員 | 1 緊急度分類表に基づく搬送順位の決定 2 救急車への収容人員の調整 3 搬送先医療機関の指示 |
|
別表第7(第11条関係)
消防部隊の任務分担
任務 担当 | 担当隊 | 主要任務 |
救護担当 | 救急隊 応援救急隊 | 1 傷病者の病院搬送及び救急車運用担当との連絡 2 トリアージタッグの記載及び提出 (1枚目→搬送前に現場救護所指揮者へ) (2枚目→搬送後に現場救護所指揮者へ) 3 医療機関の収容状況の情報収集及び報告 |
救出担当 | 救助隊 応援救助隊 | 1 傷病者の救出、救護及び二次災害の防止 2 救急隊及び医療救護班との連絡 3 現場指揮本部への要救助者の状況報告 4 救出及び救護完了後の情報収集 |
警防担当 | 消防隊 | 1 受付分類班との連絡 2 傷病者の担架搬送、介添歩行及び避難誘導 3 現場指揮本部への要救助者の状況報告 |
消防隊 消防団部隊 | 1 警戒区域の設定及び当該区域への立入制限 2 災害現場及び傷病者搬送路の照明作業等 3 救出、救護の支援及び二次災害の防止 |
別表第8(第11条関係)
現場指揮本部及び現場救護所の設置用資機材
資機材名 | 保管場所 | 数量 | 備考 |
テント | 消防本部庁舎 | 3張 | |
机 | 〃 | 3脚 | |
椅子 | 〃 | 3脚 | |
ホワイトボード | 〃 | 2枚 | |
現場指揮本部旗 | 〃 | 1旗 | |
現場救護所旗 | 〃 | 1旗 | |
携帯無線機 | 〃 | 必要数 | |
拡声機 | 〃 | 1台 | |
照明器具 | 〃 | 必要数 | |
非常用担架 | 〃 | 20基 | |
保温用毛布 | 〃 | 40枚 | |
トリアージシート | 〃 | 2組 | |
ブルーシート | 〃 | 7枚 | |
非常用救急資器材 | 〃 | 必要数 | |
※その他必要資機材 |
別表第9(第12条関係)
緊急度分類表
優先度 | 分類 | 色別 | 区分 | 傷病者の病態 |
第1順位 | 緊急治療群 | 赤 | Ⅰ | 生理学的評価に異常があるもの 救命処置を必要とするもの |
第2順位 | 非緊急治療群 | 黄 | Ⅱ | 治療の遅延が生命危機に直接つながらないもの 歩行不能 |
第3順位 | 治療不要若しくは軽処置群 | 緑 | Ⅲ | 歩行可能 必ずしも専門医の治療を必要としないもの |
第4順位 | 救命困難群若しくは死亡群 | 黒 | 0 | 心肺蘇生を施しても蘇生の可能性の低いもの又は死亡しているもの |