○長岡市指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準
平成25年3月29日
公告第84号
介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第78条の4第1項及び第2項の規定に基づく長岡市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例(平成24年長岡市条例第52号。以下「基準等条例」という。)並びに第115条の14第1項及び第2項の規定に基づく長岡市指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準等に関する条例(平成24年長岡市条例第53号。以下「予防基準等条例」という。)の趣旨及び内容は、次のとおりとする。
第1 基準等条例の性格
1 基準等条例は、指定地域密着型サービスの事業がその目的を達成するために必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定地域密着型サービス事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならないこと。
2 指定地域密着型サービスの事業を行う者又は行おうとする者が満たすべき基準等を満たさない場合には、指定地域密着型サービスの指定又は更新は受けられず、また、基準等条例の規定に違反することが明らかになった場合には、①相当の期間を定めて基準等条例の規定を遵守する勧告を行い、②相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、③正当な理由が無く、当該勧告に係る措置をとらなかったときは、相当の期間を定めて当該勧告に係る措置をとるよう命令することができるものとする。ただし、③の命令をした場合には事業者名、命令に至った経緯等を公表するものとする。なお、③の命令に従わない場合には、当該指定を取り消すこと、又は取消しを行う前に相当の期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止すること(不適正なサービスが行われていることが判明した場合、当該サービスに関する介護報酬の請求を停止させること。)とする。ただし、次に掲げる場合には、基準に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに指定を取り消すこと、又は指定の全部若しくは一部の効力を停止することができるものとする。
① 次に掲げるときその他の事業者が自己の利益を図るために基準等条例に違反したとき。
ア 指定地域密着型サービスの提供に際して利用者が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき。
イ 居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を供与したとき。
ウ 居宅介護支援事業者又はその従業者から、事業所の退居者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受したとき。
② 利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき。
③ その他①及び②に準ずる重大かつ明白な基準等条例の規定の違反があったとき。
第2 総論
1 事業者指定の単位について
事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、例外的に、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等であって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。
① 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
② 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
③ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
④ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。
⑤ 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
2 用語の定義
(1) 「常勤換算方法」
当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、指定小規模多機能型居宅介護事業所と指定認知症対応型共同生活介護事業所を併設している場合であって、ある従業者が指定小規模多機能型居宅介護事業所の小規模多機能型居宅介護従業者と指定認知症対応型共同生活介護事業所の介護従業者を兼務する場合、指定小規模多機能型居宅介護事業所の小規模多機能型居宅介護従業者の勤務延時間数には、指定小規模多機能型居宅介護事業所の小規模多機能型居宅介護従業者としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。
ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第23条第1項、同条第3項又は同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置(以下「育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。
(2) 「勤務延時間数」
勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。
(3) 「常勤」
当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、母性健康管理措置又は育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。
同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、一の事業者によって行われる指定認知症対応型通所介護事業所と指定認知症対応型共同生活介護事業所が併設されている場合、指定認知症対応型通所介護事業所の管理者と指定認知症対応型共同生活介護事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従業者が労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条に規定する休業(以下「産前産後休業」という。)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(以下「育児休業」という。)、同条第2号に規定する介護休業(以下「介護休業」という。)、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置又は同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(以下「育児休業に準ずる休業」という。)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。
(4) 「専ら従事する」及び「専ら提供に当たる」
原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従事者の当該事業所における勤務時間をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。
(5) 「前年度の平均値」
① 基準等条例第84条第2項(指定小規棋多機能型居宅介護に係る小規模多機能型居宅介護従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第112条第2項(指定認知症対応型共同生活介護に係る介護従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第132条第2項(指定地域密着型特定施設入居者生活介護に係る看護職員又は介護職員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第153条第2項(指定地域密着型介護老人福祉施設における介護職員又は看護職員の員数を算定する場合の人所者の数の算定方法)及び第193条第2項(指定看護小規模多機能型居宅介護に係る看護小規模多機能型居宅介護従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1目に始まり翌年3月31目をもって終わる年度とする。以下同じ。)の平均を用いる。この場合、利用者数等の平均は、前年度の全利用者等の延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この平均利用者数等の算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
② 新たに事業を開始し、若しくは再開し、又は増床した事業者又は施設においては、新設又は増床分のベッドに関しては、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の利用者数等は、新設又は増床の時点から6月未満までの間は、便宜上、ベッド数(指定小規模多機能型居宅介護に係る小規模多機能型居宅介護従業者又は指定看護小規模多機能型居宅介護に係る看護小規模多機能型居宅介護従業者の員数を算定する場合は通いサービスの利用定員)の90%を利用者数等とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満までの間は、直近の6月における全利用者等の延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における全利用者等の延数を1年間の日数で除して得た数とする。また、減床の場合には、減床後の実績が3月以上あるときは、減床後の利用者数等の延数を延日数で除して得た数とする。ただし、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護については、これらにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により利用者数を推定するものとする。
なお、小規模多機能型居宅介護又は複合型サービスに係る指定の申請時において通いサービスを行うために確保すべき小規模多機能型居宅介護従業者又は看護小規模多機能型居宅介護従業者の員数は、基本的には通いサービスの利用定員の90%を基に算定すべきであるが、小規模多機能型居宅介護又は看護小規模多機能型居宅介護のサービス内容や報酬に照らして定員相当の利用者が集まるまでに時間を要することも考慮し、当面、新設の時点から6月未満までの間は、3以上の数であって、指定の際に事業者からあらかじめ届け出られた利用者見込数により算定することとして差し支えない。この場合において、届け出られた通いサービスの利用者見込数を超える状況となれば、事業者は届出内容を変更する必要がある。
3 指定地域密着型サービスと指定地域密着型介護予防サービスの一体的運営等について
指定地域密着型サービスに該当する各事業を行う者が、指定地域密着型介護予防サービスに該当する各事業者の指定を併せて受け、かつ、指定地域密着型サービスの各事業と指定地域密着型介護予防サービスの各事業とが同じ事業所で一体的に運営されている場合については、介護予防における各基準を満たすことによって、基準を満たしているとみなすことができるとされたが、その意義は次のとおりである。
小規模多機能型居宅介護においては、指定地域密着型サービスにおいても、指定地域密着型介護予防サービスにおいても、夜間及び深夜の時間帯以外の時間帯には、常勤換算方法で、介護従業者を通いサービスの利用者の数が3又はその端数を増すごとに1人以上、訪問サービスの提供に当たる介護従業者を1人以上配置しなければならないとされているが、例えば、通いサービスの利用者について、要介護の利用者が11人、要支援の利用者が4人である場合、それぞれが独立して基準を満たすためには、指定小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、通いサービスの提供に当たる介護従業者を4人、訪問サービスの提供に当たる介護従業者を1人配置することが必要となり、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、通いサービスの提供に当たる介護従業者を2人、訪問サービスの提供に当たる介護従業者を1人配置することが必要となるが、一体的に事業を行っている場合については、それぞれの事業所において、要介護の利用者と要支援の利用者とを合算し、利用者を15人とした上で、通いサービスの提供に当たる介護従業者を5人、訪問サービスの提供に当たる介護従業者を1人配置することによって、双方の基準を満たすこととするという趣旨である。
設備、備品についても同様であり、例えば、利用定員10人の単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所においては、食堂及び機能訓練室の合計面積は10人×3平方メートル=30平方メートルを確保する必要があるが、この10人に単独型・併設型指定介護予防認知症対応型通所介護事業所の利用者も含めてカウントすることにより、実態として、要介護者8人、要支援者2人であっても、要介護者7人、要支援者3人であっても、合計で30平方メートルが確保されていれば、基準を満たすこととする趣旨である。
なお、指定地域密着型サービスと指定地域密着型介護予防サービスを同一の拠点で行う場合であっても、一体的に行わないで、完全に体制を分離して行う場合にあっては、人員についても設備、備品についてもそれぞれが独立して基準を満たす必要があるので留意すること。
第3 地域密着型サービス
その1 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
1 基本方針
(1) 基本方針(基準等条例第6条)
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的な巡回又は随時通報によりその者の居宅を訪問し、その利用者が尊厳を保持し、可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、入浴、排せつ、食事等の介護、日常生活上の緊急時の対応その他の安心してその居宅において生活を送ることができるようにするための援助を行い、その療養生活を支援し、心身の機能の維持回復を目指すものである。
(2) 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護(基準等条例第7条)
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期巡回サービス、随時対応サービス及び随時訪問サービス並びに訪問看護サービスを適宜適切に組み合わせて、利用者にとって必要なサービスを必要なタイミングで提供し、総合的に利用者の在宅生活の継続を支援するものである。
① 定期巡回サービスについて、「定期的」とは原則として1日複数回の訪問を行うことを想定しているが、訪問回数及び訪問時間等については適切なアセスメント及びマネジメントに基づき、利用者との合意の下に決定されるべきものであり、利用者の心身の状況等に応じて訪問を行わない日があることを必ずしも妨げるものではないこと。また、訪問時間については短時間に限らず、必要なケアの内容に応じ柔軟に設定すること。
② 随時対応サービスについては、利用者のみならず利用者の家族等からの在宅介護における相談等にも適切に対応すること。また、随時の訪問の必要性が同一時間帯に頻回に生じる場合には、利用者の心身の状況を適切に把握し、定期巡回サービスに組み替える等の対応を行うこと。なお、通報の内容によっては、必要に応じて看護師等からの助言を得る等、利用者の生活に支障がないよう努めること。
③ 随時訪問サービスについては、随時の通報があってから、おおむね30分以内の間に駆けつけられるような体制確保に努めること。なお、同時に複数の利用者に対して随時の訪問の必要性が生じた場合の対応方法についてあらかじめ定めておくとともに、適切なアセスメントの結果に基づき緊急性の高い利用者を優先して訪問する場合があり得ること等について、利用者に対する説明を行う等あらかじめサービス内容について理解を得ること。
④ 訪問看護サービスについては、医師の指示に基づき実施されるものであり、全ての利用者が対象となるものではないこと。また、訪問看護サービスには定期的に行うもの及び随時行うもののいずれも含まれること。
⑤ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が指定訪問介護、指定訪問看護及び指定夜間対応型訪問介護に係る指定を併せて受けることは差し支えない。
⑥ 1の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は1の事務所であることが原則であるが、地域の実情に応じて、第2の1に規定する一体的なサービス提供の単位として、本体となる事務所と別の事務所(以下その1において「サテライト拠点」という。)を併せて指定を行うことは差し支えない。例えば事業の実施圏域が広範にわたる場合に、定期巡回サービスや随時訪問サービスについて、利用者のニーズに即応できる体制を確保し、より効率的に行うため、本体となる事務所との緊密な連携を確保した上で、定期巡回サービス及び随時訪問サービスを行うサテライト拠点を置くことが想定されるものである。また、隣接する複数の市町村で1の事業所がそれぞれの市町村から指定を受ける場合においては、本市以外の市町村に随時対応サービスを行う拠点がある場合は、本市の区域内に随時対応サービスを行う拠点がないことは差し支えないものである。
2 人員に関する基準
(1) 定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の員数(基準等条例第8条)
① オペレーター
ア オペレーターは看護師、介護福祉士、医師、保健師、准看護師、社会福祉士又は介護支援専門員でなければならない。ただし、当該オペレーターがオペレーターとして勤務する時間以外の時間帯において、当該オペレーター又は指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の看護師等との緊密な連携を確保することにより、利用者からの通報に適切に対応できると認められる場合は、サービス提供責任者として1年以上(介護職員初任者研修課程修了者及び旧訪問介護職員養成研修2級修了者にあっては、3年以上)従事した者をオペレーターとして充てることができることとしている。この場合、「1年以上(3年以上)従事」とは単なる介護等の業務に従事した期間を含まず、サービス提供責任者として任用されていた期間を通算したものであること。
イ オペレーターは提供時間帯を通じて1以上配置している必要があるが、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所に常駐している必要はなく、定期巡回サービスを行う訪問介護員等に同行し、地域を巡回しながら利用者からの通報に対応することも差し支えない。また、午後6時から午前8時までの時間帯については、ICT等の活用により、事業所外においても、利用者情報(具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況や家族の状況等)の確認ができるとともに、電話の転送機能等を活用することにより、利用者からのコールに即時にオペレーターが対応できる体制を構築し、コール内容に応じて、必要な対応を行うことができると認められる場合は、必ずしも事業所内で勤務する必要はない。さらに、サテライト拠点を有する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所においては、本体となる事務所及びサテライト拠点のいずれかにおいて常時1以上のオペレーターが配置されていれば基準を満たすものである。なお、サービス利用の状況や利用者数及び業務量を考慮し適切な員数の人員を確保するものとする。
ウ オペレーターは、原則として利用者からの通報を受ける業務に専従する必要があるが、利用者の処遇に支障がない場合は、定期巡回サービス及び訪問看護サービス並びに同一敷地内の指定訪問介護事業所、指定訪問看護事業所並びに指定夜間対応型訪問介護事業所の職務に従事することができること。なお、当該オペレーターが、定期巡回サービスに従事している等、利用者の居宅においてサービスの提供を行っているときであっても、当該オペレーターが利用者からの通報を受けることができる体制を確保している場合は、当該時間帯におけるオペレーターの配置要件を併せて満たすものであること。また、利用者以外の者からの通報を受け付ける業務に従事することができることとしているが、これは、例えば本市が地域支援事業の任意事業において、家庭内の事故等による通報に、夜間を含めた365日24時間の随時対応ができる体制を整備する事業を行っている場合、その通報を受信するセンターと指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の設備の共用が可能であり、オペレーターは、この本市が行う事業の受信センター職員が行う業務に従事することができるということである。
エ オペレーターのうち1人以上は、常勤の看護師、介護福祉士、医師、保健師、准看護師、社会福祉士又は介護支援専門員でなければならないとしているが、同一敷地内の指定訪問介護事業所及び指定訪問看護事業所並びに指定夜間対応型訪問介護事業所の職務については、オペレーターと同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるため、これらの職務に従事していた場合も、常勤の職員として取り扱うことができること。
オ オペレーターは、随時訪問サービスを行う訪問介護員等として従事することができること。なお、基準等条例第8条第7項における「利用者に対する随時対応サービスの提供に支障がない場合」とは、ICT等の活用により、事業所外においても、利用者情報(具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況や家族の状況等)の確認ができるとともに、電話の転送機能等を活用することにより、利用者からのコールに即時にオペレーターが対応できる体制を構築し、コール内容に応じて、必要な対応を行うことができると認められる場合であること。
カ 基準等条例第8条第5項各号に掲げる施設等の入所者等の処遇に支障がないと認められる場合に、当該施設等の職員(アの要件を満たす職員に限る。)をオペレーターとして充てることができることとしていること。また、当該オペレーターの業務を行う時間帯について、当該施設等に勤務しているものとして取扱うことができること。ただし、当該職員が定期巡回サービス、随時訪問サービス又は訪問看護サービスに従事する場合は、当該勤務時間を当該施設等の勤務時間には算入できない(オペレーターの配置についての考え方についてはウと同様)ため、当該施設等における最低基準(当該勤務を行うことが介護報酬における加算の評価対象となっている場合は、当該加算要件)を超えて配置している職員に限られることに留意すること。
② 定期巡回サービスを行う訪問介護員等
定期巡回サービスを行う訪問介護員等の員数については、必要な数としているが、サービス利用の状況や利用者数及び業務量を考慮し適切な員数の人員を確保するものとする。
③ 随時訪問サービスを行う訪問介護員等
ア 随時訪問サービスを行う訪問介護員等は当該職務に専従し、かつ、提供時間帯を通じて1以上配置している必要があるが、定期巡回サービス及び同一敷地内の指定訪問介護事業所並びに指定夜間対応型訪問介護事業所の職務に従事することができることとしているほか、オペレーターが当該業務に従事することも差し支えないこと。また、午後6時から午前8時までの時間帯については、利用者からの連絡を受けた後、事業所から利用者宅へ訪問するのと同程度の対応ができるなど、随時訪問サービスの提供に支障がない体制が整備されているのであれば、必ずしも事業所内で勤務する必要はない。さらに、サテライト拠点を有する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所においては、本体となる事務所及びサテライト拠点のいずれかにおいて、事業所として必要とされる随時訪問サービスを行う訪問介護員等が配置されていれば基準を満たすものである。なお、サービス利用の状況や利用者数及び業務量を考慮し適切な員数の人員を確保するものとする。
イ 看護師等の資格を有している者については、「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修関係)」(平成24年3月28日老振発0328第9号厚生労働省老健局振興課長通知)により、定期巡回サービス又は随時訪問サービスを行う訪問介護員等の業務に従事することを認めている。
なお、看護師の資格を有する者を訪問介護員等として雇用する場合は、訪問介護員等として雇用されているため、保健師助産師看護師法に規定されている診療の補助及び療養上の世話の業務(社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)の規定に基づく、自らの事業又はその一環として、たんの吸引等(口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養又は経鼻経管栄養をいう。以下同じ。)の業務を行うための登録を受けている事業所において実施されるたんの吸引等の業務を除く。)を行うものではないこと。
④ 訪問看護サービス行う看護師等
ア 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所における保健師、看護師又は准看護師(以下この号において「看護職員」という。)の員数については常勤換算方法で2.5人以上としているが、これについては職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、サービス利用の状況や利用者数及び業務量を考慮し適切な員数の人員を確保すること。
イ 勤務日及び勤務時間が不定期な看護職員についての勤務延時間数の算定については、次のとおりの取扱いとする。
(ア) 勤務日及び勤務時間が不定期な看護職員によるサービス提供の実績がある事業所における、勤務日及び勤務時間が不定期な看護職員1人当たりの勤務時間数は、当該事業所の勤務日及び勤務時間が不定期な看護職員の前年度の週当たりの平均稼働時間(サービス提供時間及び移動時間をいう。)とすること。
(イ) 勤務日及び勤務時間が不定期な看護職員によるサービス提供の実績がない事業所又は極めて短期の実績しかない等のため(ア)の方法によって勤務延時間数の算定を行うことが適当でないと認められる事業所については、当該勤務日及び勤務時間が不定期な看護職員が確実に勤務できるものとして勤務表に明記されている時間のみを勤務延時間数に算入すること。なお、この場合においても、勤務表上の勤務延時間数は、サービス提供の実態に即したものでなければならないため、勤務表上の勤務時間と実績が乖離していると認められる場合には、勤務表上の勤務時間の適正化の指導の対象となるものであること。
ウ サテライト拠点があるときは、常勤換算を行う際の看護職員の勤務延時間数に、当該サテライト拠点における勤務延時間数も含めるものとする。
エ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の看護職員が、オペレーターとして従事するとき、及び定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画作成等において必要なアセスメントのための訪問を行うときの勤務時間については、常勤換算を行う際の訪問看護サービスの看護職員の勤務時間として算入して差し支えないこと。ただし、③のイにより訪問介護員等として定期巡回サービス及び随時訪問サービスを行うときの勤務時間については、当該常勤換算を行う際に算入することはできないものであること(当該勤務時間と訪問看護サービスを行う勤務時間を合算した時間数が、常勤の職員が勤務すべき勤務時間数となる場合は、当該看護職員を常勤職員として取扱うこと。)。
オ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が指定訪問看護事業者の指定を併せて受け、かつ、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業と指定訪問看護の事業が同じ事業所で一体的に運営されている場合は、常勤換算方法で2.5以上配置されていることで、双方の基準を満たすこと。なお、これに加えて指定複合型サービス事業者の指定を併せて受け、一体的に運営する場合は、さらに常勤換算方法で2.5以上の看護職員の配置が必要であることに留意すること。
カ 訪問看護サービスを行う看護職員のうち、1人以上は常勤の保健師又は看護師でなければならない。
キ 訪問看護サービスを行う看護職員は、オペレーターや随時訪問サービスを行う訪問介護員等のように、常時の配置を求めてはいないが、利用者の看護ニーズに適切に対応するため、常時、当該看護職員のうち1人以上の者との連絡体制を確保しなければならないこと。
ク 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士については、実情に応じた適当数を配置する(配置しないことも可能である。)こと。
⑤ 計画作成責任者
計画作成責任者は①から④までに掲げる定期巡回・随時対応型訪問介護看護従事者のうち、看護師、介護福祉士、医師、保健師、准看護師、社会福祉士又は介護支援専門員から1人以上を選任しなければならないこととしており、オペレーターの要件として認められているサービス提供責任者として3年以上従事した者については当該資格等を有しない場合、計画作成責任者としては認められないことに留意すること。また、利用者の処遇に支障がない場合は、管理者との兼務もできるものである。なお、利用者数及び業務量を考慮し適切な員数の人員を確保するものとする。
(2) 管理者(基準等条例第9条)
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者はオペレーター、定期巡回サービスを行う訪問介護員等、随時訪問サービスを行う訪問介護員等又は訪問看護サービス行う看護師等である必要はないものである。
① 当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所のオペレーター、定期巡回サービスを行う訪問介護員等、随時訪問サービスを行う訪問介護員等、訪問看護サービス行う看護師等又は計画作成責任者の職務に従事する場合
② 当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が指定訪問介護事業者、指定訪問看護事業者又は指定夜間対応型訪問介護事業者の指定を併せて受け、同一の事業所においてそれぞれの事業が一体的に運営されている場合の、当該指定訪問介護事業所、指定訪問看護事業所又は指定夜間対応型訪問介護事業所の職務に従事する場合
③ 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従事者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設等における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)
3 設備等に関する基準(基準等条例第10条)
(1) 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。また、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が健康保険法による指定訪問看護の指定を受けている場合には当該事務室を共用することは差し支えない。
(2) 事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(3) 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に必要な設備及び備品等を確保するものとする。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮すること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。なお、事務室・区画、又は設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。
(4) 利用者からの通報を受けるための機器については、必ずしも当該事業所に設置され固定されている必要はなく、地域を巡回するオペレーターが携帯することもできること。また、利用者の心身の状況等の情報を蓄積し、利用者からの通報を受けた際に瞬時にそれらの情報が把握できるものでなければならないが、通報を受信する機器と、利用者の心身の情報を蓄積する機器は同一の機器でなくても差し支えないこと。したがって、通報を受ける機器としては、携帯電話等であっても差し支えないこと。
(5) 利用者の心身の状況等の情報を蓄積する機器等については、事業所・事業者内のネットワークや情報セキュリティに十分に配慮した上で、インターネットを利用したクラウドコンピューティング等の技術を活用し、オペレーターが所有する端末から常時利用者の情報にアクセスできる体制が確保されていれば、必ずしも当該事業所において機器等を保有する必要はない。また、常時利用者の情報にアクセスできる体制とは、こうした情報通信技術の活用のみに限らず、例えば、オペレーターが所有する紙媒体での利用者のケース記録等が、日々の申し送り等により随時更新され当該事業所において一元的に管理されていること等も含まれるものである。
(6) 利用者に配布するケアコール端末は、利用者が援助を必要とする状態となったときにボタンを押すなどにより、簡単にオペレーターに通報できるものでなければならない。ただし、利用者の心身の状況によって、一般の家庭用電話や携帯電話でも随時の通報を適切に行うことが可能と認められる場合は、利用者に対し携帯電話等を配布すること又はケアコール端末を配布せず、利用者所有の家庭用電話や携帯電話により随時の通報を行わせることも差し支えないものである。
(7) 利用者に配布するケアコール端末等については、オペレーターに対する発信機能のみならず、オペレーターからの通報を受信する機能を有するものや、テレビ電話等の利用者とオペレーターが画面上でお互いの状況を確認し合いながら対話できるもの等を活用し、利用者の在宅生活の安心感の向上に資するものであることが望ましい。
(8) 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が指定夜間対応型訪問介護事業者の指定を併せて受け、同一の事業所においてこれらの事業が一体的に運営されている場合は、随時対応サービスの提供に必要となる設備を双方の事業で共用することができるものである。
(9) 個人情報が記載されている書類については、施錠が可能なロッカー等を使用し適切に管理すること。
4 運営に関する基準
(1) 介護保険等関連情報の活用とPDCAサイクルの推進について
基準等条例第5条第4項は、指定地域密着型サービスの提供に当たっては、法第118条の2第1項に規定する介護保険等関連情報等を活用し、事業所単位でPDCAサイクルを構築・推進することにより、提供するサービスの質の向上に努めなければならないこととしたものである。
この場合において、「科学的介護情報システム(LIFE:Long-termcare Information system For Evidence)」に情報を提出し、当該情報及びフィードバック情報を活用することが望ましい(この点については、以下の他のサービス種類についても同様とする。)。
(2) 内容及び手続の説明及び同意
① 基準等条例第11条は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、利用者に対し適切な指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の運営規程の概要、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況等(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等(当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が、他の介護保険に関する事業を併せて実施している場合、当該パンフレット等について、一体的に作成することは差し支えないものとする。)の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、書面によって確認することが適当である。
② 特に、連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所における指定訪問看護事業所との連携の内容や、他の指定訪問介護事業所又は指定夜間対応型訪問介護事業所に事業の一部委託を行う場合の当該委託業務の内容、他の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と一体的に随時対応サービスを行う場合の事業所間の連携の内容等について十分な説明を行わなければならないこと。
(3) 提供拒否の禁止
基準等条例第12条は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、原則として、利用申込に対しては応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多募を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、①当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合、②利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供することが困難な場合である。
(4) サービス提供困難時の対応
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供することが困難であると認めた場合には、基準等条例第13条の規定により、当該利用申込者に係る居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。
(5) 受給資格等の確認
① 基準等条例第14条第1項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供の開始に際し、利用者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめなければならないことを規定したものである。
② 基準等条例第14条第2項は、利用者の被保険者証に、指定地域密着型サービスの適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、これに配慮して指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供するように努めるべきことを規定したものである。
(6) 要介護認定の申請に係る援助
① 基準等条例第15条第1項は、要介護認定の申請がなされていれば、要介護認定の効力が申請時に遡ることにより、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用に係る費用が保険給付の対象となり得ることを踏まえ、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、利用申込者が要介護認定を受けていないことを確認した場合には、要介護認定の申請が既に行われているかどうかを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意思を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないことを規定したものである。
② 基準等条例第15条第2項は、要介護認定の有効期間が原則として6箇月ごとに終了し、継続して保険給付を受けるためには要介護更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)が利用者に対して行われていない等の場合であって必要と認めるときは、要介護認定の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要介護認定の有効期間が終了する30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないことを規定したものである。
(7) 指定居宅介護支援事業者等との連携
基準等条例第17条第1項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用者の在宅生活の継続のための総合的な支援を、日々の定期巡回サービス等の実施により継続的に把握される利用者の心身の状況に応じて柔軟に行うサービスであることから、その他の介護保険サービスの利用を含めた利用者の地域での生活全般のマネジメントを行う指定居宅介護支援事業者との連携を密にしておかなければならないこととしたものである。
また、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、医療が必要とされる場合があることから、医療が円滑に提供できるよう、常に保健医療サービス等を提供する者との連携の確保に努めなければならないことを規定したものである。
(8) 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
基準等条例第18条は、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「施行規則」という。)第65条の4第1項第1号イ又はロに該当する利用者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を法定代理受領サービスとして受けることができることを踏まえ、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、同項第1号イ又はロにも該当しない利用申込者又はその家族に対し、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を法定代理受領サービスとして受けるための要件の説明、居宅介護支援事業者に関する情報提供その他の法定代理受領サービスを行うために必要な援助を行わなければならないことを規定したものである。
(9) 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
(10) 居宅サービス計画等の変更の援助
基準等条例第20条は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を法定代理受領サービスとして提供するためには当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護が居宅サービス計画に位置付けられている必要があることを踏まえ、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合(利用者の状態の変化等により追加的なサービスが必要となり、当該サービスを法定代理受領サービスとして行う等のために居宅サービス計画の変更が必要となった場合で、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者からの当該変更の必要性の説明に対し利用者が同意する場合を含む。)は、当該利用者に係る指定居宅介護支援事業者への連絡、サービスを追加する場合に当該サービスを法定代理受領サービスとして利用する場合には支給限度額の範囲内で居宅サービス計画を変更する必要がある旨の説明その他の必要な援助を行わなければならないことを規定したものである。
(11) 身分を証する書類の携行
基準等条例第21条は、利用者が安心して指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を受けられるよう、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、面接時、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないことを規定したものである。この証書等には、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の名称、当該定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の氏名を記載するものとし、当該定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。
(12) サービスの提供の記録
① 基準等条例第22条第1項は、利用者及びサービス事業者が、その時点での区分支給限度基準額との関係やサービスの利用状況を把握できるようにするために、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供した際には、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供日、サービス内容(例えば定期巡回サービス及び随時訪問サービスの別)、保険給付の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画の書面又はサービス利用票等に記載しなければならないことを規定したものである。
② 同条第2項は、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録するとともに、サービス事業者間の密接な連携等を図るため、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならないこととしたものである。また、「その他適切な方法」とは、例えば、利用者の用意する手帳等に記載するなどの方法である。なお、提供した具体的なサービスの内容等の記録は、基準等条例第44条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
(13) 利用料等の受領
① 基準等条例第23条第1項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護についての利用者負担として、地域密着型介護サービス費用基準額の1割、2割又は3割(法第50条又は第69条第5項の規定の適用により保険給付の率が9割、8割又は7割でない場合については、それに応じた割合)の支払を受けなければならないことを規定したものである。
② 基準等条例第23条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供した際に、その利用者から支払を受ける利用料の額と、法定代理受領サービスである指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。なお、そもそも介護保険給付の対象となる指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。
ア 利用者に、当該事業が指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業とは別事業であり、当該サービスが介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。
イ 当該事業の目的、運営方針、利用料等が、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の運営規程とは別に定められていること。
ウ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業の会計と区分していること。
③ 基準等条例第23条第3項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供に関して、前2項の利用料のほかに、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を行う場合の交通費(移動に要する費用)の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
④ 基準等条例第23条第4項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、前項の交通費の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対してその額等に関して説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。
⑤ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、基準等条例第23条第1項から第3項までの利用料等を徴収することは認められるが、利用者へ配布するケアコール端末に係る設置料、リース料、保守料等の費用の徴収は認められないものである。なお、利用者宅から事業所への通報に係る通信料(電話料金)については、利用者が負担すべきものである。
(14) 保険給付の請求のための証明書の交付
基準等条例第24条は、利用者が本市に対する保険給付の請求を容易に行えるよう、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、法定代理受領サービスでない指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の内容、費用の額その他利用者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に対して交付しなければならないことを規定したものである。
(15) 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本的取扱方針及び具体的取扱方針
① 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供については、目標達成の度合い及びその効果等や利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うとともに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の修正を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
② 随時訪問サービスを適切に提供するため、定期巡回サービスの提供や看護職員の行うアセスメント等により、利用者の心身の状況等の把握に努めるとともに、利用者とのコミュニケーションを図り、利用者が通報を行い易い環境づくりに努めるべきものであること。
③ 訪問看護サービスの提供に当たっては、利用者の心身の状態を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治医との密接な連携のもとに定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画に沿って行うこと。
④ 訪問看護サービスの提供に当たっては、利用者の健康状態と経過、看護の目標や内容、具体的な方法その他療養上必要な事項について利用者及びその家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うとともに、医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならないこと。
⑤ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供に当たっては、介護技術や医学の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであること。
⑥ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、利用者から合鍵を預かる場合には、従業者であっても容易に持ち出すことができないよう厳重な管理を行い、利用者に安心感を与えるものとすること。
(16) 主治医との関係
① 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の常勤看護師等は、指示書に基づき訪問看護サービスが行われるよう、主治医との連絡調整、訪問看護サービスの提供を行う看護師等の監督等必要な管理を行わなければならないこと。なお、主治医とは、利用申込者の選定により加療している医師をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。
② 基準等条例第27条第2項は、訪問看護サービスの利用対象者は、その主治医が訪問看護サービスの必要性を認めたものに限られるものであることを踏まえ、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、訪問看護サービスの提供の開始に際しては、利用者の主治医が発行する訪問看護サービスに係る指示の文書(以下この号において「指示書」という。)の交付を受けなければならないこととしたものであること。
③ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、主治医と連携を図り、適切な訪問看護サービスを提供するため、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画(訪問看護サービスの利用者に係るものに限る。)及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならないこと。
④ 訪問看護サービスの提供に当たっては、特に医療施設内の場合と異なり、看護師等が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること。
⑤ 保険医療機関が指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者である場合には、主治医の指示は診療録に記載されるもので差し支えないこと。また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画及び訪問看護報告書についても看護記録等の診療記録に記載されるもので差し支えないこと。
(17) 定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の作成
① 基準等条例第28条第1項は、計画作成責任者は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画を作成しなければならないことを規定したものである。定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の作成に当たっては、利用者の心身の状況を把握・分析し、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし、担当する定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の氏名、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。
なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 基準等条例第28条第2項は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。ただし、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、日々の定期巡回サービスの提供や看護職員によるアセスメントにより把握した利用者の心身の状況に応じた柔軟な対応が求められることから、居宅サービス計画に位置付けられたサービス提供の日時にかかわらず、居宅サービス計画の内容を踏まえた上で計画作成責任者が指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供する日時及びサービスの具体的内容を定めることができることとしたものである。この場合において、利用者を担当する介護支援専門員に対しては、適宜、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画を報告し、緊密な連携を図ること。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 基準等条例第28条第3項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、介護と看護が一体的に提供されるべきものであることから、医師の指示に基づく訪問看護サービスの利用者はもとより、訪問看護サービスを利用しない者であっても、保健師、看護師又は准看護師による定期的なアセスメント及びモニタリングを行わなければならないこととしたものである。ここでいう「定期的に」とは、おおむね1月に1回程度行われることが望ましいが、当該アセスメント及びモニタリングを担当する保健師、看護師又は准看護師の意見や、日々の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供により把握された利用者の心身の状況等を踏まえ、適切な頻度で実施するものとする。なお、訪問看護サービスの利用者に対する定期的なアセスメント及びモニタリングについては、日々の訪問看護サービス提供時に併せて行うことで足りるものである。
なお、アセスメント及びモニタリングを担当する保健師、看護師又は准看護師については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者であることが望ましいが、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が実施する他の事業に従事する保健師、看護師又は准看護師により行われることも差し支えない。この場合において、当該保健師、看護師又は准看護師は、計画作成責任者から必要な情報を得た上で、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の趣旨を踏まえたアセスメント及びモニタリングを行う必要があることから、在宅の者に対する介護又は看護サービスに従事した経験を有する等、要介護高齢者の在宅生活に関する十分な知見を有している者であって、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の所在地の日常生活圏域内で他の事業に従事している等、利用者の当該地域における生活の課題を十分に把握できる者でなければならない。また、当該アセスメント及びモニタリングに従事した時間については当該他の事業における勤務時間とはみなされないことに留意すること。
④ 訪問看護サービスの利用者に係る定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画についても計画作成責任者が作成することとしたものであり、訪問看護サービスを利用しない利用者に記載すべき内容に加えて、利用者の希望、主治医の指示及び看護目標、具体的なサービス内容等を記載するものである。ただし、当該内容等の記載に当たっては、看護に関する十分な知見を有することが求められることから、計画作成責任者が常勤看護師等でない場合は、常勤看護師等の助言、指導等の必要な管理のもと行わなければならないこととしたものである。
⑤ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望並びに訪問看護サービスの利用に係る主治医の指示を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、計画作成責任者は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の作成に当たっては、その内容等を十分に説明した上で利用者の同意を得なければならないこととしたものである。したがって、計画作成責任者は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の目標や内容等については、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。なお、常勤看護師等ではない計画作成責任者は当該計画に記載された訪問看護サービスに係る内容等の説明に当たっては、利用者及び利用者の家族等が十分に訪問看護サービスの内容等を理解できるよう常勤看護師等による必要な協力を得た上で説明を行うものとする。
⑥ 基準等条例第28条第7項は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならないこととしたものである。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画は、基準等条例第44条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
⑦ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が保険医療機関である場合は、基準等条例第27条第4項により、主治医への定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の提出は、診療記録への記載をもって代えることができることとされているため、基準等条例第28条第7項に基づく定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の交付については「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日老企第55号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)に定める訪問看護計画書を参考に事業所ごとに定めるものを交付することで差し支えない。
⑧ 計画作成責任者は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の行うサービスが定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画に沿って実施されているかについて把握するとともに、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
⑨ 訪問看護サービスを行う看護師等(准看護師を除く。)は、訪問看護報告書には、訪問を行った日、提供した看護内容、サービス提供結果等を記載する。なお、基準等条例第28条に規定する報告書は、訪問の都度記載する記録とは異なり、主治医に定期的に提出するものをいい、当該報告書の記載と先に主治医に提出した定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画(当該計画を基準等条例第27条第4項において診療記録の記載をもって代えた場合を含む。)の記載において重複する箇所がある場合は、当該報告書における重複箇所の記載を省略しても差し支えないこととする。
⑩ 常勤看護師等にあっては、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画に沿った実施状況を把握し、訪問看護報告書に関し、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
⑪ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、主治医との連携を図り、適切な訪問看護サービスを提供するため、基準等条例第27条第3項の規定に基づき、訪問看護サービス利用者に係る定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画及び訪問看護報告書を定期的に主治医に提出しなければならない。
⑫ 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第12号において、「介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等に対して、指定居宅サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする」と規定していることを踏まえ、居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、当該居宅サービス計画を作成している指定居宅介護支援事業者から定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の提出の求めがあった際には、当該定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画を提供することに協力するよう努めるものとする。
(18) 利用者に関する市長への通知
基準等条例第30条は、偽りその他不正な行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為又は重大な過失等により、要介護状態又はその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市長が、法第22条第1項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は法第64条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が、その利用者に関し、保険給付の適正化の観点から市長に通知しなければならない事由を列記したものである。
(19) 緊急時等の対応
基準等条例第31条は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者が現に指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、当該定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者が看護職員である場合は必要な臨時応急の手当てを行うとともに運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治の医師への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないことを規定したものである。
(20) 管理者等の責務
基準等条例第32条は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の管理者と計画作成責任者の役割分担について規定したものであり、管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに従業者に基準等条例第2章第4節(運営に関する基準)を遵守させるための指揮命令を、計画作成責任者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用の申込みに係る調整及びサービスの内容の管理を行うこととしたものである。
(21) 運営規程(基準等条例第33条)
① 従業者の職種、員数及び職務の内容(第2号)
② 営業日及び営業時間(第3号)
営業日は365日と、営業時間は24時間と記載すること。
③ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の内容(第4号)
「指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の内容」とは、定期巡回サービス、随時対応サービス、随時訪問サービス及び訪問看護サービスの内容を指すものであること。
④ 利用料その他の費用の額(第4号)
「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る利用料(1割負担、2割負担又は3割負担)及び法定代理受領サービスでない指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用料を、「その他の費用の額」としては、基準等条例第23条第3項により徴収が認められている交通費の額及び必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものであること(以下、他のサービス種類についても同様とする。)。
⑤ 通常の事業の実施地域(第5号)
通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込に係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること。また、通常の事業の実施地域については、事業者が任意に定めるものであるが、指定地域密着型サービスである指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、本市が定める日常生活圏域内は、少なくとも通常の事業の実施地域に含めることが適当であること。さらに、本市の同意を得て本市以外の市町村から指定を受けた場合には、当該市町村の一部の日常生活圏域を事業の実施地域の範囲に加えることもあること(以下、基準等条例第57条第5号、第61条の12第6号、第61条の34第6号、第75条第6号、第102条第6号及び第204条についても同様とする。)。
⑥ 虐待の防止のための措置に関する事項(第8号)
(31)の虐待の防止に係る、組織内の体制(責任者の選定、従業者への研修方法や研修計画等)や虐待又は虐待が疑われる事案(以下「虐待等」という。)が発生した場合の対応方法等を指す内容であること(以下、他のサービスについても同様とする。)。
(22) 勤務体制の確保等
基準等条例第34条は、利用者に対する適切な指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
① 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすること。
② 基準等条例第34条第2項本文は、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者によって指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供するべきことを規定したものであるが、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者とは、雇用契約、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に規定する労働者派遣契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等を指すものであること。なお、訪問看護サービスに従事する看護師等又は社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づき、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第1条各号に規定する口腔内の喀痰吸引その他の行為を業として行う訪問介護員等については、労働者派遣法に基づく派遣労働者(同法に規定する紹介予定派遣又は同法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合を除く。)であってはならないこと。
③ 基準等条例第34条第2項ただし書は、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者によって指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供するべきであるが、地域の実情に応じて、既存の地域資源・地域の人材を活用しながら、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の実施を可能とする観点から、地域の指定訪問介護事業所、指定夜間対応型訪問介護事業所又は指定訪問看護事業所に対して、定期巡回サービス、随時対応サービス、随時訪問サービス及び訪問看護サービスの事業の一部を委託することができることとしたものである。この場合において、「事業の一部」の範囲については市長が判断することとなるが、同一時間帯において、全ての利用者に対する定期巡回サービス、随時対応サービス、随時訪問サービス及び訪問看護サービスの全てを委託してはならないという趣旨であることに留意すること。したがって、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が定期巡回サービス、随時対応サービス、随時訪問サービス及び訪問看護サービスのいずれも提供しない時間帯が生じることは認められないこと。なお、事業の一部委託に当たっては契約に基づくこととし、当該契約において、当該委託業務に要する委託料並びに利用者に関する情報の取扱い方法、委託するサービスの具体的な実施方法、事故発生時等の責任の所在及び緊急時等の対応方法等について定めるとともに、利用者に対して当該契約の内容についての説明を十分に行うこと。
(一部委託の例)
ア 利用者50人を担当する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が、事業所の所在地と一定以上の距離を有する地域に居住する利用者10人に係る定期巡回サービス、随時対応サービス及び随時訪問サービスを当該利用者が居住する地域に所在する指定訪問介護事業所に委託
イ 深夜帯における随時対応サービス及び随時訪問サービスを、指定夜間対応型訪問介護事業所に委託(指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は定期巡回サービスを実施)
④ 基準等条例第34条第3項は、随時対応サービスに限り、複数の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の間での一体的実施ができることとしたものである。この場合において、一体的実施ができる範囲について本市の区域を超えることを妨げるものではなく、随時対応サービスが単なる通報受付サービスではないことを踏まえ、それぞれの事業所における利用者情報(提供されている具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況や家族の状況等)、事業所周辺の医療機関の情報、随時の気象状況や道路状況等、当該事業所が随時対応サービスを行うために必要な情報が随時把握されており、かつ、平均的な随時対応件数を踏まえて適切な体制が確保されており、利用者の心身の状況に応じて必要な対応を行うことができる場合に認められるものであり、全国の利用者に対する随時対応サービスを1か所の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所に集約するような業務形態は想定していない。なお、一体的実施に当たっては同一法人の事業所間に限らず、別法人の事業所間でも認められるものであるが、この場合、契約に基づくこととし、当該契約において、当該業務に要する委託料及び当該委託業務に要する委託料並びに利用者に関する情報の取扱い方法、随時訪問サービスの具体的な実施方法、事故発生時等の責任の所在及び緊急時等の対応方法等について定めるとともに、利用者に対して当該契約の内容についての説明を十分に行うこと。なお、随時対応サービスの一体的実施により、随時対応サービスを行わない指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は、当該時間帯における定期巡回サービス、随時訪問サービス及び訪問看護サービスについては、実施しなければならないこと。
⑤ 基準等条例第34条第4項は、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の従事者たる訪問介護員等の質の向上を図るため、具体的な研修計画を策定し、研修機関又は当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が実施する研修その他その資質の向上のための研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。特に利用者の人権の擁護、高齢者虐待(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)第2条第5項に規定する養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。以下同じ。)の防止、身体的拘束の廃止、感染症や食中毒の予防とまん延防止、事故発生の防止等のため、従業者に対し定期的に研修の実施その他必要な措置を講じること。
⑥ 基準等条例第34条第5項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第11条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第30条の2第1項の規定に基づき、事業主には、職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務付けられていることを踏まえ、規定したものである。事業主が講ずべき措置の具体的内容及び事業主が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること。
ア 事業主が講ずべき措置の具体的内容
事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)及び事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「パワーハラスメント指針」という。)において規定されているとおりであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。
(ア) 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。
(イ) 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談に対応する担当者をあらかじめ定めること等により、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
なお、パワーハラスメント防止のための事業主の方針の明確化等の措置義務については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)附則第3条の規定により読み替えられた労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項の規定により、中小企業(医療・介護を含むサービス業を主たる事業とする事業主については資本金が5000万円以下又は常時使用する従業員の数が100人以下の企業)は、令和4年4月1日から義務化となり、それまでの間は、努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい。
イ 事業主が講じることが望ましい取組について
パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、②被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)及び③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されている。介護現場では特に、利用者又はその家族等からのカスタマーハラスメントの防止が求められていることから、ア(事業主が講ずべき措置の具体的内容)の必要な措置を講じるにあたっては、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」、「(管理職・職員向け)研修のための手引き」等を参考にした取組を行うことが望ましい。この際、上記マニュアルや手引きについては、以下の厚生労働省ホームページに掲載しているので参考にされたい。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html)
加えて、都道府県において、地域医療介護総合確保基金を活用した介護職員に対する悩み相談窓口設置事業や介護事業所におけるハラスメント対策推進事業を実施している場合、事業主が行う各種研修の費用等について助成等を行っていることから、事業主はこれらの活用も含め、介護事業所におけるハラスメント対策を推進することが望ましい。
(23) 業務継続計画の策定等
① 基準等条例第34条の2は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を受けられるよう、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準等条例第34条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、長岡市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例(令和3年長岡市条例第12号。以下「令和3年改正基準等条例」という。)附則第3項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、厚生労働省「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照すること。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
ア 感染症に係る業務継続計画
(ア) 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
(イ) 初動対応
(ウ) 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
イ 災害に係る業務継続計画
(ア) 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
(イ) 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
(ウ) 他施設及び地域との連携
③ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
④ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(24) 衛生管理等
① 基準等条例第35条第1項及び第2項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。特に、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者が感染源となることを予防し、また定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者を感染の危険から守るため、使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。
② 基準等条例第35条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずべき措置については、具体的には次のアからウまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第4項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
ア 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、本市における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」を参照すること。
ウ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(25) 掲示
① 基準等条例第36条第1項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、運営規程の概要、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の見やすい場所に掲示することを規定したものであるが、次に掲げる点に留意する必要がある。
ア 事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき介護サービスの利用申込者、利用者又はその家族に対して見やすい場所のことであること。
イ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の勤務体制については、職種ごと、常勤・非常勤ごと等の人数を掲示する趣旨であり、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者の氏名まで掲示することを求めるものではないこと。
② 基準等条例第36条第2項は、重要事項を記載したファイル等を介護サービスの利用申込者、利用者又はその家族等が自由に閲覧可能な形で当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所内に備え付けることで同条第1項の掲示に代えることができることを規定したものである。
(26) 秘密保持等
① 基準等条例第37条第1項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者その他の従業者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務付けたものである。
② 同条第2項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者に対して、過去に当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者その他の従業者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務付けたものであり、具体的には、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者その他の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者その他の従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めを置くなどの措置を講ずべきこととするものである。
③ 同条第3項は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護従業者がサービス担当者会議等において、課題分析情報等を通じて利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、介護支援専門員や他のサービスの担当者と共有するためには、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。
(27) 指定居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
基準等条例第39条は、居宅介護支援の公正中立性を確保するために、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないこととしたものである。
(28) 苦情処理
① 基準等条例第40条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、利用申込者又はその家族にサービスの内容を説明する文書に苦情に対する対応の内容についても併せて記載するとともに、事業所に掲示すること等である。
② 同条第2項は、利用者及びその家族からの苦情に対し、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が提供したサービスとは関係ないものを除く。)の受付日、その内容等を記録することを義務付けたものである。また、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を行うことが必要である。なお、基準等条例第44条第2項の規定に基づき、苦情の内容等の記録は、5年間保存しなければならない。
③ 同条第3項は、介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことが位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である本市が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、本市についても国民健康保険団体連合会と同様に、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。
(29) 地域との連携等
① 基準等条例第41条第1項に定める介護・医療連携推進会議は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が、利用者、地域の医療関係者、本市職員、地域住民の代表者等に対し、提供しているサービス内容等を明らかにすることにより、地域に開かれたサービスとすることで、サービスの質の確保を図ること及び当該会議において、地域における介護及び医療に関する課題について関係者が情報共有を行い、介護と医療の連携を図ることを目的として設置するものであり、各事業所が自ら設置すべきものである。この介護・医療連携推進会議は、事業所の指定申請時には、既に設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要となるものである。また、地域住民の代表者とは、町内会役員、民生委員、老人クラブの代表等が、地域の医療関係者とは、郡市区医師会の医師等、地域の医療機関の医師や医療ソーシャルワーカー等が考えられる。
また、介護・医療連携推進会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この①において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、介護・医療連携推進会議の効率化や、事業所間のネットワーク形成の促進等の観点から、次に掲げる条件を満たす場合においては、複数の事業所の介護・医療連携推進会議を合同で開催して差し支えない。
ア 利用者等については匿名とするなど、個人情報・プライバシーを保護すること。
イ 同一の日常生活圏域内に所在する事業所であること。ただし、事業所間のネットワーク形成の促進が図られる範囲で、地域の実情に合わせて、市町村区域の単位等内に所在する事業所であっても差し支えないこと。
ウ 合同で開催する回数が、1年度に開催すべき介護・医療連携推進会議の開催回数の半数を超えないこと。
エ ②の外部評価を行う介護・医療連携推進会議は、単独で開催すること。
② 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は、1年に1回以上、サービスの改善及び質の向上を目的として、各事業所が自ら提供するサービスについて評価・点検(自己評価)を行うとともに、当該自己評価結果について、介護・医療連携推進会議において第三者の観点からサービスの評価(外部評価)を行うこととし、実施に当たっては、以下の点に留意すること。
ア 自己評価は、事業所が自ら提供するサービス内容について振り返りを行い、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所として提供するサービスについて個々の従業者の問題意識を向上させ、事業所全体の質の向上につなげてくことを目指すものであること。
イ 外部評価は、介護・医療連携推進会議において、当該事業所が行った自己評価結果に基づき、当該事業所で提供されているサービスの内容や課題等について共有を図るとともに、利用者、地域の医療関係者、市職員、地域住民の代表者等が第三者の観点から評価を行うことにより、新たな課題や改善点を明らかにすることが必要であること。
ウ このようなことから、介護・医療連携推進会議において当該取組を行う場合には、市職員又は地域包括支援センター職員、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に知見を有し公正・中立な第三者の立場にある者の参加が必要であること。
エ 自己評価結果及び外部評価結果は、利用者及び利用者の家族へ提供するとともに、「介護サービスの情報公表制度」に基づく介護サービス情報公表システムを活用し、公表することが考えられるが、法人のホームページへの掲載、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所への掲示、市窓口や地域包括支援センターへの掲示等により公表することも差し支えないこと。
オ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の特性に沿った自己評価及び外部評価の在り方については、平成24年度老人保健健康増進等事業「定期巡回・随時対応サービスにおける自己評価・外部評価の在り方に関する調査研究事業」(一般社団法人二十四時間在宅ケア研究会)を参考に行うものとし、サービスの改善及び質の向上に資する適切な手法により行うこと。
③ 介護・医療連携推進会議における報告等の記録は、基準等条例第44条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
④ 基準等条例第41条第3項は、基準等条例第5条第2項の趣旨に基づき、介護サービス相談員を派遣する事業を積極的に受け入れる等、本市との密接な連携に努めることを規定したものである。なお、「本市が実施する事業」には、介護サービス相談員派遣事業のほか、広く本市が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。
⑤ 基準等条例第41条第4項は、高齢者向け集合住宅等と同一の建物に所在する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者に指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供する場合、当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者のみを対象としたサービス提供が行われないよう、基準等条例第12条の正当な理由がある場合を除き、地域包括ケア推進の観点から地域の要介護者にもサービス提供を行わなければならないことを定めたものである。なお、こうした趣旨を踏まえ、必要に応じて本市が条例等を定める場合や、地域密着型サービス運営委員会等の意見を踏まえて指定の際に条件を付す場合において、例えば、当該事業所の利用者のうち、一定割合以上を当該高齢者向け集合住宅等以外の利用者とするよう努める、あるいはしなければならない等の規定を設けることがあるので留意すること。この際、自立支援や重度化防止等につながるようなサービス提供がなされているか等、サービスの質が担保されているかが重要であることに留意すること。
(30) 事故発生時の対応
基準等条例第42条は、利用者が安心して指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供を受けられるよう事故発生時の速やかな対応を規定したものである。指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、利用者に対する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供により事故が発生した場合には、本市、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、当該事故の状況及び事故に際して行った処置について記録しなければならないこととしたものである。また、利用者に対する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供により賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。なお、基準等条例第44条第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して行った処置についての記録は、5年間保存しなければならない。このほか、以下の点に留意するものとする。
① 利用者に対する指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が定めておくことが望ましいこと。
② 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。
③ 指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
(31) 虐待の防止
基準等条例第42条の2は虐待の防止に関する事項について規定したものである。虐待は、法の目的の一つである高齢者の尊厳の保持や、高齢者の人格の尊重に深刻な影響を及ぼす可能性が極めて高く、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は虐待の防止のために必要な措置を講じなければならない。虐待を未然に防止するための対策及び発生した場合の対応等については、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号。以下「高齢者虐待防止法」という。)に規定されているところであり、その実効性を高め、利用者の尊厳の保持・人格の尊重が達成されるよう、次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じるものとする。
ア 虐待の未然防止
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、基準等条例第5条の一般原則に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が高齢者虐待防止法等に規定する養介護事業の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。
イ 虐待等の早期発見
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の従業者は、虐待等又はセルフ・ネグレクト等の虐待に準ずる事案を発見しやすい立場にあることから、これらを早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、本市の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、利用者及びその家族からの虐待等に係る相談、利用者から本市への虐待の届出について、適切な対応をすること。
ウ 虐待等への迅速かつ適切な対応
虐待が発生した場合には、速やかに本市の窓口に通報される必要があり、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、本市等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努めることとする。
以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施するものとする。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第2項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
虐待の防止のための対策を検討する委員会(以下「虐待防止検討委員会」という。)は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、事業所外の虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。
なお、虐待防止検討委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携により行うことも差し支えない。
また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
虐待防止検討委員会は、具体的には、次のような事項について検討することとする。その際、そこで得た結果(事業所における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
ア 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関すること
イ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ウ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
エ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
オ 従業者が虐待等を把握した場合に、本市への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
カ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
キ この①のカの再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
② 虐待の防止のための指針(第2号)
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が整備する「虐待の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
イ 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ウ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
エ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
オ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
カ 成年後見制度の利用支援に関する事項
キ 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
ク 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
ケ その他虐待の防止の推進のために必要な事項
③ 虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
従業者に対する虐待の防止のための研修の内容としては、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所における指針に基づき、虐待の防止の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年1回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、事業所内での研修で差し支えない。
④ 虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所における虐待を防止するための体制として、①から③までに掲げる措置を適切に実施するため、専任の担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。
(32) 会計の区分
基準等条例第43条は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、国において別に通知するところによるものであること。
(33) 記録の整備
基準等条例第44条第2項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、5年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が保険医療機関である場合は、基準等条例第44条により整備すべき記録のうち、訪問看護サービス利用者に係る定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画、指示書及び訪問看護報告書については、診療録及び診療記録の保存でも差し支えない。
5 連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業
(1) 連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基準
連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所においては、訪問看護サービスの提供を行わず、連携指定訪問看護事業所が行うこととなる。したがって、訪問看護サービスに係る人員、設備及び運営基準が適用されないことを除けば、連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護以外の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下「一体型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護」という。)に係る基準が全て適用されることになるので、1から4まで(訪問看護サービスの提供に係る事項を除く。)を参照すること。
(2) 指定訪問看護事業者との連携(基準等条例第46条)
① 基準等条例第46条第1項は、連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業を実施する場合は、地域の指定訪問看護事業所との連携を図ることとされており、この連携を行う指定訪問看護事業所については、指定申請時においては地域の指定訪問看護事業所から任意に選定することになるが、事業開始以降、訪問看護を利用しようとする利用者が当該指定訪問看護事業所からのサービス提供を受けることを選択しない場合は、当該利用者が選択した指定訪問看護事業所との連携が必要となることとしたものである。
② 基準等条例第46条第2項は、連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は、連携指定訪問看護事業所との契約に基づき、次に掲げる事項について必要な協力をしなければならないこととしたものである。なお、当該連携に要する経費については、連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携指定訪問看護事業所との間の契約に基づく委託料として、両者の合意の下、適切に定めること。
ア 定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画の作成に当たっての、看護職員によるアセスメント及びモニタリングの実施
イ 随時対応サービスの提供に当たって、看護職員による対応が必要と判断された場合に確実に連絡が可能な体制の確保
ウ 介護・医療連携推進会議への参加
エ その他必要な指導及び助言
なお、アについては、連携指定訪問看護事業所の利用者に関しては、指定訪問看護の提供時に把握した利用者の心身の状況について情報共有を図ることで足りるほか、連携指定訪問看護事業所の利用者以外に関しても、連携指定訪問看護事業所の職員が必ず行わなければならないものではなく、連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所のオペレーターとして従事する保健師、看護師又は准看護師や、当該連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が実施する他の事業に従事する保健師、看護師又は准看護師により実施することも差し支えない。この場合において、当該アセスメント及びモニタリングの結果については連携指定訪問看護事業所に情報提供を行わなければならないこと(連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者が実施する他の事業に従事する者が行う場合の取扱いについては、4の(17)の③も併せて参照すること。)。
③ 1の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が、一体型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業と連携型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業を併せて行うことは差し支えない。この場合において、次の点に留意すること。
ア 当該事業所における指定申請は複数必要とはならないこと。
イ 人員及び設備基準については、一体型指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る当該基準を満たすことで、いずれの事業の基準も満たすこと。
ウ 利用者に対し十分に説明を行った上で、いずれの事業によるサービス提供を受けるか選択させること。
その2 夜間対応型訪問介護
1 基本方針
(1) 基本方針(基準等条例第47条)
指定夜間対応型訪問介護は、夜間において、定期的な巡回又は通報によりその者の居宅を訪問し、排せつの介護、日常生活上の緊急時の対応その他の夜間において安心してその居宅において生活を送ることができるようにするための援助を行うものであり、対象者は一人暮らしの高齢者又は高齢者のみの世帯や中重度の者が中心になると考えられるが、これらの者に限定されるものではないことに留意すること。
(2) 指定夜間対応型訪問介護(基準等条例第48条)
① 指定夜間対応型訪問介護は、定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス及び随時訪問サービスを一括して提供しなければならないものであるが、利用者はケアコール端末(基準等条例第51条第4項に規定する利用者が援助を必要とする状態となったときに適切にオペレーションセンターに通報できる端末機器をいう。以下同じ。)を有していることが条件となる。したがって、ケアコール端末を持たず、定期巡回サービスのみの利用であれば、指定夜間対応型訪問介護に含まれず、通常の指定訪問介護を利用していることとなる。
② 指定夜間対応型訪問介護を提供する時間帯は、各事業所において設定することになるが、夜間におけるサービス提供という性格を踏まえ、午後10時から翌日の午前6時までの間は最低限含むものとする。なお、午前8時から午後6時までの間の時間帯を含むことは認められないものであり、この間の時間帯については、指定訪問介護を利用することとなる。
③ 定期巡回サービスの提供回数については、特に要件は設けておらず、事業者と利用者との間で取り決められるものである。
④ 指定夜間対応型訪問介護事業所が指定訪問介護事業所又は指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の指定を併せて受けることは差し支えない。
⑤ オペレーションセンターとヘルパーステーションは同一の場所が望ましいが、オペレーションセンターとヘルパーステーションの連携が確保され、業務に支障がない場合は、事業の実施地域内なら別々の場所としても差し支えない。
また、隣接する複数の市町村で1つの事業所がそれぞれの市町村から指定を受ける場合、オペレーションセンターは所在地の市町村に、ヘルパーステーションは他の市町村に設置されることが考えられるが、こうした形態で事業を実施することは差し支えない。
⑥ オペレーションセンターを設置しないことができる場合とは、具体的には、利用者の人数が少なく、かつ、指定夜間対応型訪問介護事業所と利用者の間に密接な関係が築かれていることにより、定期巡回サービスを行う訪問介護員等が利用者から通報を受けた場合であっても、十分な対応を行うことが可能であることを想定している。
2 人員に関する基準
(1) 訪問介護員等の員数(基準等条例第49条)
① オペレーションセンター従業者
ア オペレーターは、看護師、介護福祉士、医師、保健師、准看護師、社会福祉士又は介護支援専門員でなければならない。ただし、当該オペレーターがオペレーターとして勤務する時間以外の時間帯において、当該オペレーターとの緊密な連携を確保することにより、利用者からの通報に適切に対応できると認められる場合は、サービス提供責任者として1年以上(介護職員初任者研修課程修了者及び旧訪問介護職員養成研修2級修了者にあっては、3年以上)従事した者をオペレーターとして充てることができることとしている。この場合、「1年以上(3年以上)従事」とは単なる介護等の業務に従事した期間を含まず、サービス提供責任者として任用されていた期間を通算したものであること。
イ オペレーターは、提供時間帯を通じて1以上配置している必要があるが、指定夜間対応型訪問介護事業所に常駐している必要はなく、定期巡回サービスを行う訪問介護員等に同行し、地域を巡回しながら利用者からの通報に対応することも差し支えないこと。また、午後6時から午前8時までの時間帯は、ICT等の活用により、事業所外においても、利用者情報(具体的サービスの内容、利用者の心身の状況や家族の状況等)の確認ができるとともに、電話の転送機能等を活用することにより、利用者からのコールに即時にオペレーターが対応できる体制を構築し、コール内容に応じて、必要な対応を行うことができると認められる場合は、必ずしも事業所内で勤務する必要はない。さらに、サテライト拠点を有する指定夜間対応型訪問介護事業所においては、本体となる事務所及びサテライト拠点のいずれかにおいて常時1以上のオペレーターが配置されていれば基準を満たすものである。なお、サービス利用の状況や利用者数及び業務量を考慮し適切な員数の人員を確保するものとする。
ウ オペレーターは、原則として利用者からの通報を受ける業務に専念する必要があるが、利用者の処遇に支障がない場合は、定期巡回サービス及び同一敷地内の指定訪問介護事業者並びに指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の職務に従事することができること。なお、オペレーターが、定期巡回サービスに従事している等、利用者の居宅において日常生活上の世話を行っているときであっても、当該オペレーターが利用者からの通報を受け付けることのできる体制を確保している場合は、当該時間帯におけるオペレーターの配置要件も同時に満たすものであること。また、オペレーターは、利用者以外の者からの通報を受け付ける業務に従事することができることとしているが、これは、例えば、本市が地域支援事業の任意事業において、家庭内の事故等による通報に、夜間を含めた365日24時間の随時対応ができる体制を整備する事業を行っている場合、その通報を受信するセンターと指定夜間対応型訪問介護のオペレーションセンターの共用が可能であり、オペレーターは、この本市が行う事業の受信センター職員が行う業務に従事することができるということである。
エ オペレーターは、利用者からの通報を受け、訪問の要否等の必要性を判断する能力が求められることから、看護師、介護福祉士等の資格を有する者としたものであるが、オペレーションセンターを設置しない場合にあっては、オペレーターは、訪問介護員等の資格を有する者で差し支えない。
オ オペレーターは、随時訪問サービスを行う訪問介護員等として従事できること。なお、基準等条例第49条第6項における「利用者に対するオペレーションセンターサービスの提供に支障がない場合」とは、ICT等の活用により、事業所外においても、利用者情報(具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況や家族の状況等)の確認ができるとともに、電話の転送機能等を活用することにより、利用者からのコールに即時にオペレーターが対応できる体制を構築し、コール内容に応じて、必要な対応を行うことができると認められる場合であること。
カ 基準等条例第49条第4項各号に掲げる施設等の入所者等の処遇に支障がないと認められる場合に、当該施設等の職員(アの要件を満たす職員に限る。)をオペレーターとして充てることができることとしていること。また、当該オペレーターの業務を行う時間帯について、当該施設等に勤務しているものとして取扱うことができること。ただし、当該職員が定期巡回サービス又は随時訪問サービスに従事する場合は、当該勤務時間を当該施設等の勤務時間には算入できない(オペレーターの配置についての考え方についてはウと同様)ため、当該施設等における最低基準(当該勤務を行うことが介護報酬における加算の評価対象となっている場合は、当該加算要件)を超えて配置している職員に限られることに留意すること。
キ 面接相談員は、利用者からの通報を受けた場合に適切に対応できるようにする観点から、日中の面接等を通じて利用者の状況を把握するために配置することとしたものである。したがって、面接相談員については、オペレーターと同様の資格又はこれらと同等の知識経験を有する者を配置するように努めることが必要である。
また、面接相談員は、面接を適切に行うために必要な人員を配置すればよく、夜間勤務のオペレーター、訪問介護員等や管理者が従事することも差し支えない。
② 訪問介護員等
ア 定期巡回サービスを行う訪問介護員等については、最低必要となる人員要件は定められていないが、交通事情、訪問頻度等を勘案し、利用者に適切に定期巡回サービスを提供するために必要な数の職員を確保するものとする。
イ 随時訪問サービスを行う訪問介護員等は当該職務に専従し、かつ、提供時間帯を通じて1以上配置している必要があるが、定期巡回サービス及び同一敷地内の指定訪問介護事業所並びに指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の職務に従事することができることとしているほか、オペレーターが当該業務に従事することも差し支えないこと。また、午後6時から午前8時までの時間帯については、利用者からの連絡を受けた後、事業所から利用者宅へ訪問するのと同程度の対応ができるなど、随時訪問サービスの提供に支障がない体制が整備されているのであれば、必ずしも事業所内で勤務する必要はない。さらに、サテライト拠点を有する指定夜間対応型訪問介護事業所においては、本体となる事務所及びサテライト拠点のいずれかにおいて、事業所として必要とされる随時訪問サービスを行う訪問介護員等が配置されていれば基準を満たすものである。なお、サービス利用の状況や利用者数及び業務量を考慮し適切な員数の人員を確保するものとする。
ウ オペレーションセンターを設置しない場合には、オペレーションセンター従業者が行うことになっているオペレーションセンターサービス及び夜間対応型訪問介護計画の作成業務については、訪問介護員等が行うことで足りる。
エ 看護師等の資格を有している者については、「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修関係)」(平成24年3月28日老振発0328第9号厚生労働省老健局振興課長通知)により、定期巡回サービス又は随時訪問サービスを行う訪問介護員等の業務に従事することを認めている。
なお、看護師の資格を有する者を訪問介護員等として雇用する場合は、訪問介護員等として雇用されるのであって、保健師助産師看護師法に規定されている診療の補助及び療養上の世話の業務(社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づく、自らの事業又はその一環として、たんの吸引等の業務を行うための登録を受けている事業所において実施されるたんの吸引等の業務を除く。)を行うものではないこと。
(2) 管理者(基準等条例第50条)
指定夜間対応型訪問介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、当該指定夜間対応型訪問介護事業所のオペレーションセンター従業者(面接相談員を含む。)又は訪問介護員等としての職務に従事する場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。また、日中のオペレーションセンターサービスを実施する場合であって、指定訪問介護事業者の指定を併せて受けて、一体的に運営するときは、指定訪問介護事業所の職務に従事することができるものとし、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者の指定を併せて受けて、一体的に運営するときは、次の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
① 当該指定夜間対応型訪問介護事業者が指定訪問介護事業者、指定訪問看護事業者又は指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者の指定を併せて受け、同一の事業所においてそれぞれの事業が一体的に運営されている場合の、当該指定訪問介護事業所、指定訪問看護事業所又は指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の職務に従事する場合
② 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従事者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設等における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合がある。)
なお、管理者は、オペレーションセンター従業者又は訪問介護員等である必要はないものとする。
3 設備等に関する基準(基準等条例第51条)
(1) 指定夜間対応型訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定夜間対応型訪問介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。
(2) 事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(3) 指定夜間対応型訪問介護事業者は、指定夜間対応型訪問介護に必要な設備及び備品等を確保するものとする。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮すること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定夜間対応型訪問介護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。なお、事務室・区画又は設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。
(4) 利用者からの通報を受け付けるための機器については、必ずしも当該オペレーションセンターに設置され固定されている必要はなく、地域を巡回するオペレーターが携帯することもできること。また、利用者の心身の状況等の情報を蓄積し、利用者からの通報を受信した際に瞬時にそれらの情報が把握できるものでなければならないが、通報を受診する機器と、利用者の心身の情報を蓄積する機器は同一の機器でなくても差し支えないこと。したがって、通報を受け付ける機器としては、一般の携帯電話等であっても差し支えないこと。
(5) 利用者の心身の状況等の情報を蓄積する機器等については、事業所・事業者内のネットワークや情報セキュリティに十分に配慮した上で、インターネットを利用したクラウドコンピューティング等の技術を活用し、オペレーターが所有する端末から常時利用者の情報にアクセスできる体制が確保されていれば、必ずしも当該事業所において機器等を保有する必要はない。また、常時利用者の情報にアクセスできる体制とは、こうした情報通信技術の活用のみに限らず、例えば、オペレーターが所有する紙媒体での利用者のケース記録等が、日々の申し送り等により随時更新され当該事業所において一元的に管理されていること等も含まれるものである。
(6) 利用者に配布するケアコール端末は、利用者が援助を必要とする状態となったときにボタンを押すなどにより、簡単にオペレーターに通報できるものでなければならない。ただし、利用者の心身の状況によって、一般の家庭用電話や携帯電話でも随時の通報を適切に行うことが可能と認められる場合は、利用者に対し携帯電話等を配布すること、又はケアコール端末を配布せず、利用者所有の家庭用電話や携帯電話により随時の通報を行わせることも差し支えないものである。
(7) 利用者に配布するケアコール端末等については、オペレーターに対する発信機能のみならず、オペレーターからの通報を受信する機能を有するものや、テレビ電話等の利用者とオペレーターが画面上でお互いの状況を確認し合いながら対話できるもの等を活用し、利用者が安心して在宅生活を送ることに資するものであることが望ましい。
(8) オペレーションセンターを設置しない場合にあっても、オペレーションセンターにおける通信機器に相当するもの及び利用者に配布するケアコール端末は必要となるものである。
(9) 指定夜間対応型訪問介護事業者が指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者の指定を併せて受け、同一の事業所においてこれらの事業が一体的に運営されている場合は、オペレーションサービスの提供に必要となる設備を双方の事業で共用することができるものである。
(10) 個人情報が記載されている書類については、施錠が可能なロッカー等を使用し適切に管理すること。
4 運営に関する基準
(1) 指定夜間対応型訪問介護の基本的取扱方針及び具体的取扱方針
① 提供された介護サービスについては、目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うとともに、夜間対応型訪問介護計画の修正を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
② 随時訪問サービスの適切な提供に当たって、利用者宅への定期的な訪問等により、利用者の心身の状況等の把握に努めるとともに、利用者とのコミュニケーションを図り、利用者が通報を行いやすい環境づくりに努めるべきものであること。
③ 指定夜間対応型訪問介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであること。
④ 指定夜間対応型訪問介護事業者は、利用者からの連絡内容や心身の状況によっては、指定夜間対応型訪問介護ではなく、医療面からの対応が必要とされる場合があることから、常に指定訪問看護ステーション等の保健医療サービスを提供する者との連携を確保しておくこと。
⑤ 指定夜間対応型訪問介護事業者は、利用者から合鍵を預かる場合には、従業者であっても容易に持ち出すことができないよう厳重な管理を行い、利用者に安心感を与えるものとすること。
(2) 夜間対応型訪問介護計画の作成
① 基準等条例第54条第1項は、オペレーションセンター従業者(オペレーションセンターを設置しない場合にあっては、訪問介護員等。以下同じ。)は、夜間対応型訪問介護計画を作成しなければならないこととしたものである。夜間対応型訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、夜間対応型訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、定期巡回サービス及び随時訪問サービスの援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等の氏名、訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、夜間対応型訪問介護計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 基準等条例第54条第2項は、夜間対応型訪問介護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、夜間対応型訪問介護計画の作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該夜間対応型訪問介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 基準等条例第54条第3項は、夜間対応型訪問介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務付けることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。したがって、オペレーションセンター従業者は、夜間対応型訪問介護計画の目標や内容等については、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
④ 基準等条例第54条第4項は、夜間対応型訪問介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならないこととしたものである。
なお、夜間対応型訪問介護計画は、基準等条例第60条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
⑤ オペレーションセンター従業者は、訪問介護員等の行うサービスが夜間対応型訪問介護計画に沿って実施されているかについて把握するとともに、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
⑥ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定夜間対応型訪問介護事業者については、第3のその1の4の(17)の⑫を準用する。この場合において、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画」とあるのは、「夜間対応型訪問介護計画」とする。
(3) 緊急時等の対応
基準等条例第55条は、訪問介護員等が現に指定夜間対応型訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。
(4) 管理者等の責務
基準等条例第56条は、指定夜間対応型訪問介護事業所の管理者とオペレーションセンター従業者の役割分担について規定したものであり、管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに従業者に基準等条例第3章第4節に規定する運営に関する基準を遵守させるための指揮命令を、オペレーションセンター従業者は、オペレーションセンターサービスのほか、指定夜間対応型訪問介護の利用の申込みに係る調整、訪問介護員等に対する技術指導等のサービスの内容の管理を行うものである。
(5) 運営規程
(6) 勤務体制の確保等
基準等条例第58条は、利用者に対する適切な指定夜間対応型訪問介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
① 指定夜間対応型訪問介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、オペレーションセンター従業者及び訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすること。
② 基準等条例第58条第2項本文は、当該指定夜間対応型訪問介護事業所の訪問介護員等によって定期巡回サービス及び随時訪問サービスを提供するべきことを規定したものであるが、指定夜間対応型訪問介護事業所の訪問介護員等とは、雇用契約、労働者派遣法に規定する労働者派遣契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等を指すものであること。なお、社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づき、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に規定する口腔内の喀痰吸引その他の行為を業として行う訪問介護員等については、労働者派遣法に基づく派遣労働者(同法に規定する紹介予定派遣又は同法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合を除く。)であってはならないこと。
③ 基準等条例第58条第2項ただし書は、当該夜間対応型訪問介護事業所の夜間対応型訪問介護従業者によって指定夜間対応型訪問介護を提供するべきであるが、地域の実情に応じて、既存の地域資源・地域の人材を活用しながら、指定夜間対応型訪問介護の実施を可能とする観点から、地域の指定訪問介護事業所、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所に対して、定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス及び随時訪問サービスの事業の一部を委託することができることとしたものである。この場合において、「事業の一部」の範囲については市長が判断することとなるが、同一時間帯において、全ての利用者に対する定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス及び随時訪問サービスの全てを委託してはならないという趣旨であることに留意すること。したがって、指定夜間対応型訪問介護事業所が定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス及び随時訪問サービスのいずれも提供しない時間帯が生じることは認められないこと。なお、事業の一部委託に当たっては契約に基づくこととし、当該契約において、当該委託業務に要する委託料並びに利用者に関する情報の取扱い方法、委託するサービスの具体的な実施方法、事故発生時等の責任の所在及び緊急時等の対応方法等について定めるとともに、利用者に対して当該契約の内容についての説明を十分に行うこと。
(一部委託の例)
ア 利用者50人を担当する指定夜間対応型訪問介護事業所が、事業所の所在地と一定以上の距離を有する地域に居住する利用者10人に係る定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス及び随時訪問サービスを当該利用者が居住する地域に所在する指定訪問介護事業所に委託
イ 深夜帯におけるオペレーションセンターサービス及び随時訪問サービスを、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所に委託(指定夜間対応型訪問介護事業所は定期巡回サービスを実施)
④ 基準等条例第58条第3項は、オペレーションセンターサービスに限り、複数の指定夜間対応型訪問介護事業所の間での一体的実施ができることとしたものである。この場合において、一体的実施ができる範囲について本市の区域を超えることを妨げるものではなく、オペレーションセンターサービスが単なる通報受け付けサービスではないことを踏まえ、それぞれの事業所における利用者情報(提供されている具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況や家族の状況等)、事業所周辺の医療機関の情報、随時の気象状況や道路状況等、当該事業所がオペレーションセンターサービスを行うために必要な情報が随時把握されており、かつ、平均的な随時対応件数を踏まえて適切な体制が確保されており、利用者の心身の状況に応じて必要な対応を行うことができる場合に認められるものであり、全国の利用者に対するオペレーションセンターサービスを1か所の指定夜間対応型訪問介護事業所に集約するような業務形態は想定していない。なお、一体的実施に当たっては同一法人の事業所間に限らず、別法人の事業所間でも認められるものであるが、この場合、契約に基づくこととし、当該契約において、当該業務に要する委託料及び当該委託業務に要する委託料並びに利用者に関する情報の取扱い方法、随時訪問サービスの具体的な実施方法、事故発生時等の責任の所在及び緊急時等の対応方法等について定めるとともに、利用者に対して当該契約の内容についての説明を十分に行うこと。なおオペレーションセンターサービスの一体的実施により、オペレーションセンターサービスを行わない指定夜間対応型訪問介護事業所は、当該時間帯における定期巡回サービス及び随時訪問サービスについては、実施しなければならないこと。
⑤ 基準等条例第58条第4項は、当該指定夜間対応型訪問介護事業所の従業者たる訪問介護員等の質の向上を図るため、具体的な研修計画を策定し、研修機関又は当該指定夜間対応型訪問介護事業者が実施する研修その他その資質の向上のための研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。特に利用者の人権の擁護、高齢者虐待の防止、身体的拘束の廃止、感染症や食中毒の予防とまん延防止、事故発生の防止等のため、従業者に対し定期的に研修の実施その他必要な措置を講じること。
⑥ 基準等条例第58条第5項の規定は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第34条第5項と基本的に同趣旨であるため、第3のその1の4の(22)の⑥を参照すること。
(7) 業務継続計画の策定等
基準等条例第61条の規定により指定夜間対応型訪問介護の事業について準用される基準等条例第34条の2の規定については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様であるので、第3のその1の4の(23)を参照すること。
(8) 衛生管理等
(9) 地域との連携等
① 基準等条例第59条第1項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第41条第3項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(29)の④を参照すること。
② 基準等条例第59条第2項は、高齢者向け集合住宅等と同一の建物に所在する指定夜間対応型訪問介護事業所が当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者に指定夜間対応型訪問介護を提供する場合、当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者のみを対象としたサービス提供が行われないよう、基準等条例第61条おいて準用する基準等条例第12条の正当な理由がある場合を除き、地域包括ケア推進の観点から地域の要介護者にもサービス提供を行うよう努めなければならないことを定めたものである。なお、こうした趣旨を踏まえ、必要に応じて本市が条例等を定める場合や、地域密着型サービス運営委員会等の意見を踏まえて指定の際に条件を付す場合において、例えば、当該事業所の利用者のうち、一定割合以上を当該高齢者向け集合住宅等以外の利用者とするよう努める、あるいはしなければならない等の規定を設けることがあるので留意すること。この際、自立支援や重度化防止等につながるようなサービス提供がなされているか等、サービスの質が担保されているかが重要であることに留意すること。
(10) 虐待の防止
基準等条例第61条の規定により指定夜間対応型訪問介護の事業について準用される基準等条例第42条の2の規定については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様であるので、第3のその1の4の(31)を参照すること。
(11) 記録の整備
基準等条例第60条第2項は、指定夜間対応型訪問介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、5年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立を含む。)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
(12) 準用
② 準用される基準等条例第11条については、特にオペレーションセンターを設置しない指定夜間対応型訪問介護事業者は、オペレーションセンターを設置しない場合のオペレーションサービスの実施方法について十分な説明を行わなければならないこと。また、随時訪問サービスを他の指定訪問介護事業所の訪問介護員等に行わせる場合については、その旨について十分な説明を行わなければならないこと。
③ 準用される基準等条例第17条については、第3のその1の4の(7)において、「利用者の在宅生活の継続のための総合的な支援を、日々の定期巡回サービス等の実施により継続的に把握される利用者の心身の状況に応じて柔軟に行うサービスであることから、その他の介護保険サービスの利用を含めた利用者の地域での生活全般のマネジメントを行う」とあるのは「指定夜間対応型訪問介護の随時訪問サービスは、利用者からの通報により随時に提供されるサービスであることから、給付管理を行う」と読み替えること。
その2の2 地域密着型通所介護
1 人員に関する基準
(1) 従業者の員数(基準等条例第61条の3)
① 指定地域密着型通所介護の単位とは、同時に、一体的に提供される指定地域密着型通所介護をいうものであることから、例えば、次のような場合は、2単位として扱われ、それぞれの単位ごとに必要な従業者を確保する必要がある。
ア 指定地域密着型通所介護が同時に一定の距離を置いた2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているといえない場合
イ 午前と午後とで別の利用者に対して指定地域密着型通所介護を提供する場合
また、利用者ごとに策定した地域密着型通所介護計画に位置づけられた内容の指定地域密着型通所介護が一体的に提供されていると認められる場合は、同一単位で提供時間数の異なる利用者に対して指定地域密着型通所介護を行うことも可能である。なお、同時一体的に行われているとは認められない場合は、別単位となることに留意する。
② 8時間以上9時間未満の指定地域密着型通所介護の前後に連続して延長サービスを行う場合にあっては、事業所の実情に応じて、適当数の従業者を配置するものとする。
③ 基準等条例第61条の3第1項第1号の生活相談員、同項第3号の介護職員及び同条第2項の看護職員又は介護職員の人員配置については、当該職種の従業員がサービス提供時間内に勤務する時間数の合計(以下「勤務延時間数」という。)を提供時間数で除して得た数が基準において定められた数以上となるよう、勤務延時間数を確保するよう定めたものであり、必要な勤務延時間数が確保されれば当該職種の従業者の員数は問わないものである。
④ 生活相談員については、指定地域密着型通所介護の単位の数にかかわらず、次の計算式のとおり指定地域密着型通所介護事業所における提供時間数に応じた生活相談員の配置が必要になるものである。ここでいう提供時間数とは、当該事業所におけるサービス提供開始時刻から終了時刻まで(サービスが提供されていない時間帯を除く。)とする。
(確保すべき生活相談員の勤務延時間数の計算式)
提供日ごとに確保すべき勤務延時間数=提供時間数
例えば、1単位の指定地域密着型通所介護を実施している事業所の提供時間数を6時間とした場合、生活相談員の勤務延時間数を、提供時間数である6時間で除して得た数が1以上となるよう確保すればよいことから、従業者の員数にかかわらず6時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。
また、例えば午前9時から正午、午後1時から午後6時の2単位の指定地域密着型通所介護を実施している事業所の場合、当該事業所におけるサービス提供時間は午前9時から午後6時(正午から午後1時までを除く。)となり、提供時間数は8時間となることから、従業者の員数にかかわらず8時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。
なお、指定地域密着型通所介護事業所が、利用者の地域での暮らしを支えるため、医療機関、他の居宅サービス事業者、地域の住民活動等と連携し、指定地域密着型通所介護事業所を利用しない日でも利用者の地域生活を支える地域連携の拠点としての機能を展開できるように、生活相談員の確保すべき勤務延時間数には、「サービス担当者会議や地域ケア会議に出席するための時間」、「利用者宅を訪問し、在宅生活の状況を確認した上で、利用者の家族も含めた相談・援助のための時間」、「地域の町内会、自治会、ボランティア団体等と連携し、利用者に必要な生活支援を担ってもらうなどの社会資源の発掘・活用のための時間」など、利用者の地域生活を支える取組のために必要な時間も含めることができる。
ただし、生活相談員は、利用者の生活の向上を図るため適切な相談・援助等を行う必要があり、これらに支障がない範囲で認められるものである。
⑤ 基準等条例第61条の3第1項第3号にいう介護職員(第2項の適用を受ける場合の看護職員又は介護職員を含む。以下⑤について同じ。)については、指定地域密着型通所介護の単位ごとに、提供時間数に応じた配置が必要となるものであり、確保すべき勤務延時間数は、次の計算式のとおり提供時間数及び利用者数から算出される。なお、ここでいう提供時間数とは、当該単位における平均提供時間数(利用者ごとの提供時間数の合計を利用者数で除して得た数)とする。
(確保すべき介護職員の勤務延時間数の計算式)
・利用者数15人まで
単位ごとに確保すべき勤務延時間数=平均提供時間数
・利用者数16人以上
単位ごとに確保すべき勤務延時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数
※ 平均提供時間数=利用者ごとの提供時間数の合計÷利用者数
例えば、利用者数18人、提供時間数を5時間とした場合、(18-15)÷5+1=1.6となり、5時間の勤務時間数を1.6名分確保すればよいことから、従業員の員数にかかわらず、5×1.6=8時間の勤務延時間数分の人員配置が必要となる。利用者数と平均提供時間数に応じて確保すべき勤務延時間数の具体例を別表に示すものとする。
なお、介護職員については、指定地域密着型通所介護の単位ごとに常時1名以上確保することとされているが、これは、介護職員が常に確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものであり、例えば、計算式により算出した確保すべき勤務延時間数が、当該事業所におけるサービス提供開始時刻から終了時刻までの時間数に満たない場合であっても、常時1名以上が確保されるよう配置を行う必要があることに留意する。
また、介護職員は、利用者の処遇に支障がない場合は他の指定地域密着型通所介護の単位の介護職員として従事することができるとされたことから、例えば複数の単位の指定地域密着型通所介護を同じ時間帯に実施している場合、単位ごとに介護職員等が常に1名以上確保されている限りにおいては、単位を超えて柔軟な配置が可能である。
⑥ 看護職員については、指定地域密着型通所介護事業所の従業者により確保することに加え、病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により確保することも可能である。具体的な取扱いは次のとおりとする。
ア 指定地域密着型通所介護事業所の従業者により確保する場合
提供時間帯を通じて、専ら当該指定地域密着型通所介護の提供に当たる必要はないが、当該看護職員は提供時間帯を通じて、指定地域密着型通所介護事業所と密接かつ適切な連携を図るものとする。
イ 病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により確保する場合
看護職員が指定地域密着型通所介護事業所の営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、病院、診療所、訪問看護ステーションと指定地域密着型通所介護事業所が提供時間帯を通じて密接かつ適切な連携を図るものとする。
なお、アとイにおける「密接かつ適切な連携」とは、指定地域密着型通所介護事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保することである。
⑦ 利用者の数又は利用定員は、単位ごとの指定地域密着型通所介護についての利用者の数又は利用定員をいうものであり、利用者の数は実人員、利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものである。従って、例えば、1日のうちの午前の提供時間帯に利用者10人に対して指定地域密着型通所介護を提供し、午後の提供時間帯に別の利用者10人に対して指定地域密着型通所介護を提供する場合であって、それぞれの指定地域密着型通所介護の定員が10人である場合には、当該事業所の利用定員は10人、必要となる介護職員は午前午後それぞれにおいて利用者10人に応じた数ということとなり、人員算定上午前の利用者の数と午後の利用者の数が合算されるものではない。
⑧ 同一事業所で複数の単位の指定地域密着型通所介護を同時に行う場合であっても、常勤の従業者は事業所ごとに確保すれば足りるものである(基準等条例第61条の3第7項関係)。
(2) 生活相談員(基準等条例第61条の3第1項第1号)
生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものである。
(3) 機能訓練指導員(基準等条例第61条の3第6項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格を有する者(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
(4) 管理者(基準等条例第61条の4)
指定地域密着型通所介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者は、地域密着型通所介護従事者である必要はないものである。
① 当該指定域密着型通所介護事業所の地域密着型通所介護従事者としての職務に従事する場合
② 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)
2 設備に関する基準(基準等条例第61条の5)
(1) 事業所
① 事業所とは、指定地域密着型通所介護を提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。原則として1の建物につき、1の事業所とするが、利用者の利便のため、利用者に身近な社会資源(既存施設)を活用して、事業所の従業者が当該既存施設に出向いて指定地域密着型通所介護を提供する場合については、これらを事業所の一部とみなして設備基準を適用するものである(基準等条例第65条第1項、第88条第1項及び第197条第1項についても同様とする。)。
② 個人情報が記載されている書類については、施錠が可能なロッカー等を使用し適切に管理する。
(2) 食堂及び機能訓練室
指定地域密着型通所介護事業所の食堂及び機能訓練室(以下「指定地域密着型通所介護の機能訓練室等」という。)については、3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上とすることとされたが、指定地域密着型通所介護が原則として同時に複数の利用者に対し介護を提供するものであることに鑑み、狭隘な部屋を多数設置することにより面積を確保すべきではないものである。ただし、指定地域密着型通所介護の単位をさらにグループ分けして効果的な指定地域密着型通所介護の提供が期待される場合はこの限りでない。
(3) 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備
消火設備その他の非常災害に際して必要な設備とは、消防法その他の法令等に規定された設備を示しており、それらの設備を確実に設置しなければならないものである(基準等条例第65条第1項、第88条第1項、第134条第6項、第154条第1項第9号及び第197条第1項についても同様とする。)。
(4) 設備に係る共用
指定地域密着型通所介護事業所と指定居宅サービス事業所等を併設している場合に、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、設備基準上両方のサービスに規定があるもの(指定訪問介護事業所の場合は事務室)は共用が可能である。ただし、指定地域密着型通所介護事業所の機能訓練室等と、指定地域密着型通所介護事業所と併設の関係にある病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院における指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースについて共用する場合にあっては、以下の条件に適合することをもって、これらが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。
ア 当該部屋等において、指定地域密着型通所介護事業所の機能訓練室等と指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースが明確に区分されていること。
イ 指定地域密着型通所介護事業所の機能訓練室等として使用される区分が、指定地域密着型通所介護事業所の設備基準を満たし、かつ、指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースとして使用される区分が、指定通所リハビリテーション事業所等の設備基準を満たすこと。
また、玄関、廊下、階段、送迎車両など、基準上は規定がないが、設置されるものについても、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、共用が可能である。
なお、設備を共用する場合、基準等条例第61条の16第2項において、指定地域密着型通所介護事業者は、事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講じるよう努めなければならないと定めているところであるが、衛生管理等に一層努めること。
(5) 指定地域密着型通所介護事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に指定地域密着型通所介護以外のサービスを提供する場合
指定地域密着型通所介護の提供以外の目的で、指定地域密着型通所介護事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に指定地域密着型通所介護以外のサービス(以下「宿泊サービス」という。)を提供する場合には、当該サービスの内容を当該サービスの提供開始前に市長(以下「指定権者」という。)に届け出る必要があり、当該サービスの届出内容については、別に定めるところによるものとする。また、指定地域密着型通所介護事業者は、宿泊サービスの届出内容に係る介護サービス情報を新潟県に報告することとする。
指定地域密着型通所介護事業者は届け出た宿泊サービスの内容に変更がある場合は、変更の事由が生じてから10日以内に指定権者に届け出るよう努めることとする。また、宿泊サービスを休止し、又は廃止する場合は、その休止又は廃止の日の1月前までに指定権者に届け出るよう努めることとする。
3 運営に関する基準
(1) 利用料等の受領
① 基準等条例第61条の7第1項、第2項及び第5項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第23条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(13)の①、②及び④を参照するものとする。
② 基準等条例第61条の7第3項は、指定地域密着型通所介護事業者は、指定地域密着型通所介護の提供に関して、次のアからオまでのものについては、基準等条例第61条の7第1項及び第2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
なお、ウの費用については、居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針(平成17年厚生労働省告示第419号。以下「指針」という。)の定めるところによるものとし、オの費用の具体的な範囲については、国において別に通知するところによるものとする。
ア 利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用
イ 指定地域密着型通所介護に通常要する時間を超える指定地域密着型通所介護であって利用者の選定に係るものの提供に伴い必要となる費用の範囲内において、通常の指定地域密着型通所介護に係る地域密着型介護サービス費用基準額を超える費用
ウ 食事の提供に要する費用
エ おむつ代
オ アからエまでに掲げるもののほか、指定地域密着型通所介護の提供において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの
(2) 指定地域密着型通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
指定地域密着型通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針については、基準等条例第61条の8及び第61条の9の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
① 指定地域密着型通所介護は、個々の利用者に応じて作成された地域密着型通所介護計画に基づいて行われなけらばならない。ただし、その実施方法においては、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。
② 基準等条例第61条の9第4号で定める「サービスの提供方法等」とは、地域密着型通所介護計画の目標及び内容や利用日の行事及び日課等も含むものであること。
③ 認知症の状態にある要介護者で、他の要介護者と同じグループとして、指定地域密着型通所介護を提供することが困難な場合には、必要に応じグループを分けて対応すること。
④ 指定地域密着型通所介護は、事業所内でサービスを提供することが原則であるが、次に掲げる条件を満たす場合においては、事業所の屋外でサービスを提供することができるものであること。
ア あらかじめ地域密着型通所介護計画に位置付けられていること。
イ 効果的な機能訓練等のサービスが提供できること。
⑤ 利用者が日常生活を送る上で自らの役割を持つことにより、達成感や満足感を得、自信を回復するなどの効果が期待されるとともに、利用者にとって自らの日常生活の場であると実感できるよう必要な援助を行わなければならないこと。
(3) 地域密着型通所介護計画の作成
① 基準等条例第61条の10で定める地域密着型通所介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましい。
② 地域密着型通所介護計画は、サービスの提供に関わる従業者が共同して個々の利用者ごとに作成するものである。
③ 地域密着型通所介護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこと。
なお、地域密着型通所介護計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該地域密着型通所介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
④ 地域密着型通所介護計画は利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、指定地域密着型通所介護事業所の管理者は、地域密着型通所介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該地域密着型通所介護計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した地域密着型通所介護計画は、基準等条例第61条の19第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
⑤ 地域密着型通所介護計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
⑥ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定地域密着型通所介護事業者については、第3のその1の4の(17)の⑫を準用する。この場合において、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画」とあるのは「地域密着型通所介護計画」とする。
(4) 管理者の責務
基準等条例第61条の11は、指定地域密着型通所介護事業所の管理者の責務を、指定地域密着型通所介護事業所の従業者の管理及び指定地域密着型通所介護の利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該指定地域密着型通所介護事業所の従業者に基準等条例の第3章の2第4節の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。
(5) 運営規程(基準等条例第61条の12)
基準等条例第61条の12は、指定地域密着型通所介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定地域密着型通所介護の提供を確保するため、同条第1号から第11号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定地域密着型通所介護事業所ごとに義務付けたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 営業日及び営業時間(第3号)
指定地域密着型通所介護の営業日及び営業時間を記載すること。
なお、8時間以上9時間未満の指定地域密着型通所介護の前後に連続して延長サービスを行う指定地域密着型通所介護事業所にあっては、基準等条例第61条の3にいう提供時間帯とは別に当該延長サービスを行う時間を運営規程に明記すること。
例えば、提供時間帯(9時間)の前に連続して1時間、後に連続して2時間、合計3時間の延長サービスを行う指定地域密着型通所介護事業所にあっては、当該指定地域密着型通所介護事業所の営業時間は12時間であるが、運営規程には、提供時間帯9時間、延長サービスを行う時間3時間とそれぞれ記載するものとすること。
② 指定地域密着型通所介護の利用定員(第4号)
利用定員とは、当該指定地域密着型通所介護事業所において同時に指定地域密着型通所介護の提供を受けることができる利用者の数の上限をいうものであること。
③ 指定地域密着型通所介護の内容及び利用料その他の費用の額(第5号)
「指定地域密着型通所介護の内容」については、入浴、食事の有無等のサービスの内容を指すものであること。
④ 通常の事業の実施地域(第6号)
基準等条例第61条の12第6号は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第33条第5号の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(21)の⑤を参照すること。
⑤ サービス利用に当たっての留意事項(第7号)
利用者が指定地域密着型通所介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(機能訓練室を利用する際の注意事項等)を指すものであること。
⑥ 非常災害対策(第9号)
(8)の非常災害に関する具体的計画を指すものであること(基準等条例第75条第9号、第147条第8号及び第170条第7号についても同様とする。)。
(6) 勤務体制の確保等
基準等条例第61条の13は、利用者に対する適切な指定地域密着型通所介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
① 指定地域密着型通所介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、地域密着型通所介護従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、専従の生活相談員、看護職員、介護職員及び機能訓練指導員の配置、管理者との兼務関係等を明確にすること。
② 同条第2項は、原則として、当該指定地域密着型通所介護事業所の従業者たる地域密着型通所介護従業者によって指定地域密着型通所介護を提供するべきであるが、調理、洗濯等の利用者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。
③ 基準等条例第61条の13第3項前段は、当該指定地域密着型通所介護事業所の従事者の質の向上を図るため、具体的な研修計画を策定し、研修機関又は当該指定地域密着型通所介護事業者が実施する研修その他その資質の向上のための研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。特に利用者の人権の擁護、高齢者虐待の防止、身体的拘束の廃止、感染症や食中毒の予防とまん延防止、事故発生の防止等のため、従業者に対し定期的に研修の実施その他必要な措置を講じること。
また、同項後段は、介護サービス事業者に、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務付けることとしたものであり、これは、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させ、認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から実施するものであること。
当該義務付けの対象とならない者は、各資格のカリキュラム等において、認知症介護に関する基礎的な知識及び技術を習得している者とすることとし、具体的には、同条第3項において規定されている看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者に加え、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修課程一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等とする。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第5項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。指定地域密着型通所介護事業者は、令和6年3月31日までに医療・福祉関係資格を有さない全ての地域密着型通所介護従業者に対し認知症介護基礎研修を受講させるための必要な措置を講じなければならない。また、新卒採用、中途採用を問わず、事業所が新たに採用した従業者(医療・福祉関係資格を有さない者に限る。)に対する当該義務付けの適用については、採用後1年間の猶予期間を設けることとし、採用後1年を経過するまでに認知症介護基礎研修を受講させることとする(この場合についても、令和6年3月31日までは努力義務で差し支えない。)。
④ 基準等条例第61条の13第4項の規定は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第34条第5項と基本的に同趣旨であるため、第3のその1の4の(22)の⑥を参照するものとする。
(7) 業務継続計画の策定等
① 基準等条例第61条の20により指定地域密着型通所介護の事業について準用される基準等条例第34条の2は、指定地域密着型通所介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定地域密着型通所介護の提供を受けられるよう、業務継続計画を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、地域密着型通所介護従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準等条例第34条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施に当たっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第3項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、厚生労働省「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照すること。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
ア 感染症に係る業務継続計画
(ア) 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
(イ) 初動対応
(ウ) 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
イ 災害に係る業務継続計画
(ア) 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
(イ) 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
(ウ) 他施設及び地域との連携
③ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
④ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。また、災害の業務継続計画に係る訓練については、非常災害対策に係る訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(8) 非常災害対策
① 基準等条例第61条の15は、指定地域密着型通所介護事業者は、想定される非常災害の態様ごとに、その程度及び規模に応じた具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難及び救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。関係機関への通報及び連携体制の整備とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう従業員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民、医療機関、他の社会福祉施設等との連携を図り、事前の訓練等に当たっては、非常災害時における消火・避難等における協力関係を構築するよう努めなければならない。なお、「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)並びに風水害及び地震、雪害等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定により防火管理者を置くこととされている指定地域密着型通所介護事業所にあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている指定地域密着型通所介護事業所においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。
② 基準等条例第61条の15第2項は、指定地域密着型通所介護事業者が同条第1項に規定する避難、救出その他の訓練の実施に当たって、できるだけ地域住民の参加が得られるよう努めることとしたものであり、そのためには、地域住民の代表者等により構成される運営推進会議を活用し、日頃から地域住民との密接な連携体制を確保するなど、訓練の実施に協力を得られる体制づくりに努めることが必要である。訓練の実施に当たっては、消防関係者の参加を促し、具体的な指示を仰ぐなど、より実効性のあるものとすること。
(9) 衛生管理等
① 基準等条例第61条の16は、指定地域密着型通所介護事業所の必要最低限の衛生管理等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
ア 指定地域密着型通所介護事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
イ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、国から別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
ウ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
② 基準等条例第61条の16第2項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のアからウまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第4項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
ア 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、本市における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」を参照すること。
ウ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
地域密着型通所介護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(10) 地域との連携等
① 基準等条例第61条の17第1項に定める運営推進会議は、指定地域密着型通所介護事業所が、利用者、本市職員、地域住民の代表者等に対し、提供しているサービス内容等を明らかにすることにより、事業所による利用者の「抱え込み」を防止し、地域に開かれたサービスとすることで、サービスの質の確保を図ることを目的として設置するものであり、各事業所が自ら設置すべきものである。
この運営推進会議は、事業所の指定申請時には、既に設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要となるものである。
また、地域の住民の代表者とは、町内会役員、民生委員、老人クラブの代表等が考えられる。
運営推進会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この①において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、指定地域密着型通所介護事業所と他の地域密着型サービス事業所を併設している場合においては、1つの運営推進会議において、両事業所の評価等を行うことで差し支えない。
また、運営推進会議の効率化や、事業所間のネットワーク形成の促進等の観点から、次に掲げる条件を満たす場合においては、複数の事業所の運営推進会議を合同で開催して差し支えない。
ア 利用者等については匿名とするなど、個人情報・プライバシーを保護すること。
イ 同一の日常生活圏域内に所在する事業所であること。ただし、事業所間のネットワーク形成の促進が図られる範囲で、地域の実情に合わせて、市町村区域の単位等内に所在する事業所であっても差し支えないこと。
② 運営推進会議における報告等の記録は、基準等条例第61条の19第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
③ 基準等条例第61条の17第3項は、指定地域密着型通所介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定地域密着型通所介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。
④ 基準等条例第61条の17第4項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第41条第3項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(29)の④を参照するものとする。
⑤ 基準等条例第61条の17第5項は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第41条第4項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(29)の⑤を参照するものとする。
(11) 事故発生時の対応
基準等条例第61条の18は、利用者が安心して指定地域密着型通所介護の提供を受けられるよう、事故発生時の速やかな対応を規定したものである。指定地域密着型通所介護事業者は、利用者に対する指定地域密着型通所介護の提供により事故が発生した場合は、本市、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、当該事故の状況及び事故に際して行った処置について記録しなければならないこととしたものである。また、利用者に対する指定地域密着型通所介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。なお、基準等条例第61条の19第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して行った処置についての記録は、5年間保存しなければならない。このほか、次の点に留意するものとする。
① 利用者に対する指定地域密着型通所介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定地域密着型通所介護事業者が定めておくことが望ましいこと。
② 指定地域密着型通所介護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。
③ 指定地域密着型通所介護事業者は、事故が発生した際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
なお、宿泊サービスの提供により事故が発生した場合は、以上を踏まえた同様の対応を行うこととする。
(12) 虐待の防止
基準等条例第61条の20の規定により指定地域密着型通所介護の事業について準用される基準等条例第42条の2の規定については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様であるので、第3のその1の4の(31)を参照すること。
(13) 記録の整備
基準等条例第61条の19第2項は、指定地域密着型通所介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、5年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、同項第1号から第5号までの記録については、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立を含む。)により一連のサービス提供が終了した日、同項第6号の記録については、基準等条例第61条の17第1項の運営推進会議を開催し、同条第2項に規定する報告、評価、要望、助言等の記録を公表した日とする。
(14) 準用
4 共生型地域密着型通所介護に関する基準
共生型地域密着型通所介護は、指定障害福祉サービス等基準第78条第1項に規定する指定生活介護事業者、指定障害福祉サービス等基準第156条第1項に規定する指定自立訓練(機能訓練)事業者、指定障害福祉サービス等基準第166条第1項に規定する指定自立訓練(生活訓練)事業者、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「指定通所支援基準」という。)第5条第1項に規定する指定児童発達支援事業者又は指定通所支援基準第66条第1項に規定する指定放課後等デイサービス事業者が、要介護者に対して提供する指定地域密着型通所介護をいうものであり、共生型地域密着型通所介護事業所が満たすべき基準は、次のとおりである。
(1) 従業者の員数及び管理者(基準等条例第61条の20の2第1号、第61条の20の3)
① 従業者
指定生活介護事業所、指定自立訓練(機能訓練)事業所、指定自立訓練(生活訓練)事業所、指定児童発達支援事業所又は指定放課後等デイサービス事業所(以下この4において「指定生活介護事業所等」という。)の従業者の員数が、共生型地域密着型通所介護を受ける利用者(要介護者)の数を含めて当該指定生活介護事業所等の利用者の数とした場合に、当該指定生活介護事業所等として必要とされる数以上であること。
この場合において、指定生活介護事業所の従業者については、前年度の利用者の平均障害支援区分に基づき、必要数を配置することになっているが、その算出に当たっては、共生型地域密着型通所介護を受ける利用者(要介護者)は障害支援区分5とみなして計算すること。
② 管理者
指定地域密着型通所介護の場合と同趣旨であるため、第3のその2の2の1の(4)を参照すること。なお、共生型地域密着型通所介護事業所の管理者と指定生活介護事業所等の管理者を兼務することは差し支えないこと。
(2) 設備に関する基準
指定生活介護事業所等として満たすべき設備基準を満たしていれば足りるものであること。
ただし、以下の点について配慮すること。
① 指定児童発達支援事業所又は指定放課後等デイサービス事業所の場合は、必要な設備等について要介護者が使用するものに適したものとすること。
② 指定生活介護事業所等の設備として、便所を備えること。
③ 個人情報が記載されている書類については、施錠が可能なロッカー等を使用し適切に保管すること。
なお、当該設備については、共生型サービスは要介護者、障害者及び障害児に同じ場所で同時に提供することを想定していることから、要介護者、障害者又は障害児がそれぞれ利用する設備を区切る壁、家具、カーテンやパーティション等の仕切りは、不要であること。
(3) 指定地域密着型通所介護事業所その他の関係施設から、指定生活介護事業所等が要介護者の支援を行う上で、必要な技術的支援を受けていること(基準等条例第61条の20の2第2号)。
(4) 運営等に関する基準(基準等条例第61条の20の3)
この場合において、準用される基準等条例第61条の12第4号及び第61条の14の規定について、共生型地域密着型通所介護の利用定員は、共生型地域密着型通所介護の指定を受ける指定生活介護事業所等において同時にサービス提供を受けることができる利用者数の上限をいうものであること。つまり、介護給付の対象となる利用者(要介護者)の数と障害給付の対象となる利用者(障害者及び障害児)の数との合計数により、利用定員を定めること。例えば、利用定員が10人という場合、要介護者と障害者及び障害児とを合わせて10人という意味であり、利用日によって、要介護者が5人、障害者及び障害児が5人であっても、要介護者が2人、障害者及び障害児が8人であっても、差し支えないこと。
(5) その他の共生型サービスについて
高齢者と障害者・障害児に一体的にサービス提供するものであって、次に掲げるものについても「共生型サービス」であり、地域共生社会の実現に向け、これらの推進も図られることが望ましいこと。
なお、共生型サービスは、各事業所の選択肢の一つであり、地域の高齢者や、障害者・障害児のニーズを踏まえて、各事業所は指定を受けるかどうか判断することとなる。
① デイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイについて、障害福祉制度と介護保険制度の両方の基準を満たして両方の指定を受けているもの
② 法令上、「共生型サービス」の対象とされているデイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイ以外のサービス(例えば、障害福祉制度の共同生活援助と介護保険の認知症対応型共同生活介護)について、障害福祉制度と介護保険制度の両方の指定を受けているもの
③ 障害福祉制度の基準を満たして指定を受け、かつ、介護保険制度の基準該当サービスを活用しているもの
(6) その他の留意事項
多様な利用者に対して、一体的にサービスを提供する取組は、多様な利用者が共に活動することで、リハビリや自立・自己実現に良い効果を生むといった面があることを踏まえ、共生型サービスは、要介護者、障害者及び障害児に同じ場所で同時に提供することを想定している。
このため、同じ場所において、サービスを時間によって要介護者、障害者及び障害児に分けて提供する場合(例えば、午前中に要介護者に対して地域密着型通所介護、午後の放課後の時間に障害児に対して放課後等デイサービスを提供する場合)は、共生型サービスとしては認められないものである。
5 指定療養通所介護の事業
(1) 指定療養通所介護の基本方針
指定療養通所介護の対象者は、医療及び介護双方の必要性が高い者であることから、主治の医師並びに、現に訪問看護を利用している場合は、当該事業者と密接な連携を図りつつ実施することを規定したものである。
(2) 人員に関する基準
① 従業者の員数(基準等条例第61条の23)
ア 指定療養通所介護の提供に当たる看護職員又は介護職員の員数は、利用者2人の場合は1.3人以上、3人の場合は2人以上、5人の場合は3.3人以上を確保することが必要であり、このような体制が確保できるよう職員配置することとする。なお、小数点以下の端数が生じる場合があるが、これはサービス提供時間のうち職員が専従するべき時間の割合を示したものである。
イ 常勤の看護師は、専ら指定療養通所介護の職務に従事する者を1人以上確保することとされているが、複数の看護師が交代で従事することにより必要数を確保することも認められる。ただし、利用者がサービス提供に当たり常時看護師による観察が必要な状態であることから、同一の看護師ができるだけ長時間継続して利用者の状態を観察することが望ましく、従事する看護師が頻回に交代する体制は望ましくない。
ウ 療養通所介護計画に位置付けられた内容の指定療養通所介護を行うのに要する時間が異なる利用者が同一の日に混在する場合、必要な療養通所介護従業者の員数は、利用者ごとの利用時間数の合計値を1.5で除して得られる数以上の時間勤務するのに必要と認められる数以上となる。
② 管理者(基準等条例第61条の24)
ア 指定療養通所介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該指定療養通所介護の管理業務に従事するものとする。ただし、次の場合であって、当該指定療養通所介護の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
(ア) 当該指定療養通所介護の看護職員としての職務に従事する場合
(イ) 訪問看護ステーションなど他の事業所、施設等が同一敷地内にある場合に、当該他の事業所等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される入所施設における看護業務(管理業務を含む。)との兼務は管理者の業務に支障があると考えられる。)
イ 指定療養通所介護事業所の管理者は、管理者としてふさわしいと認められる看護師であって、保健師助産師看護師法第14条第3項の規定により看護師の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しないものに該当しないものである。
ウ 指定療養通所介護事業所の管理者は、訪問看護に従事した経験のある者でなければならない。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。
(3) 設備に関する基準
① 利用定員等
利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものであり、事業所の実情に応じて18人までの範囲で定めることとするものである。
② 設備及び備品等
ア 指定療養通所介護を行うのにふさわしい専用の部屋とは、利用者の状態を勘案して判断されるものであるが、利用者毎の部屋の設置を求めるものではない。
イ 専用の部屋の面積は、利用者1人につき6.4平方メートル以上であって、明確に区分され、他の部屋等から完全に遮蔽されていることとする。
ウ 指定療養通所介護を行う設備は専用でなければならないが、当該サービスの提供に支障がない場合は、この限りではない。例えば、利用者以外の者(重症心身障害児等)をサービス提供に支障のない範囲で受け入れることが可能である。ただしこの場合、利用者以外の者も利用者とみなして人員及び設備の基準を満たさなければならない。具体的には、利用定員を9人として定めている場合には、利用者7人、利用者以外の者2人であれば、療養通所介護従業者の員数は、提供時間帯を通じて6人を確保するために必要な数とするとともに、利用者の数はすでに9人とみなされていることから、これを上限としなければならない。
エ 療養通所介護事業所の設備を利用し夜間及び深夜に指定療養通所介護以外のサービスを提供する場合の取扱いについては、地域密着型通所介護と同様であるので、第3のその2の2の2の(5)を参照するものとする。
(4) 運営に関する基準
① 内容及び手続の説明及び同意
指定療養通所介護事業者は、利用者に対し適切な指定療養通所介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、当該指定療養通所介護事業所の運営規程の概要、従業者等の勤務体制、緊急時対応医療機関との連絡体制、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定療養通所介護の提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、利用者及び指定療養通所介護事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
② 居宅介護支援事業者等との連携
指定療養通所介護は、サービス提供に当たって常時看護師による観察を要する利用者を対象としていることから、当該利用者が引き続き当該指定療養通所介護を利用することが適切かどうか、主治の医師を含めたサービス担当者会議において、適宜検討することが重要であり、そのため、当該事業者は、サービス提供等を通して得た利用者の心身の状態等必要な情報を当該利用者に係る居宅介護支援事業者に提供するよう努めなければならないことを定めたものである。
③ 指定療養通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
指定療養通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針については、基準等条例第61条の8及び第61条の30に定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
ア 基準等条例第61条の30第2号で定める「サービスの提供方法等」とは、療養通所介護計画の目標及び内容や利用日の行事及び日課等も含むものであること。
イ 利用者の体調の変化等を指定療養通所介護におけるサービス内容に反映させることが重要であることから、利用者の主治の医師や当該利用者の利用する訪問看護事業者等との密接な連携と情報の共有を十分に図ること。
ウ 指定療養通所介護は、事業所内でサービスを提供することが原則であるが、次に掲げる条件を満たす場合においては、事業所の屋外でサービスを提供することができるものであること。
(ア) あらかじめ療養通所介護計画に位置付けられていること。
(イ) 効果的な機能訓練等のサービスが提供できること。
④ 療養通所介護計画の作成
ア 基準等条例第61条の31で定める療養通所介護計画については、管理者を含む看護師が利用者ごとにその作成にあたることとしたものである。
イ 療養通所介護計画は、既に訪問看護計画が作成されている場合は、その内容と整合を図りつつ、作成されなければならないこととしたものである。なお、療養通所介護計画を作成後に訪問看護計画が作成された場合についても、当該療養通所介護計画と訪問看護計画の内容の整合を図り、必要に応じて変更するものとする。
ウ 療養通所介護計画は利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、指定療養通所介護事業所の管理者は、療養通所介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該療養通所介護計画を利用者に交付しなければならない。なお、交付した療養通所介護計画は、基準等条例第61条の37第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
エ 療養通所介護計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
オ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定療養通所介護事業者については、第3のその1の4の(17)の⑫を準用する。この場合において、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画」とあるのは「療養通所介護計画」とする。
⑤ 緊急時の対応について
緊急時の対応については、利用者個々の心身の状況やその環境等を勘案して、あらかじめ個別に具体的な対応策を主治医とともに検討し、不測の事態にあっても十分な対応ができるよう、利用者毎に定めておかなければならない。
⑥ 安全・サービス提供管理委員会
指定療養通所介護は、医療との密接な連携のもとにサービス提供が行われることが重要であることから、安全・サービス提供管理委員会において地域の医療関係団体(地域の医師会等)に属する者を委員とすることとしている。このほか、地域の保健、医療又は福祉の分野を専門とする者、必要に応じ、指定療養通所介護の安全かつ適切なサービスの提供を確保するために必要と認められる者によって構成されるものである。
また、安全・サービス提供管理委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
⑦ 利用料等の受領
利用料等の受領については、基準等条例第61条の7(第3項第2号を除く。)を準用しているため、第3のその2の2の3の(1)(②のイを除く。)を参照すること。
⑧ 地域との連携等
地域との連携等については、基準等条例第61条の17を準用しているため、第3のその2の2の3の(10)を参照すること。ただし、地域密着型通所介護と異なり、療養通所介護については、⑥に規定されている「安全・サービス提供管理委員会」が担う機能を求めていることを踏まえ、運営推進会議は一定の配慮をし、利用者の状態に応じて、おおむね12月に1回以上開催することとしていることに留意するものとする。
⑨ 記録の整備
基準等条例第61条の37第2項は、指定療養通所介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、5年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、同項第1号及び第3号から第6号までの記録については、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立を含む。)により一連のサービス提供が終了した日、同項第2号の記録については、基準等条例第61条の36の安全・サービス提供管理委員会を開催し、指定療養通所介護事業所における安全かつ適切なサービスの提供を確保するための方策の検討を行った日、基準等条例第61条の37第2項第7号の記録については、基準等条例第61条の17第1項の運営推進会議を開催し、基準等条例第61条の17第2項に規定する報告、評価、要望、助言等の記録を公表した日を指すものとする。
その3 認知症対応型通所介護
1 基本方針(基準等条例第62条)
① 指定地域密着型サービスに位置付けられる指定認知症対応型通所介護は、認知症の者が可能な限り居宅において日常生活を営むことができること、及び家族の負担軽減を図ることを支援するものであること。
なお、認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者は、当該認知症対応型通所介護事業所において日常生活を送ることに支障があると考えられることから、指定認知症対応型通所介護の対象とはならないものである。
② 一般の通所介護と指定認知症対応型通所介護を同一の時間帯に同一の場所を用いて行うことについては、指定認知症対応型通所介護は対象者を認知症の者に限定し、認知症の特性に配慮したサービス形態であることから、一般の通所介護と一体的な形で実施することは認められない。指定認知症対応型通所介護を一般の通所介護と同じ事業所で同一の時間帯に行う場合には、例えばパーティション等で間を仕切るなどにより、職員、利用者及びサービスを提供する空間を明確に区別することが必要である。
③ 初老期における認知症(以下「若年性認知症」という。)の者も対象とする事業所については、若年性認知症の者が少なく、また、若年性認知症の者に対応したプログラムを有する事業所が少ないことから、近隣市町村等も含めて広域的な利用が行われることが想定されることを踏まえ、本市以外の市町村における若年性認知症の者からの希望に基づき、当該他市町村から指定の同意の申出があった場合には、本市は、当該若年性認知症の者の利用については、原則として、法第78条の2第4項第4号に係る同意を行うこととし、円滑に当該他市町村による事業所指定が行われるようにすることとする。
2 人員及び設備に関する基準
(1) 単独型指定認知症対応型通所介護及び併設型指定認知症対応型通所介護
① 単独型指定認知症対応型通所介護とは、以下の社会福祉施設等に併設されていない事業所において行われる指定認知症対応型通所介護をいう。(基準等条例第63条)
特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、その他社会福祉法(昭和26年法律第45号)第62条第1項に規定する社会福祉施設、又は特定施設
② 併設型指定認知症対応型通所介護とは、①の社会福祉施設等に併設されている事業所において行われる指定認知症対応型通所介護をいう。
③ 従業者の員数(基準等条例第63条)
ア 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の単位とは、同時に、一体的に提供される単独型・併設型指定認知症対応型通所介護をいうものであることから、例えば、次のような場合は、2単位として扱われ、それぞれの単位ごとに必要な従業者を確保する必要がある。
(ア) 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護が同時に一定の距離を置いた2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているといえない場合
(イ) 午前と午後とで別の利用者に対して単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を提供する場合
また、利用者ごとに策定した認知症対応型通所介護計画に位置付けられた内容の認知症対応型通所介護が一体的に提供されていると認められる場合は、同一単位で提供時間数の異なる利用者に対して認知症対応型通所介護を行うことも可能である。なお、同時一体的に行われているとは認められない場合は、別単位となることに留意すること。
イ 8時間以上9時間未満の単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の前後に連続して延長サービスを行う場合にあっては、事業所の実情に応じて、適当数の従業者を配置するものとする。
ウ 利用者の数又は利用定員は、単位ごとの単独型・併設型指定認知症対応型通所介護についての利用者の数又は利用定員をいうものであり、利用者の数は実人員、利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものである。従って、例えば、1日のうちの午前の提供時間帯に利用者10人に対して単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を提供し、午後の提供時間帯に別の利用者10人に対して単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を提供する場合であって、それぞれの単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の定員が10人である場合には、当該事業所の利用定員は10人、必要となる介護職員の員数は午前午後それぞれにおいて利用者10人に応じた数ということとなり、人員算定上午前の利用者の数と午後の利用者の数が合算されるものではない。
エ 同一事業所で複数の単位の単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を同時に行う場合であっても、常勤の従業者は事業所ごとに確保すれば足りるものである。(基準等条例第63条第6項)
オ 生活相談員(基準等条例第63条第1項第1号)
生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものである。
基準等条例第63条第1項第1号に定める「当該単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を提供している時間帯の時間数」(以下「提供時間帯の時間数」という。)とは、当該事業所におけるサービス提供開始時刻から終了時刻まで(サービスが提供されていない時間帯を除く。)とする。
例えば、1単位の単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を実施している事業所の提供時間帯の提供時間数を6時間とした場合、生活相談員がサービス提供時間内に勤務している時間数の合計数(以下「勤務延時間数」という。)を、提供時間帯の時間数である6時間で除した数が1以上となるよう確保すればよいことから、生活相談員の員数にかかわらず6時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。また、午前9時から正午まで及び午後1時から午後6時までの2単位の単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を実施している事業所の場合、当該事業所におけるサービス提供時間は午前9時から午後6時まで(正午から午後1時までを除く。)となり、提供時間帯の時間数は8時間となることから、生活相談員の員数にかかわらず8時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。
なお、指定認知症対応型通所介護事業所が、利用者の地域での暮らしを支えるため、医療機関、他の居宅サービス事業者、地域の住民活動等と連携し、指定認知症対応型通所介護事業所を利用しない日でも当該利用者の地域生活を支える地域連携の拠点としての機能を展開できるように、生活相談員の確保すべき勤務延時間数には、「サービス担当者会議や地域ケア会議に出席するための時間」、「利用者宅を訪問し、在宅生活の状況を確認した上で、利用者の家族も含めた相談・援助のための時間」、「地域の町内会、自治会、ボランティア団体等と連携し、利用者に必要な生活支援を担ってもらうなどの社会資源の発掘・活用のための時間」など、利用者の地域生活を支える取組のために必要な時間も含めることができる。
ただし、生活相談員は、利用者の生活の向上を図るため適切な相談・援助等を行う必要があり、これらに支障がない範囲で認められるものである。
カ 看護職員又は介護職員(基準等条例第63条第1項第2号)
看護職員又は介護職員については、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の単位ごとに2人以上配置する必要があるが必ずしも看護職員を配置しなければならないものではない。
基準等条例第63条第1項第2号に定める当該単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を提供している時間数とは、当該単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の単位における平均提供時間数(利用者ごとの提供時間数の合計を利用者数で除して得た数)とする。
なお、同号に定める専ら当該単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の提供に当たる看護職員又は介護職員については、提供時間帯を通じて専従する必要はないが、当該看護職員又は介護職員は提供時間帯を通じて単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所と密接かつ適切な連携を図るものとする。
さらに、同条第2項において単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の単位ごとに看護職員又は介護職員を常時1人以上確保することとされているが、これについては、看護職員又は介護職員が常に確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものであり、例えば、当該単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の単位ごとに確保すべき看護職員又は介護職員の勤務延時間数が提供時間帯の時間数に満たない場合であっても、常時1人以上が確保されるよう配置を行う必要があることに留意すること。
一方、同条第3項において看護職員又は介護職員は、利用者の処遇に支障がない場合は他の単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の単位の看護職員又は介護職員として従事することができるとされていることから、例えば複数の単位の単独型・併設型指定認知症対応型通所介護を同じ時間帯に実施している場合、単位ごとに看護職員又は介護職員が常に1人確保されている限りにおいては、単位を超えて柔軟な配置が可能である。
キ 機能訓練指導員(基準等条例第63条第1項第3号)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格を有する者(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
④ 管理者(基準等条例第64条)
ア 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の管理者は、常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、次の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
(ア) 当該単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の従業者としての職務に従事する場合
(イ) 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護職員又は介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)
イ 管理者は、管理者としての資質を確保するために、指定を受ける際(指定を受けた後に管理者の変更の届出を行う場合を含む。)に、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準に規定する厚生労働大臣が定める者及び研修(平成24年厚生労働省告示第113号。以下「113号告示」という。)第2号に規定する研修を修了しているものとする。なお、当該研修は具体的には「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準に規定する厚生労働大臣が定める者及び研修」に規定する研修について(平成24年3月16日老高発第0316第2号、老振発0316第2号、老老発0316第6号厚生労働省老健局高齢者支援課長、振興課長、老人保健課長通知。以下「地域密着研修通知」という。)1の(1)の「認知症対応型サービス事業管理者研修」を指すものである。ただし、管理者の変更の届出を行う場合については、管理者交代時の都道府県における研修の開催状況等を踏まえ、新たに管理者を配置し、かつ、市町村からの推薦を受けて都道府県に研修の申込を行い、当該管理者が研修を修了することが確実に見込まれる場合は当該管理者が研修を修了していない場合であっても差し支えない。
⑤ 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所における設備に関する基準(基準等条例第65条)
ア 事業所
基準等条例第65条第1項の「事業所」とは、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の5第1項の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の2の(1)を参照すること。
イ 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備
基準等条例第65条第1項の「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の5第1項の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の2の(3)を参照すること。
ウ 食堂及び機能訓練室
単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の食堂及び機能訓練室(以下「単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の機能訓練室等」という。)については、3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上とすることとされたが、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護が原則として同時に複数の利用者に対し介護を提供するものであることに鑑み、狭隘な部屋を多数設置することにより面積を確保すべきではないものである。ただし、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の単位をさらにグループ分けして効果的な単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の提供が期待される場合は、この限りでない。
エ 設備の共用
単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所と指定居宅サービス事業所等を併設している場合に、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、設備基準上両方のサービスに規定があるもの(指定訪問介護事業所の場合は事務室)は共用が可能である。ただし、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の機能訓練室等と、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所と併設の関係にある病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院における指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースについて共用する場合にあっては、以下の条件に適合することをもって、これらが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。
(ア) 当該部屋等において、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の機能訓練室等と指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースが明確に区分されていること。
(イ) 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の機能訓練室等として使用される区分が、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の設備基準を満たし、かつ、指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースとして使用される区分が、指定通所リハビリテーション事業所等の設備基準を満たすこと。
また、玄関、廊下、階段、送迎車両など、基準上は規定がないが、設置されるものについても、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、共用が可能である。
なお、設備を共用する場合、基準等条例第82条により準用する基準等条例第61条の16第2項において、指定認知症対応型通所介護事業者は、事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講じるよう努めなければならないと定めているところであるが、衛生管理等に一層努めること。
オ 単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に単独型・併設型指定認知症対応型通所介護以外のサービスを提供する場合
単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の提供以外の目的で、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に単独型・併設型指定認知症対応型通所介護以外のサービス(以下「宿泊サービス」という。)を提供する場合は、当該サービスの内容を当該サービスの提供開始前に市長(以下「指定権者」という。)に届け出る必要があり、当該サービスの届出内容については、別に定めるところによるものとする。また、単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業者は、宿泊サービスの届出内容に係る介護サービス情報を新潟県に報告することとする。
単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業者は届け出た宿泊サービスの内容に変更がある場合は、変更の事由が生じてから10日以内に指定権者に届け出るよう努めることとする。また、宿泊サービスを休止し、又は廃止する場合は、その休止又は廃止の日の1月前までに指定権者に届け出るよう努めることとする。
(2) 共用型指定認知症対応型通所介護
① 共用型指定認知症対応型通所介護とは、指定認知症対応型共同生活介護事業所若しくは指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業所の居間又は食堂、指定地域密着型特定施設若しくは指定地域密着型介護老人福祉施設の食堂又は共同生活室において、これらの事業所又は施設の利用者、入居者又は入所者とともに行う指定認知症対応型通所介護をいう。(基準等条例第66条)
② 従業者の員数(基準等条例第66条)
共用型指定認知症対応型通所介護従業者の員数は、当該利用者、当該入居者又は当該入所者の数と当該共用型指定認知症対応型通所介護の利用者の数を合計した数について、基準等条例第112条、第132条若しくは第153条又は予防基準等条例第72条の規定を満たすために必要な従業者を確保する必要があること。
この場合の利用者数の計算に当たっては、3時間以上4時間未満及び4時間以上5時間未満の報酬を算定している利用者(2時間以上3時間未満の報酬を算定している利用者を含む。)については、利用者数に2分の1を乗じて得た数とし、5時間以上6時間未満及び6時間以上7時間未満の報酬を算定している利用者については利用者数に4分の3を乗じて得た数とし、7時間以上8時間未満及び8時間以上9時間未満の報酬を算定している利用者については、利用者数に1を乗じて得た数として計算した全利用者の延べ数をもとに算出することとし、この計算により得た数をもとに算定することとする。新たに事業を開始等した場合にあっては、利用者数の計算については、第2の2の(5)の②のとおりとする。
③ 利用定員等(基準等条例第67条)
共用型指定認知症対応型通所介護事業所における利用定員については、指定認知症対応型共同生活介護事業所又は指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業所の場合、共同生活住居ごとに1日当たり3人以下とし、指定地域密着型特定施設又は指定地域密着型介護老人福祉施設(ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設を除く。)の場合、施設ごとに1日当たり3人以下とし、ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設の場合、ユニットごとに当該ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設の入居者の数と当該共用型指定認知症対応型通所介護の利用者の数の合計が1日当たり12人以下となる数とする。
共用型指定認知症対応型通所介護事業所における1日当たりの利用定員とは、共同生活住居、施設又はユニットごとに、1日の同一時間帯に受け入れることができる利用者の数の上限である。したがって、半日しか利用しない者がいる場合は、1日の利用延べ人数は当該利用定員を超えることもある。
④ 管理者(基準等条例第68条)
ア 共用型指定認知症対応型通所介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、次のいずれかに該当する場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務に従事することができるものとする。
(ア) 当該共用型指定認知症対応型通所介護事業所の他の職務に従事する場合
(イ) 本体事業所等(基準等条例第66条第1項に規定する本体事業所等をいう。以下④において同じ。)の職務に従事する場合
(ウ) 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等(本体事業所等を除く。)がある場合に、当該他の事業所、施設等の職務に従事する場合(この場合、他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護職員又は介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)
(エ) (ア)及び(イ)のいずれにも該当する場合
(オ) (イ)及び(ウ)のいずれにも該当する場合
イ 管理者は、その資質を確保するために、指定を受ける際(指定を受けた後に管理者の変更の届出を行う場合を含む。)に、113号告示第2号に規定する研修を修了しているものとする。なお、当該研修は、具体的には地域密着研修通知1の(1)の「認知症対応型サービス事業管理者研修」を指すものである。ただし、管理者の変更の届出を行う場合については、管理者交代時の都道府県における研修の開催状況等を踏まえ、新たに管理者を配置し、かつ、市町村からの推薦を受けて都道府県に研修の申込を行い、当該管理者が研修を修了することが確実に見込まれる場合は当該管理者が研修を修了していない場合であっても差し支えない。
3 運営に関する基準
(1) 指定認知症対応型通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
① 指定認知症対応型通所介護は、利用者の認知症の症状の進行の緩和に資するよう、個々の利用者に応じて作成された認知症対応型通所介護計画に基づいて行われなければならない。ただし、その実施方法においては、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。
② 利用者が日常生活を送る上で自らの役割を持つことにより、達成感や満足感を得て、自信を回復するなどの効果が期待されるとともに、利用者にとって自らの日常生活の場であると実感できるよう必要な援助を行わなければならないこと。
③ 指定認知症対応型通所介護は、事業所内でサービスを提供することが原則であるが、次に掲げる条件を満たす場合においては、事業所の屋外でサービスを提供することができるものであること。
ア あらかじめ認知症対応型通所介護計画に位置付けられていること。
イ 効果的な機能訓練等のサービスが提供できること。
④ 基準等条例第72条第4号で定める「サービスの提供方法等」とは、認知症対応型通所介護計画の目標及び内容並びに利用日の行事及び日課等も含むものであること。
(2) 認知症対応型通所介護計画の作成
① 基準等条例第73条で定める認知症対応型通所介護計画については、認知症介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、認知症介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましい。
② 認知症対応型通所介護計画をとりまとめる者は、第3のその5の2の(1)の③のカに規定する研修(認知症対応型共同生活介護の計画作成担当者が修了すべき研修)を修了していることが望ましい。
③ 認知症対応型通所介護計画は、サービスの提供に関わる従業者が共同して個々の利用者ごとに作成するものであること。
④ 認知症対応型通所介護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこと。
なお、認知症対応型通所介護計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該認知症対応型通所介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるかを確認し、必要に応じて変更するものとする。
⑤ 認知症対応型通所介護計画は利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、指定認知症対応型通所介護事業所の管理者は、認知症対応型通所介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該認知症対応型通所介護計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した認知症対応型通所介護計画は、基準等条例第81条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
⑥ 認知症対応型通所介護計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
⑦ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定認知症対応型通所介護事業者については、第3のその1の4の(17)の⑫を準用する。この場合において、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画」とあるのは、「認知症対応型通所介護計画」とする。
(3) 運営規程(基準等条例第75条)
① 営業日及び営業時間(第3号)
指定認知症対応型通所介護の営業日及び営業時間を記載すること。
なお、8時間以上9時間未満の認知症対応型通所介護の前後に連続して延長サービスを行う指定認知症対応型通所介護事業所にあっては、基準等条例第63条にいう提供時間帯とは別に当該延長サービスを行う時間を運営規程に明記すること。
例えば、提供時間帯(8時間)の前に連続して1時間、後に連続して1時間、合計2時間の延長サービスを行う指定認知症対応型通所介護事業所にあっては、当該指定認知症対応型通所介護事業所の営業時間は10時間であるが、運営規程には、提供時間帯8時間、延長サービスを行う時間2時間とそれぞれ記載するものとすること。
② 指定認知症対応型通所介護の利用定員(第4号)
利用定員とは、当該指定認知症対応型通所介護事業所において同時に指定認知症対応型通所介護の提供を受けることができる利用者の数の上限をいうものであること。
③ 指定認知症対応型通所介護の内容及び利用料その他の費用の額(第5号)
「指定認知症対応型通所介護の内容」については、入浴、食事の有無等のサービスの内容を指すものであること。
④ 通常の事業の実施地域(第6号)
基準等条例第75条第6号は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第33条第5号の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(21)の⑤を参照すること。
⑤ サービス利用に当たっての留意事項(第7号)
利用者が指定認知症対応型通所介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項を指すものであること。
⑥ 非常災害対策(第9号)
基準等条例第75条第9号は、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の12第9号の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(5)の⑥を参照すること。
(4) 業務継続計画の策定等
基準等条例第82条の規定により指定認知症対応型通所介護の事業について準用される基準等条例第34条の2の規定については、地域密着型通所介護と同様であるので、第3のその2の2の3の(7)を参照すること。
(5) 衛生管理等
基準等条例第82条の規定により指定認知症対応型通所介護の事業について準用される基準等条例第61条の16の規定については、地域密着型通所介護と同様であるので、第3のその2の2の3の(9)を参照すること。
(6) 虐待の防止
基準等条例第82条の規定により指定認知症対応型通所介護の事業について準用される基準等条例第42条の2の規定については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様であるので、第3のその1の4の(31)を参照すること。
(7) 記録の整備
地域密着型通所介護の場合と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(13)を参照すること。
(8) 準用
その4 小規模多機能型居宅介護
1 基本方針(基準等条例第83条)
(1) 指定小規模多機能型居宅介護は、通いを中心として、利用者の様態や希望に応じて、随時訪問や宿泊を組み合わせてサービスを提供することにより、利用者の居宅における生活の継続を支援するものである。
(2) 指定通所介護事業所、指定地域密着型通所介護事業所又は指定認知症対応型通所介護事業所が自主事業で宿泊サービスも行うようなサービス形態については、小規模多機能型居宅介護の創設に伴い、行うことができなくなることはないものであり、こうしたサービス形態は引き続き可能であることに留意すること。
(3) 既存の指定通所介護事業所、指定地域密着型通所介護事業所又は指定認知症対応型通所介護事業所が小規模多機能型居宅介護事業所となる場合に、これまで指定通所介護事業所、指定地域密着型通所介護事業所又は指定認知症対応型通所介護事業所を利用していた本市以外の市町村の被保険者が小規模多機能型居宅介護を利用し続けることができるようにするためには、本市以外の市町村からも小規模多機能型居宅介護事業所の指定を受ける必要があるが、従来からの利用者のために継続的なサービス利用を確保する観点から、従来からの利用者からの希望に基づき、当該本市以外の市町村から指定の同意の申出があった場合には、原則として、本市は、本市以外の市町村の従来からの利用者の利用について、法第78条の2第4項第4号に係る同意を行うこととし、当該同意に基づき本市以外の市町村は指定を行うこと又は同条第9項に係る同意をあらかじめ行うことが求められる。
なお、この場合において本市が指定を行う際には、既に事業所所在の市町村において事業所が遵守すべき基準の適合性について審査していることから、地域密着型サービス運営委員会において、事前に本市以外の市町村に所在する事業所の指定に限り、運営委員会を開催することなく指定することができるといった旨を決めておくことにより、円滑に事業所指定が行われるようにするものとする。
(4) 障害者を受け入れる共生型の指定小規模多機能型居宅介護事業所は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく基準該当サービス及び構造改革特区として認めており、受け入れの形態に応じて各制度の規定に従うことが必要となる。
2 人員に関する基準
(1) 従業者の員数等(基準等条例第84条)
① サテライト型指定小規模多機能型居宅介護事業所の実施要件
基準等条例第84条第7項の規定によるサテライト型小規模多機能型居宅介護事業所(以下その4において「サテライト事業所」という。)の実施に当たっては、次の要件を満たす必要があること。
ア サテライト型小規模多機能型居宅介護事業所に係る指定小規模多機能型居宅介護事業者は、指定居宅サービス事業等その他の保健医療又は福祉に関する事業について3年以上の経験を有するものである必要があるが、この場合、指定小規模多機能型居宅介護以外の事業の経験についても当該経験に算入できることに留意すること。また、「3年以上の経験」については、当該指定日において満たしている必要があり、休止等、事業を運営していない期間は除いて計算すること。
イ サテライト事業所は、本体事業所(指定小規模多機能型居宅介護事業所又は指定看護小規模多機能型居宅介護事業所であって、当該事業所に対する支援機能を有する事業所をいう。以下、この号において同じ。)を有する必要があるが、ここでいう「支援機能を有する事業所」については、当該本体事業所が次のいずれかに該当することを指すものであること。
(ア) 事業開始以降1年以上の本体事業所としての実績を有すること。
(イ) 当該本体事業所の登録者数が、当該本体事業所において定められた登録定員の100分の70を超えたことがあること。
ウ サテライト事業所は、本体事業所との密接な連携を確保しつつ、運営するものであるため、次に掲げる要件をいずれも満たす必要があること。
(ア) 本体事業所とサテライト事業所の距離は、自動車等による移動に要する時間がおおむね20分以内の近距離であること。
(イ) 一の本体事業所に係るサテライト事業所の数は、2箇所までとすること。
エ 本体事業所とサテライト事業所は、同一の日常生活圏域に所在することが望ましいが、隣接する市町村における指定小規模多機能型居宅介護事業所又は指定看護小規模多機能型居宅介護事業所を本体事業所とすることも差し支えないものである。
オ なお、市長は、サテライト事業所の指定に当たっては、他の地域密着型サービスの指定の場合と同様、あらかじめ本市に設置される地域密着型サービス運営委員会等の意見を聴き、必要があると認められる場合は、指定の際に条件を付す等により、事業の適正な運営に当たっての措置を講ずることとする。
② 小規模多機能型居宅介護従業者
ア 小規模多機能型居宅介護従業者については、介護福祉士や訪問介護員の資格等は必ずしも必要としないが、介護等に対する知識、経験を有する者であることを原則とする。なお、これ以外の小規模多機能型居宅介護従業者にあっても研修の機会を確保することなどにより質の向上を図るものとする。
イ 夜間及び深夜の時間帯は、それぞれの事業所ごとに、宿泊サービスの利用者の生活サイクル等に応じて設定するものとし、これに対応して、夜間及び深夜の時間帯以外の指定小規模多機能型居宅介護の提供に必要な小規模多機能型居宅介護従業者及び宿直勤務又は夜間及び深夜の勤務(夜間及び深夜の時間帯に行われる勤務(宿直勤務を除く。)をいう。以下同じ。)を行わせるために必要な小規模多機能型居宅介護従業者を確保するものとする。
例えば、通いサービスの利用定員を15人とし、日中の勤務帯を午前6時から午後9時までの15時間、常勤の職員の勤務時間を8時間とした場合、常勤換算方法で通いの利用者3人に対して1人の小規模多機能型居宅介護従業者を配置すればよいことから、通いの利用者が15人の場合、日中の常勤の小規模多機能型居宅介護従業者は5人となり、日中の15時間の間に、8時間×5人=延べ40時間分のサービスが提供されていることが必要である。それに加え、日中については、常勤換算方法で1人以上に訪問サービスの提供を行わせ、夜間については、夜勤1人+宿直1人に宿泊サービス及び夜間の訪問サービスに当たらせるために必要な小規模多機能型居宅介護従業者を、指定小規模多機能型居宅介護事業所全体として確保することが必要となる。
具体的には、通いサービスに要する時間(延べ40時間)、日中の訪問サービスに要する時間(8時間)、夜勤及び宿直職員の勤務時間を合計した指定小規模多機能型居宅介護において必要となる延べサービス時間を確保することができるよう、有給休暇、研修時間、常勤・非常勤の別、サービス提供のあり方など、各事業所で定める諸条件を踏まえた上で、実際に配置しなければならない職員数を確保することが必要である。
夜間及び深夜の時間帯の設定に当たっては、「社会福祉施設における宿直勤務の取扱いについて」(昭和49年8月20日社施第160号厚生省社会局施設課長、児童家庭局企画課長連名通知)に準じて適切に行うこと。
なお、基準等条例第84条第1項は小規模多機能型居宅介護従事者の必要数の算出基準を示したものであるので、日中であれば通いサービスを行うために3:1以上、訪問サービスを行うために1以上をそれぞれのサービスに固定しなければならないという趣旨ではなく、日中勤務している小規模多機能型居宅介護従事者全体で通いサービス及び訪問サービスを行うこととなるものである。
ウ 日々の通いサービスの実際の職員配置については、その日ごとの状況に応じて判断する必要があるが、単に通いサービスの利用者がいないからといって職員を配置しないということではなく、通いサービスを利用しない者に対する訪問サービスも含め、利用者に何らかの形で関わることができるような職員配置に努めるものとする。
エ サテライト事業所においては、訪問サービスを行う小規模多機能型居宅介護従業者を常勤換算方法で1以上ではなく、1人以上配置することで足りることとしている。なお、本体事業所とサテライト事業所における訪問サービスは一体的に提供することが可能であり、本体事業所小規模多機能型居宅介護従業者はサテライト事業所の登録者に対し、サテライト事業所の小規模多機能型居宅介護従業者は本体事業所及び当該本体事業所に係る他のサテライト事業所の登録者に対し、それぞれ訪問サービスを提供できるものであること。また、訪問サービスの提供に当たる小規模多機能型居宅介護従業者を、指定小規模多機能型居宅介護事業所から離れた特別養護老人ホーム等の職員が行う形態は認められない。特別養護老人ホーム等における職員が非常勤である場合には、非常勤として勤務する以外の時間帯に指定小規模多機能型居宅介護事業所に勤務し、通いサービスや宿泊サービスも含めた業務を行うことは差し支えない。
オ 小規模多機能型居宅介護従業者のうち1以上の者は、看護師又は准看護師でなければならないこととされているが、看護師又は准看護師は、常勤を要件としておらず、毎日配置していなければいけないということではないものである。また、サテライト事業所においては、本体事業所の看護師又は准看護師が適切にサテライト事業所の登録者に対する健康管理等を行うことができる場合、小規模多機能型居宅介護従業者のうち、看護師又は准看護師を置かないことができる。
カ 宿泊サービスの利用者が1人であっても、訪問サービス対応のため、夜間及び深夜の時間帯を通じて、夜勤1人と宿直1人の計2人が最低必要となるものである。また、宿泊サービスの利用者がいない場合であって、夜間及び深夜の時間帯を通じて利用者に対して訪問サービスを提供するために必要な連絡体制を整備しているときは、宿直及び夜勤を行う従業者を置かないことができることとしたものである。なお、宿泊サービスの利用者のための夜勤職員に加えて配置される宿直職員は、主として登録者からの連絡を受けての訪問サービスに対応するために配置されるものであることから、連絡を受けた後、事業所から登録者宅へ訪問するのと同程度の対応ができるなど、随時の訪問サービスに支障がない体制が整備されているのであれば、必ずしも事業所内で宿直する必要はないものである。また、サテライト事業所においては、本体事業所の宿直職員が、当該サテライト事業所の登録者からの訪問サービスの要請に適切に対応できるときは、宿直職員を配置しないこともできるものであること。
キ サテライト事業所の登録者の処遇に支障がない場合は、本体事業所において宿泊サービスを提供できることとされているが、本体事業所においてサテライト事業所の登録者を宿泊させる際は、当該本体事業所との行事等の共同実施や、本体事業所の小規模多機能型居宅介護従業者による訪問サービスの提供により、当該本体事業所の従業者とのなじみの関係の構築を行うよう努めること。なお、本体事業所の登録者がサテライト事業所の宿泊サービスを受けることは認められていないことに留意すること。
ク 基準等条例第84条第6項は、指定小規模多機能型居宅介護事業所と同項の表の中欄に掲げる事業所双方に、それぞれの人員に関する基準を満たす従業者を置いているときは、従業者はそれぞれの事業所の業務に従事できるものであること。従業者のうち介護職員については、「居住」に移行してからもなじみの関係を保てるよう、指定小規模多機能型居宅介護事業所と「居住」の事業所は、人員としては一体のものとして、運営することを認めたものである(基準等条例第112条第4項、第132条第8項及び第153条第16項についても同様とする。)。また、看護職員については、同項の表の当該指定小規模多機能型居宅介護事業所に中欄に掲げる施設等のいずれかが併設されている場合の項の中欄に掲げる施設等が、同一敷地内又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の看護職員の業務に支障がないと認められる範囲内にある場合に、当該他の施設等の職務に従事することができることとしたものである。
③ 介護支援専門員等
ア 介護支援専門員は、指定を受ける際(指定を受けた後に介護支援専門員の変更の届出を行う場合を含む。)に、113号告示第3号に規定する研修を終了しているものとする。なお、当該研修は具体的には地域密着研修通知2の(1)の①の「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」を指すものである。
イ 介護支援専門員は利用者の処遇に支障がない場合は、管理者との兼務もできるものである。また、非常勤でも差し支えない。
ウ 介護支援専門員は、基本的には、①登録者の小規模多機能型居宅介護以外の居宅サービスを含めた「居宅サービス計画」の作成、②法定代理受領の要件である小規模多機能型居宅介護の利用に関する本市への届出の代行、③小規模多機能型居宅介護の具体的なサービス内容等を記載した「小規模多機能型居宅介護計画」の作成の業務に従事するものである。
エ 施行規則第65条の4第2号に基づく本市への届出については、居宅サービスにおける例にならい、別に定める様式とすること。
オ サテライト事業所においては、介護支援専門員を配置せず、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を終了した者(以下「研修終了者」という。)を配置することができることとされているが、研修修了者はサテライト事業所の登録者に係る小規模多機能型居宅介護計画の作成に従事するものであり、ウの①の居宅サービス計画の作成及び②の本市への届出の代行については、本体事業所の介護支援専門員が行わなければならないこと。
(2) 管理者(基準等条例第85条)
① 指定小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
ア 当該指定小規模多機能型居宅介護事業所の小規模多機能型居宅介護従業者としての職務に従事する場合
イ 事業所に併設する基準等条例第84条第6項の表に掲げる施設等の職務に従事する場合
ウ 同一敷地内の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の職務に従事する場合(当該事業所が、指定夜間対応型訪問介護、指定訪問介護又は指定訪問看護の事業を一体的に運営している場合の当該事業に係る職務を含む。)
② 管理者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定複合型サービス事業所等の職員又は訪問介護員等として、3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を有する者であることが必要である。さらに、管理者としての資質を確保するために、指定を受ける際(指定を受けた後に管理者の変更の届出を行う場合を含む。)に、113号告示第2号に規定する研修を修了しているものとする。なお、当該研修は具体的には地域密着研修通知1の(1)の「認知症対応型サービス事業管理者研修」を指すものである。ただし、管理者の変更の届出を行う場合については、管理者交代時の都道府県における研修の開催状況等を踏まえ、新たに管理者を配置し、かつ、市町村からの推薦を受けて都道府県に研修の申込を行い、当該管理者が研修を修了することが確実に見込まれる場合は当該管理者が研修を修了していない場合であっても差し支えない。
③ サテライト事業所の管理者は本体事業所の管理者を充てることができることとされているが、当該本体事業所が指定看護小規模多機能型居宅介護事業所である場合であって、当該事業所の管理者が保健師又は看護師であるときは、当該保健師又は看護師は認知症対応型サービス事業管理者研修を終了している必要があること。
(3) 指定小規模多機能型居宅介護事業者の代表者(基準等条例第86条)
① 指定小規模多機能型居宅介護事業者の代表者とは、基本的には、運営している法人の代表者であり、理事長や代表取締役が該当するが、法人の規模によって、理事長や代表取締役をその法人の地域密着型サービス部門の代表者として扱うのは合理的でないと判断される場合においては、地域密着型サービスの事業部門の責任者などを代表者として差し支えない。したがって、指定小規模多機能型居宅介護事業所の指定申請書に記載する代表者と異なることはあり得る。なお、管理者とは、各事業所の責任者を指すものであり、各法人の代表者とは異なるが、例えば、法人が1つの介護サービス事業所のみを運営している場合は、代表者と管理者が同一であることもあるものである。
② 指定小規模多機能型居宅介護事業者の代表者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、指定認知症対応型共同生活介護事業所等の職員又は訪問介護員等として認知症高齢者の介護に従事した経験を有する者又は保健医療サービス若しくは福祉サービスの経営に携わった経験を有する者であることが必要である。さらに、代表者としての資質を確保するために、指定を受ける際(指定を受けた後に代表者の変更の届出を行う場合を含む。)に、113号告示第4号に規定する研修を修了しているものとする。なお、当該研修は具体的には地域密着研修通知3の(1)の「認知症対応型サービス事業開設者研修」を指すものである。
ただし、代表者の変更の届出を行う場合については、代表者交代時に「認知症対応型サービス事業開設者研修」が開催されていないことにより、当該代表者が「認知症対応型サービス事業開設者研修」を修了していない場合、代表者交代の半年後又は次回の「認知症対応型サービス事業開設者研修」日程のいずれか早い日までに「認知症対応型サービス事業開設者研修」を修了することで差し支えない。
③ 特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定複合型サービス事業所等の職員又は訪問介護員等として認知症高齢者の介護に従事した経験又は保健医療サービス若しくは福祉サービスの経営に携わった経験とは、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定複合型サービス事業所等の職員か訪問介護員等として認知症高齢者の介護に携わった経験や、あるいは、保健医療サービスや福祉サービスの経営に直接携わったことがあればよく、一律の経験年数の制約は設けていない。なお、経験の有無については個々のケースごとに判断するものとする。また、これらのサービスは、高齢者に対して直接ケアを行っているものを想定しており、医療系サービスとしては医療機関や訪問看護ステーションなど、福祉サービスとしては特別養護老人ホームなどが考えられるものである。(基準等条例第114条及び第195条についても同様とする。)
④ サテライト事業所の代表者は本体事業所の代表者であることが望ましいが、当該本体事業所が指定看護小規模多機能型居宅介護事業所である場合であって、当該本体事業所の代表者が保健師又は看護師であり、認知症対応型サービス事業開設者研修を終了していないときは、当該代表者と別の当該研修の修了者をサテライト事業所の代表者とする必要があること。
3 設備に関する基準
(1) 登録定員(基準等条例第87条)
① 指定小規模多機能型居宅介護事業所は、その登録定員を29人(サテライト事業所にあっては、18人)以下としなければならないとしたものである。指定小規模多機能型居宅介護においては、利用者と従業者のなじみの関係を築きながらサービスを提供する観点から、利用者は1か所の指定小規模多機能型居宅介護事業所に限って利用者登録を行うことができるものであり、複数の指定小規模多機能型居宅介護事業所の利用は認められないものである。
② 指定小規模多機能型居宅介護事業所は、その通いサービスの利用定員を登録定員の2分の1から15人(登録定員が25人を超える指定小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、登録定員に応じて、基準等条例第87条第2項第1号の表中に定める数、サテライト事業所にあっては、12人)までと、宿泊サービスの利用定員を通いサービスの利用定員の3分の1から9人(サテライト事業所にあっては、6人)までとしなければならないとしたものである。この場合における利用定員については、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所において1日当たりの同時にサービスの提供を受ける者の上限を指すものであり、1日当たりの延べ人数ではないことに留意すること。なお、基準等条例第103条の規定により、特に必要と認められる場合は、当該利用定員を超えるサービス提供も差し支えないこととされているので、指定小規模多機能型居宅介護が利用者の心身の状況に応じ、柔軟に通いサービス、訪問サービス、宿泊サービスを組み合わせて提供されるものであることを踏まえ、適切なサービス提供を行うこと。
③ 指定小規模多機能型居宅介護事業所に併設している有料老人ホームの入居者が指定小規模多機能型居宅介護を利用することは可能である(ただし、特定施設入居者生活介護を受けている間は、介護報酬は算定できない。)が、養護老人ホームの入所者が指定小規模多機能型居宅介護を利用することについては、養護老人ホームは措置費の下で施設サービスとして基礎的な生活支援が行われているところであり、養護老人ホームの入所者が指定小規模多機能型居宅介護を利用することは想定していないものである。
(2) 設備及び備品等(基準等条例第88条)
① 基準等条例第88条第1項にいう「事業所」及び「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」は、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の5第1項の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の2の(1)及び(3)を参照すること。
② 居間及び食堂
ア 居間及び食堂は同一の室内とする場合であっても、居間、食堂のそれぞれの機能が独立していることが望ましい。また、その広さについても原則として利用者及び小規模多機能型居宅介護従業者が一堂に会するのに充分な広さを確保するものとする。
イ 基準等条例第88条第3項第1号に規定する居間及び食堂を合計した面積については、既存家屋等の建物を居間及び食堂として利活用する場合を除き、3平方メートルに通いサービスの利用定員を乗じて得た面積以上とするものとする。
③ 宿泊室
ア 民家等の既存施設を活用した効率的なサービス提供等を可能とする観点から、宿泊専用の個室がない場合であっても、宿泊室についてプライバシーが確保されたしつらえになっていれば差し支えない。プライバシーが確保されたものとは、例えば、パーティションや家具などにより利用者同士の視線の遮断が確保されるようなものである必要があるが、壁やふすまのような建具まで要するということではない。ただし、カーテンはプライバシーが確保されたものとは考えにくいことから認められないものである。
イ 利用者が泊まるスペースは、基本的に1人当たり7.43平方メートル程度あり、かつ、その構造がプライバシーが確保されたものであることが必要であることから、例えば、6畳間であれば、基本的に1人を宿泊させることになる。ただし、利用者の希望等により、6畳間で一時的に2人を宿泊させるという状態があったとしても、そのことをもって直ちに基準違反となるものではないことに留意すること。
ウ 他の利用者が通らない宿泊室と連続した縁側等については、宿泊室の面積に含めて差し支えない。
④ 指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間を指定小規模多機能型居宅介護の居間として共用することは、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間は入居者の生活空間であることから、基本的に指定小規模多機能型居宅介護の居間との共用は認められないものである。ただし、事業所が小規模である場合(指定小規模多機能型居宅介護事業所の通いサービスと指定認知症対応型共同生活介護事業所の定員の合計が15人以下である場合)などで、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間として必要なものが確保されており、かつ、指定小規模多機能型居宅介護の居間として機能を十分に発揮し得る適当な広さを有している場合は、共用としても差し支えない。
また、指定小規模多機能型居宅介護の居間及び食堂を指定通所介護等の機能訓練室及び食堂として共用することは認められないが、法第115条の45第1項に規定する介護予防・日常生活支援総合事業の交流スペースとして共用することは、事業所が小規模である場合(指定小規模多機能型居宅介護事業所の通いサービスの利用者と介護予防・日常生活支援総合事業の交流スペースの参加者の合計が少数である場合)などで、指定小規模多機能型居宅介護の居間及び食堂として機能を十分に発揮し得る適当な広さが確保されており、利用者に対する指定小規模多機能型居宅介護の提供に支障がない場合は差し支えない。なお、浴室、トイレ等を共用することは差し支えないが、指定通所介護事業所等の浴室を活用する場合、当該指定通所介護事業所等の利用者が利用している時間帯に指定小規模多機能型居宅介護事業所の利用者が利用できない取扱いとするなど画一的な取扱いは行わないこと。
⑤ 事業所の立地
指定小規模多機能型居宅介護事業所の立地については、利用者に対して、家庭的な雰囲気によるサービスを提供すること、また、地域との交流を図ることによる社会との結びつきを確保することなどのため、住宅地の中にあること又は住宅地と同程度に家族や地域住民との交流の機会が確保される地域の中にあることを、市長が確認することになるものである。開設及び指定申請時においては、都市計画法(昭和43年法律第100号)その他の法令の規定により一律に判断するのではなく、事業所を開設しようとする場所の現地調査等により、周辺の環境を踏まえ、地域の実情に応じて適切に判断することとする。(基準等条例第115条第7項についても同様とする。)。なお、指定小規模多機能型居宅介護が、利用者と職員とのなじみの関係を構築しながらサービスを提供するものであることに鑑み、指定小規模多機能型居宅介護事業所と他の施設・事業所との併設については、指定小規模多機能型居宅介護として適切なサービスが提供されることを前提に認められるものであることに留意すること。
4 運営に関する基準
(1) 心身の状況等の把握
サービス担当者会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
(2) 居宅サービス事業者等との連携
基準等条例第90条第1項は、指定小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員が登録者の居宅サービス計画を作成し、指定小規模多機能型居宅介護以外の指定訪問看護等の指定居宅サービス等について給付管理を行うこととされていることから、利用者が利用する指定居宅サービス事業者とは連携を密にしておかなければならないとしたものである。
(3) 身分を証する書類の携行
基準等条例第91条は、利用者が安心して指定小規模多機能型居宅介護の訪問サービスの提供を受けられるよう、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所の訪問サービスの提供に当たる者に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。この証書等には、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所の名称、当該訪問サービスの提供に当たる者の氏名を記載するものとし、当該訪問サービスの提供に当たる者の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。
(4) 利用料等の受領
① 基準等条例第92条第1項、第2項及び第5項の規定は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第23条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(13)の①、②及び④を参照すること。
② 基準等条例第92条第3項は、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、指定小規模多機能型居宅介護の提供に関して、次のアからカまでのものについては、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、ウ及びエの費用については、指針の定めるところによるものとし、カの費用の具体的な範囲については、国において別に通知するところによるものである。
ア 利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用
イ 利用者の選択により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において訪問サービスを提供する場合は、それに要した交通費の額
ウ 食事の提供に要する費用
エ 宿泊に要する費用
オ おむつ代
カ アからオまでに掲げるもののほか、指定小規模多機能型居宅介護の提供において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの
(5) 指定小規模多機能型居宅介護の具体的取扱方針(基準等条例第94条)
① 制度上は週1回程度の利用でも所定点数の算定は可能であるが、利用者負担等も勘案すれば、このような利用は必ずしも合理的ではなく、運営推進会議に通いサービスの回数等を報告し、適切なサービス提供であるかどうかの評価を受けることが必要となるものである。
指定小規模多機能型居宅介護は、通いサービスを中心として、利用者の様態や希望に応じて、訪問サービスや宿泊サービスを組み合わせてサービスを提供するという弾力的なサービス提供が基本であり、宿泊サービスの上限は設けず、重度の者であれば、運営推進会議に対し報告し、評価を受けることを前提として、ほぼ毎日宿泊する形態も考えられる。しかしながら、ほぼ毎日宿泊するような者が増え、他の利用者の宿泊に対応できないような状況になれば、他の利用者が適切にサービスが利用できるよう調整を行うことが必要となるものである。
② 基準等条例第94条第4号で定める「サービスの提供等」とは、小規模多機能型居宅介護計画の目標及び内容や行事及び日課等も含むものである。
③ 基準等条例第94条第5号及び第6号は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
ア 緊急やむを得ない場合とは、身体的拘束廃止委員会(管理者及び利用者の処遇を担当する者から構成され、身体的拘束等に係る判断その他必要な事項及び身体的拘束等廃止に向けた取り組みについて検討を行う会議をいう。以下同じ。)が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。
(ア) 利用者又は他の利用者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。
(イ) 身体的拘束等を行う以外に当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。
(ウ) 身体的拘束等が一時的なものであること。
イ 身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア) 身体的拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
(イ) 当該身体的拘束等が必要な理由及びその態様、時間、その他必要な事項について利用者又はその家族に対して説明した上で、文書により利用者の同意を得ること。
(ウ) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びにアの緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。
ウ 身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体的拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。
なお、基準等条例第109条第2項の規定に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
④ 基準等条例第94条第7号に定める「通いサービスの利用者が登録定員に比べて著しく少ない」とは、登録定員のおおむね3分の1以下が目安となる。登録定員が25人の場合は通いサービスの利用者が8人以下であれば、著しく少ない状態といえる。
⑤ 基準等条例第94条第8号に定める「適切なサービス」とは、一の利用者に対して、通いサービス、宿泊サービス及び訪問サービスを合わせておおむね週4日以上行うことが目安となるものである。指定小規模多機能型居宅介護事業者は、通いサービス、宿泊サービス及び訪問サービスを提供しない日であっても、電話による見守りを含め、利用者に何らかの形で関わることが望ましい。
なお、指定小規模多機能型居宅介護の訪問サービスは身体介護に限られないため、利用者宅を適宜訪問し、見守りの意味で声かけ等を行った場合でも訪問サービスの回数に含めて差し支えない。
(6) 居宅サービス計画の作成
① 基準等条例第95条第1項は、登録者の居宅サービス計画は、指定小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員に作成させることとしたものである。このため、指定小規模多機能型居宅介護の利用を開始した場合には、介護支援専門員は当該指定小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員に変更することとなる。
② 指定小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員は、指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が通常行っている業務を行わなければならないものである。具体的な事務の流れは別紙のとおりである。
なお、作成した居宅サービス計画は、基準等条例第109条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
③ サテライト事業所に研修修了者を配置する場合の居宅サービス計画の作成については、本体事業所の介護支援専門員が行う必要があること。
(7) 法定代理受領サービスに係る報告
基準等条例第96条は、地域密着型介護サービス費又は居宅介護サービス費を利用者に代わり当該指定小規模多機能居宅介護事業者又は当該指定居宅サービス事業者に支払うための手続として、指定小規模多機能居宅介護事業者に、市長(国民健康保険団体連合会に委託している場合にあっては当該国民健康保険団体連合会)に対して、居宅サービス計画において位置付けられている指定小規模多機能型居宅介護又は指定居宅サービス等のうち法定代理受領サービスとして位置付けたものに関する情報を記載した文書(給付管理票)を毎月提出することを義務付けたものである。
(8) 利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付
基準等条例第97条は、登録者が指定小規模多機能型居宅介護事業者を変更した場合に、変更後の指定小規模多機能型居宅介護事業者が滞りなく給付管理票の作成・届出等の事務を行うことができるよう、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、登録者が他の指定小規模多機能型居宅介護事業者の利用を希望する場合その他登録者からの申出があった場合には、当該登録者に対し、直近の居宅サービス計画及びその実施状況に関する書類を交付しなければならないこととしたものである。
(9) 小規模多機能型居宅介護計画の作成
① 当該計画の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを利用者に強制することとならないように留意するものとする。
② 基準等条例第98条第2項に定める「多様な活動」とは、地域の特性や利用者の生活環境に応じたレクリエーション、行事、園芸、農作業などの利用者の趣味又は嗜好に応じた活動等をいうものである。
③ 小規模多機能型居宅介護計画は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、介護支援専門員又はサテライト事業所の研修修了者は、小規模多機能型居宅介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該小規模多機能型居宅介護計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した小規模多機能型居宅介護計画は、基準等条例第109条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
④ 長岡市指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準等に関する条例(平成30年長岡市条例第5号)第16条第12号において、「介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等に対して、指定居宅サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする」と規定していることを踏まえ、小規模多機能型居宅介護事業所において短期利用居宅介護費を算定する場合で、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作成した居宅サービス計画に基づきサービスを提供している小規模多機能型居宅介護事業者は、当該居宅サービス計画を作成している指定居宅介護支援事業者から小規模多機能型居宅介護計画の提供の求めがあった際には、当該小規模多機能型居宅介護計画を提供することに協力するよう努めるものとする。
(10) 介護等
① 基準等条例第99条第1項で定める介護サービスの提供に当たっては、利用者の心身の状況に応じ、利用者がその自主性を保ち、意欲的に日々の生活を送ることが出来るように介護サービスを提供し又は必要な支援を行うものとする。その際、利用者の人格に十分に配慮しなければならない。
② 基準等条例第99条第2項は、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、指定小規模多機能型居宅介護のサービスを事業所の従業者に行わせなければならないことを定めたものであり、例えば、利用者の負担によって指定小規模多機能型居宅介護の一部を付添者等に行わせることがあってはならない。ただし、指定小規模多機能型居宅介護事業者の負担により、訪問入浴介護等のサービスの利用に供することは差し支えない。
③ 基準等条例第99条第3項は、利用者が小規模多機能型居宅介護従業者と食事や清掃、洗濯、買物、園芸、農作業、レクリエーション、行事等を可能な限り共同で行うことによって良好な人間関係に基づく家庭的な生活環境の中で日常生活が送れるようにすることに配慮したものである。
(11) 社会生活上の便宜の提供等
① 基準等条例第100条第1項は、指定小規模多機能型居宅介護事業者は画一的なサービスを提供するのではなく、利用者の外出の機会の確保その他の利用者の意向を踏まえた社会生活の継続のための支援に努めることとしたものである。
② 基準等条例第100条第2項は、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、郵便、証明書等の交付申請等、利用者が必要とする手続等について、利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭に係るものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。
③ 基準等条例第100条第3項は、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、利用者の家族に対し、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所の会報の送付、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。
(12) 緊急時等の対応
基準等条例第101条は、小規模多機能型居宅介護従業者が現に指定小規模多機能型居宅介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定小規模多機能型居宅介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。協力医療機関については、次の点に留意するものとする。
① 協力医療機関は、事業の通常の実施地域内にあることが望ましいものであること。
② 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。
(13) 運営規程(基準等条例第102条)
基準等条例第102条は、指定小規模多機能型居宅介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定小規模多機能型居宅介護の提供を確保するため、同条第1号から第11号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定小規模多機能型居宅介護事業所ごとに義務付けたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 営業日及び営業時間(第3号)
指定小規模多機能型居宅介護事業所は、365日利用者の居宅生活を支援するものであり、休業日を設けることは想定していないことから、営業日は365日と記載すること。また、訪問サービスは、利用者からの随時の要請にも対応するものであることから、24時間と、通いサービス及び宿泊サービスは、それぞれの営業時間を記載すること。
② 通常の事業の実施地域(第6号)
基準等条例第102条第6号は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る第33条第5号の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(21)の⑤を参照すること。
③ 非常災害対策(第9号)
(16)の非常災害対策に関する具体的計画を指すものであること(基準等条例第124条第6号についても同様とする。)
(14) 定員の遵守
① 基準等条例第103条第1項に定める「特に必要と認められる場合」としては、例えば、次のような事例等が考えられるが、「一時的」とは、こうした必要と認められる事情が終了するまでの間をいうものである。
ア 登録者の介護者が急病のため、急きょ、事業所において通いサービスを提供したことにより、当該登録者が利用した時間帯における利用者数が定員を超える場合
イ 事業所において看取りを希望する登録者に対し、宿泊室においてサービスを提供したことにより、通いサービスの提供時間帯における利用者数が定員を超える場合
ウ 登録者全員を集めて催しを兼ねたサービスを提供するため、通いサービスの利用者数が定員を超える場合
エ 上記に準ずる状況により特に必要と認められる場合
② 基準等条例第103条第2項は、過疎地域その他これに類する地域であって、地域の実情により当該地域における指定小規模多機能型居宅介護の効率的運営に必要であると本市が認めた場合に限り、登録定員並びに通いサービス及び宿泊サービスの利用定員を超えたサービス提供を例外的に認めることを定めたものであり、次に掲げる点のいずれにも適合することを要件とする。
ア 指定小規模多機能型居宅介護事業所が人員及び設備に関する基準を満たしていること。
イ 本市が登録定員並びに通いサービス及び宿泊サービスの利用定員の超過を認めた日から長岡市介護保険事業計画の終期までの最大3年間を基本とする。ただし、次期の長岡市介護保険事業計画を作成するに当たって、本市が将来のサービス需要の見込みを踏まえて改めて検討し、新規に代替えサービスを整備するよりも既存の事業所を活用した方が効率的であると認めた場合に限り、次期の長岡市介護保険事業計画の終期まで延長を可能とする。
(15) 業務継続計画の策定等
基準等条例第110条の規定により指定小規模多機能型居宅介護の事業について準用される基準等条例第34条の2の規定については、地域密着型通所介護と同様であるので、第3のその2の2の3の(7)を参照すること。
(16) 非常災害対策
基準等条例第104条は、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、想定される非常災害の態様ごとに、その程度及び規模に応じた具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難及び救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。関係機関への通報及び連携体制の整備とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう従業員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民、医療機関、他の社会福祉施設等との連携を図り、事前の訓練等に当たっては、非常災害時における消火・避難等における協力関係を構築するよう努めなければならない。なお、「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)並びに風水害及び地震、雪害等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定により防火管理者を置くこととされている指定小規模多機能型居宅介護事業所にあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている指定小規模多機能型居宅介護事業所においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。
同条第2項は、指定小規模多機能型居宅介護事業所が同条第1項に規定する避難、救出その他の訓練の実施に当たって、できるだけ地域住民の参加が得られるよう努めることとしたものであり、そのためには、地域住民の代表者等により構成される運営推進会議を活用し、日頃から地域住民との密接な連携体制を確保するなど、訓練の実施に協力を得られる体制づくりに努めることが必要である。訓練の実施に当たっては、消防関係者の参加を促し、具体的な指示を仰ぐなど、より実効性のあるものとすること。
(17) 衛生管理等
基準等条例第110条の規定により指定小規模多機能型居宅介護の事業について準用される基準等条例第61条の16の規定については、地域密着型通所介護と同様であるので、第3のその2の2の3の(9)を参照すること。
(18) 協力医療機関等
① 基準等条例第105条第1項及び第2項の協力医療機関及び協力歯科医療機関は、当該指定小規模多機能型居宅介護事業所から近距離にあることが望ましい。
② 基準等条例第105条第3項は、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、サービスの提供体制の確保、夜間における緊急時の対応等のため、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、病院等のバックアップ施設との間の連携及び支援の体制を整えなければならない旨を規定したものである。これらの協力医療機関やバックアップ施設から、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、当該協力医療機関等との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。
(19) 調査への協力等
基準等条例第106条は、指定小規模多機能型居宅介護の事業が小規模であること等から、利用者からの苦情がない場合にも、本市が定期的又は随時に調査を行うこととし、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、本市の行う調査に協力し、市長の指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならないこととしたものである。
本市は、適切な指定小規模多機能型居宅介護が行われているか確認するために定期的又は随時に調査を行い、基準を満たさない点などを把握した場合には、相当の期限を定めて基準を遵守するよう勧告を行うなど適切に対応するものとする。
指定小規模多機能型居宅介護事業者は、本市の求めに応じ、当該事業所の運営規程の概要や勤務体制、管理者及び介護支援専門員等の資格や研修の履修状況、利用者が負担する料金等の情報について提出するものとする。さらに、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、当該情報について自ら一般に公表するよう努めるものとする。
(20) 居住機能を担う併設施設等への入居
基準等条例第108条は、指定小規模多機能型居宅介護は、重度になったら居住機能を担う施設へ移行することを前提とするサービスではなく、可能な限り利用者が在宅生活を継続できるよう支援するものであることから、指定小規模多機能型居宅介護事業者は、利用者が併設施設等へ入所等を希望した場合は、円滑にそれらの施設への入所等が行えるよう努めなければならないとしたものである。
(21) 虐待の防止
基準等条例第110条の規定により指定小規模多機能型居宅介護の事業について準用される基準等条例第42条の2の規定については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様であるので、第3のその1の4の(31)を参照すること。
(22) 記録の整備
地域密着型通所介護の場合と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(13)を参照すること。
(23) 準用
基準等条例第110条の規定により、基準等条例第11条から第15条まで、第22条、第24条、第30条、第34条の2、第36条から第40条まで、第42条から第43条まで、第61条の11、第61条の13、第61条の16及び第61条の17の規定は、指定小規模多機能型居宅介護の事業について準用されるものであるため、第3のその1の4の(2)から(6)まで、(12)、(14)、(18)、(25)から(28)まで、(30)及び(32)並びに第3のその2の2の3の(4)、(6)及び(10)を参照すること。この場合において、準用される基準等条例第61条の17の規定について、指定小規模多機能型居宅介護事業所は、1年に1回以上、サービスの改善及び質の向上を目的として、各事業所が自ら提供するサービスについて評価・点検(自己評価)を行うとともに、当該自己評価結果について、運営推進会議において第三者の観点からサービスの評価(外部評価)を行うこととし、実施に当たっては以下の点に留意すること。また、運営推進会議の複数の事業所の合同開催については、合同で開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこととするとともに、外部評価を行う運営推進会議は、単独開催で行うこと。
ア 自己評価は、①事業所の全ての従業者が自ら提供するサービス内容について振り返りを行い、②その上で他の従業者の振り返り結果を当該事業所の従業者が相互に確認しながら、現状の課題や質の向上に向けて必要となる取組等について話し合いを行うことにより、小規模多機能型居宅介護事業所として提供するサービスについて個々の従業者の問題意識を向上させ、事業所全体の質の向上につなげていくことを目指すものである。
イ 外部評価は、運営推進会議において、当該事業所が行った自己評価結果に基づき、当該事業所で提供されているサービスの内容や課題等について共有を図るとともに、利用者、市職員、地域住民の代表者等が第三者の観点から評価を行うことにより、新たな課題や改善点を明らかにすることが必要である。
ウ このようなことから、運営推進会議において当該取組を行う場合には、市職員又は地域包括支援センター職員、指定小規模多機能型居宅介護に知見を有し公正・中立な第三者の立場にある者の参加が必要であるものとする。
エ 自己評価結果及び外部評価結果は、利用者及び利用者の家族へ提供するとともに、「介護サービスの情報公表制度」に基づく介護サービス情報公表システムを活用し公表することが考えられるが、法人のホームページへの掲載、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所への掲示、市窓口や地域包括支援センターへの掲示等により公表することも差し支えない。
オ 指定小規模多機能型居宅介護の特性に沿った自己評価及び外部評価の在り方については、平成25年度老人保健健康増進等事業「運営推進会議等を活用した小規模多機能型居宅介護の質の向上に関する調査研究事業」(特定非営利活動法人全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会)を参考に行うものとし、サービスの改善及び質の向上に資する適切な手法により行うものとする。
その5 認知症対応型共同生活介護
1 基本方針(基準等条例第111条)
認知症対応型共同生活介護は、認知症高齢者が、家庭的な環境と地域住民との交流の下、住み慣れた環境での生活を継続できるようにすることを目指すものである。
指定認知症対応型共同生活介護の対象者は、法第8条第20項の規定に規定されるとおり、認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者は、共同生活住居において共同生活を送ることに支障があると考えられることから、指定認知症対応型共同生活介護の対象とはならないものである。
2 人員に関する基準
(1) 従業者の員数等(基準等条例第112条等)
① サテライト型指定認知症対応型共同生活介護事業所の実施要件
基準等条例第112条第9項の規定によるサテライト型指定認知症対応型共同生活介護事業所(以下、その5において「サテライト事業所」という。)の実施に当たっては、次の要件を満たす必要があること。
ア サテライト事業所に係る指定認知症対応型共同生活介護事業者は、指定居宅サービス事業等その他の保健医療又は福祉に関する事業について3年以上の経験を有するものである必要があるが、この場合、指定認知症対応型共同生活介護以外の事業の経験についても当該経験に算入できることに留意すること。また、「3年以上の経験」については、当該指定日において満たしている必要があり、休止等、事業を運営していない期間は除いて計算すること。
イ サテライト事業所は、本体事業所(指定認知症対応型共同生活介護事業所であって、当該事業所に対する支援機能を有する事業所をいう。以下、その5において同じ。)を有する必要があるが、ここでいう「支援機能を有する事業所」については、当該本体事業所が次のいずれかに該当することを指すものであること。
(ア) 事業開始以降1年以上本体事業所としての実績を有すること。
(イ) 当該本体事業所の共同生活住居の利用者の合計数が、当該本体事業所の共同生活住居において定められた入居定員の合計数の100分の70を超えたことがあること。
ウ サテライト事業所は、本体事業所との密接な連携を確保しつつ、運営するものであるため、次に掲げる要件をいずれも満たす必要があること。したがって、本体事業所に対するサテライト事業所の共同生活住居の数及び設置可能な箇所数は、表のとおりとなる。
(ア) 本体事業所とサテライト事業所の距離は、自動車等による移動に要する時間がおおむね20分以内の近距離であること。
(イ) サテライト事業所の共同生活住居の合計数が、本体事業所の共同生活住居の数を上回らないこと。
(ウ) 本体事業所とサテライト事業所の共同生活住居の数の合計は、最大4までとすること。
【本体事業所の共同生活住居数とサテライト事業所の共同生活住居の数及び箇所数の関係】
本体事業所 | サテライト事業所 | |
共同生活住居数 | 共同生活住居数 | 1の本体事業所に対して設置可能なサテライト事業所の箇所数 |
1 | 1 | 1 |
2 | 1 | 2 |
2 | 1 | |
3 | 1 | 1 |
エ 本体事業所は、当該サテライト事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保するほか、当該本体事業所とサテライト事業所の管理者が同一である場合には、当該本体事業所と当該サテライト事業所との間において、次に掲げる要件をいずれも満たす必要があること。
(ア) 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
(イ) 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。また、必要な場合に随時、本体事業所や他のサテライト事業所との相互支援が行える体制(例えば、サテライト事業所の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合は、本体事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
(ウ) 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制があること。
(エ) 事業の目的や運営方針等について同一の運営規程が定められること。
(オ) 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われていること。
オ 本体事業所とサテライト事業所は、同一の日常生活圏域内に所在することが望ましいが、隣接する市町村における指定認知症対応型共同生活介護事業所とすることも差し支えないものである。
カ なお、市長は、サテライト事業所の指定に当たっては、他の地域密着型サービスの指定の場合と同様、あらかじめ本市に設置される地域密着型サービス運営委員会等の意見を聴き、必要があると認められる場合は、指定の際に条件を付す等により、事業の適正な運営に当たっての措置を講ずることとする。
② 介護従業者
ア 基準等条例第112条第1項から第4項までに規定する介護従業者については、利用者が認知症を有する者であることから、認知症の介護等に対する知識、経験を有する者であることを原則とする。なお、これ以外の介護従業者にあっても研修の機会を確保することなどにより質の向上を図るものとする。
夜間及び深夜の時間帯は、それぞれの事業所ごとに、利用者の生活サイクルに応じて、1日の活動の終了時刻から開始時刻までを基本として設定するものとし、これに対応して、夜間及び深夜の時間帯以外の指定認知症対応型共同生活介護の提供に必要な介護従業者及び夜間及び深夜の勤務(夜間及び深夜の時間帯に行われる勤務(宿直勤務を除く。)をいう。以下同じ。)を行わせるために必要な介護従業者を確保するものとする。
例えば、利用者を8人とし、常勤の勤務時間を1日8時間とし、午後9時から午前6時までを夜間及び深夜の時間帯とした場合、午前6時から午後9時までの15時間の間に、8時間×3人=延べ24時間分の指定認知症対応型共同生活介護が提供され、かつ、当該時間帯においては、常に介護従業者が1人以上確保されていることが必要となる。また、午後9時から午前6時までは、夜間及び深夜の勤務を行う介護従業者(以下「夜勤職員」という。)が1人以上確保されていることが必要となる。
ただし、3つの共同生活住居を有する指定認知症対応型共同生活介護事業所において、全ての共同生活住居が同一の階に隣接し、介護従業者が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応を行うことが可能となる構造である場合には、当該指定認知症対応型共同生活介護事業者によって夜間の勤務に関するマニュアルの策定や避難訓練の実施といった安全対策が行われ、利用者の安全性が確保されていると認められている場合に限り、夜勤職員を2人以上とすることができる。この場合には、利用者のケアの質や職員の負担にも配慮すること。
マニュアルの策定や避難訓練の実施に当たっては、基準等条例第130条において準用する基準等条例第104条において定められた非常災害に関する具体的な計画や訓練の実施において、夜間及び深夜の時間帯の勤務を想定した内容を取り扱うことで差し支えない。
なお、事業所の判断により、人員配置基準を満たす2人以上の夜勤職員を配置した上で、さらに他の職員を配置する場合については、宿直体制で配置することも可能である。
宿直勤務を行う介護従業者を置く際の夜間及び深夜の時間帯の設定に当たっては、「社会福祉施設における宿直勤務の取り扱いについて」(昭和49年8月20日社施第160号社会局施設課長、児童家庭局企画課長連名通知)に準じて適切に行うこと。
イ 基準等条例第112条第4項の規定は、指定小規模多機能型居宅介護に係る第84条第6項の規定と同趣旨であるため、第3のその4の2の(1)の②のクを参照すること。
なお、指定認知症対応型共同生活介護事業所の職務に従事する夜勤職員については、当該事業所に指定小規模多機能型居宅介護事業所が併設され、以下の要件を満たすほか、入居者の処遇に支障がないと認められる場合に限り、指定小規模多機能型居宅介護事業所の職務を兼ねることができる。
(ア) 指定認知症対応型共同生活介護事業所の定員と指定小規模多機能型居宅介護事業所の泊まりの定員の合計が9人以内であること。
(イ) 指定認知症対応型共同生活介護事業所と指定小規模多機能型居宅介護事業所が同一階に隣接しており、一体的な運用が可能な構造であること。
③ 計画作成担当者
ア 計画作成担当者は、指定認知症対応型共同生活介護事業所に1人以上置かなければならない。
イ 計画作成担当者を1人配置する事業所にあっては、当該計画作成担当者は介護支援専門員をもって充てなければならない。
ウ 計画作成担当者を1を超えて配置する事業所にあっては、計画作成担当者のうち少なくとも1人は介護支援専門員をもって充てなければならない。
エ ウの介護支援専門員は、介護支援専門員でない他の計画作成担当者の業務を監督するものとする。
オ サテライト事業所においては、介護支援専門員である計画作成担当者を配置せず、実践者研修又は基礎課程を修了した者(以下「研修等修了者」という。)を計画作成担当者として配置することができることとされているが、研修等修了者はサテライト事業所の利用者に係る認知症対応型共同生活介護計画の作成に従事するものである。
カ 計画作成担当者は、介護支援専門員である者及び介護支援専門員でない者のいずれについても、指定を受ける際(指定を受けた後に計画作成担当者の変更の届出を行う場合を含む。)に、113号告示第5号に規定する研修を修了しているものとする。なお、当該研修は、具体的には、地域密着研修通知2の(1)の②「実践者研修」又は「基礎課程」を指すものである。
キ 計画作成担当者は、この③のカにおいて必要とされる研修に加え、更に専門性を高めるための研修を受講するよう努めるものとする。
ク 計画作成担当者は、利用者の処遇に支障がない場合は、管理者との兼務もできるものとする。
(2) 管理者(基準等条例第113条)
① 指定認知症対応型共同生活介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
ア 当該指定認知症対応型共同生活介護事業所の介護従業者としての職務に従事する場合
イ 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される訪問系サービスの事業所のサービス提供を行う従業者との兼務は一般的には管理業務に支障があると考えられるが、訪問系サービス事業所における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もあり得る。)。
なお、1の事業所に複数の共同生活住居を設ける場合、それぞれの共同生活住居の管理上支障がない場合は、同一事業所の他の共同生活住居との兼務もできるものとする。
また、サテライト事業所の管理者は本体事業所の管理者を充てることができるが、この場合、2の(1)の①のエに掲げる要件をいずれも満たす必要があること。
② 基準等条例第113条第3項の規定は、指定小規模多機能型居宅介護に係る基準等条例第85条第3項の規定と同趣旨であるため、第3のその4の2の(2)の②を参照すること。
(3) 代表者
基準等条例第114条の規定は、指定小規模多機能型居宅介護に係る基準等条例第86条の規定と同趣旨であるため、第3のその4の2の(3)を参照すること。
3 設備に関する基準(基準等条例第115条)
(1) 事業所
① 1の事業所に複数の共同生活住居を設ける場合には、3つ(サテライト事業所にあっては2つ)までに限られるものとする。なお、本体事業所とサテライト事業所の共同生活住居の数の関係については、2の(1)の①のウの表のとおり。
1の事業所に複数の共同生活住居を設ける場合であっても、居間、食堂及び台所については、それぞれ共同生活住居ごとの専用の設備でなければならない。また、併設の事業所において行われる他のサービスの利用者がこれらの設備を共用することも原則として不可とする。ただし、指定認知症対応型共同生活介護を地域に開かれたものとするために有効であると考えられる共用型指定認知症対応型通所介護を、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間又は食堂において行うことは可能であるが、その場合にあっても、家庭的な雰囲気を維持する観点から、共用型指定認知症対応型通所介護の利用者は、共同生活住居ごとに、同一の時間帯において3人を上限とし、当該指定認知症対応型共同生活介護事業所の利用者の生活に支障のない範囲で居間又は食堂を利用することが必要である。
なお、それぞれの共同生活住居に対し、緊急時に速やかに対処できる距離、位置関係にあるなど、管理上特に支障がないと認められる場合は、事務室については兼用であっても差し支えない。
② 個人情報が記載されている書類については、施錠が可能なロッカー等を使用し適切に管理すること。
(2) 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備
基準等条例第115条第2項に定める「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法その他の法令等に規定された設備を示しており、それらの設備を確実に設置しなければならないものである。
なお、指定認知症対応型共同生活介護事業所については、原則として、全ての事業所でスプリンクラー設備が義務づけられているので留意すること。
(3) 居室
1の居室の面積は、7.43平方メートル(和室であれば4.5畳)以上とされているが、生活の場であることを基本に、収納設備は別途確保するなど利用者の私物等も置くことができる充分な広さを有するものとすること。また、居室とは、廊下、居間等につながる出入口があり、他の居室と明確に区分されているものをいい、単にカーテンや簡易なパネル等で室内を区分しただけと認められるものは含まれないこと。ただし、一般の住宅を改修している場合など、建物の構造上、各居室間がふすま等で仕切られている場合は、この限りでない。
さらに、居室を2人部屋とすることができる場合とは、例えば、夫婦で居室を利用する場合などであって、事業者の都合により一方的に2人部屋とするべきではない。なお、2人部屋については、特に居室面積の最低基準は示していないが、前記と同様に充分な広さを確保しなければならないものとする。
(4) 居間及び食堂
居間及び食堂は同一の室内とする場合であっても、居間、食堂のそれぞれの機能が独立していることが望ましい。また、その広さについても原則として利用者及び介護従業者が一堂に会するのに充分な広さを確保するものとする。
(5) 立地条件について
基準等条例第115条第7項の規定は、指定小規模多機能型居宅介護に係る基準等条例第88条第5項の規定と同趣旨であるため、第3のその3の3の(2)の⑤を参照すること。
なお、この規定は、平成18年4月1日に現に存する事業所について、改めて調査する必要があることを示したものではないので、留意すること。
4 運営に関する基準
(1) 入退居
① 基準等条例第116条第3項の「自ら必要なサービスを提供することが困難であると認めた場合」とは、入居申込者が第3のその5の1により利用対象者に該当しない者である場合のほか、入居申込者が入院治療を要する者である場合、当該指定認知症対応型共同生活介護事業所の入居者数が既に定員に達している場合等であり、これらの場合には、同項の規定により、適切な他の指定認知症対応型共同生活介護事業者、介護保険施設、病院又は診療所を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならない。
② 基準等条例第116条第4項は、入居申込者の入居に際し、その者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めることとしているが、入居申込者が家族による入居契約締結の代理や援助が必要であると認められながら、これらが期待できない場合については、本市とも連携し、成年後見制度や権利擁護に関する事業等の活用を可能な限り図ることとする。
(2) サービスの提供の記録
① 基準等条例第117条第1項は、指定認知症対応型共同生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等が当該利用者が指定認知症対応型共同生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、入居に際しては入居の年月日及び入居している共同生活住居の名称を、退居に際しては退居の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。
② 基準等条例第117条第2項は、サービスの提供日、サービスの内容、利用者の状況その他必要な事項を記録しなければならないこととしたものである。
なお、基準等条例第129条第2項の規定に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
(3) 利用料等の受領
① 基準等条例第118条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第23条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(13)の①、②及び④を参照すること。
② 基準等条例第118条第3項は、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、指定認知症対応型共同生活介護の提供に関して、次のアからエまでのものについては、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、エの費用の具体的な範囲については、国において別に通知するところによるものである。
ア 食材料費
イ 理美容代
ウ おむつ代
エ アからウまで掲げるもののほか、指定認知症対応型共同生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの
(4) 指定認知症対応型共同生活介護の取扱方針
① 基準等条例第119条第2項は、利用者が共同生活を送る上で自らの役割を持つことにより、達成感や満足感を得、自信を回復するなどの効果が期待されるとともに、利用者にとって当該共同生活住居が自らの生活の場であると実感できるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
② 基準等条例第119条第4項で定めるサービス提供方法等とは、認知症対応型共同生活介護計画の目標及び内容や行事及び日課等も含むものである。
③ 基準等条例第119条第5項及び第6項は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
ア 緊急やむを得ない場合とは、身体的拘束廃止委員会が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。
(ア) 利用者又は他の利用者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。
(イ) 身体的拘束等を行う以外に当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。
(ウ) 身体的拘束等が一時的なものであること。
イ 身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア) 身体的拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
(イ) 当該身体的拘束等が必要な理由及びその態様、時間、その他必要な事項について利用者又はその家族に対して説明した上で、文書により利用者の同意を得ること。
(ウ) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びにアの緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。
ウ 身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体的拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。
なお、基準等条例第129条第2項の規定に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
④ 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(基準等条例第119条第7項第1号)
基準等条例第119条第7項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下、この(4)において「身体的拘束適正化検討委員会」という。)とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、委員会の構成メンバーは、事業所の管理者及び従業者より構成する場合のほか、これらの職員に加えて、第三者や専門家を活用した構成とすることが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等も考えられる。また、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。
また、身体的拘束適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
指定認知症対応型共同生活介護事業者が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、事業所全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
ア 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
イ 介護従業者その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ウ 身体的拘束適正化検討委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
エ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
カ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
⑤ 身体的拘束等の適正化のための指針(基準等条例第119条第7項第2号)
指定認知症対応型共同生活介護事業者が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 事業所における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
イ 身体的拘束適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ウ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
エ 事業所内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
オ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
キ その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
⑥ 身体的拘束等の適正化のための従業者に対する研修(基準等条例第119条第7項第3号)
介護従業者その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定認知症対応型共同生活介護事業者における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定認知症対応型共同生活介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修事業所内での研修で差し支えない。
⑦ 基準等条例第119条第8項は、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、新潟県の定める基準に基づき、まず自ら評価を行った上で、新潟県が選定した評価機関の実施するサービス評価を受け、その評価結果を踏まえて総括的な評価を行い、常にその提供する指定認知症対応型共同生活介護の質の改善を図らなければならないことを規定したものである。また、評価の実施を担保する観点から、それらの結果を入居(申込)者及びその家族へ提供するほか、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所に掲示する方法や、本市の窓口、地域包括支援センターに置いておく方法、インターネットを活用する方法などにより、開示しなければならないこととする。
なお、自ら行う評価及び外部の者による評価に関する具体的な事項については、国において別に通知するところによるものである。
(5) 認知症対応型共同生活介護計画の作成
① 当該計画の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを利用者に強制することとならないように留意するものとする。
② 基準等条例第120条第2項でいう通所介護の活用とは、介護保険給付の対象となる通所介護ではなく、当該指定認知症対応型共同生活介護事業者と通所介護事業者との間の契約により、利用者に介護保険給付の対象となる通所介護に準ずるサービスを提供するものである。また、その他の多様な活動とは、地域の特性や利用者の生活環境に応じたレクリエーション、行事、園芸、農作業などの利用者の趣味又は嗜好に応じた活動等をいうものである。
③ 認知症対応型共同生活介護計画は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、計画作成担当者は、認知症対応型共同生活介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該認知症対応型共同生活介護計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した認知症対応型共同生活介護計画は、基準等条例第129条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
④ 基準等条例第120条第6項は、認知症対応型共同生活介護計画には、当該共同生活住居内で提供するサービスだけでなく、当該共同生活住居外において入居者が利用する他の居宅サービス等も位置付けられることから、計画作成担当者は、当該共同生活住居の他の介護従業者及び他の居宅サービス等を行う者と連携して当該計画に基づいたサービスの実施状況を把握し、また、必要に応じて計画の変更を行うものとする。
⑤ 認知症対応型共同生活介護事業所において短期利用認知症対応型共同生活介護費を算定する場合で、居宅サービス計画に基づきサービスを提供している認知症対応型共同生活介護事業者については、第3のその4の4の(9)の④を準用する。この場合において、「小規模多機能型居宅介護計画」とあるのは、「認知症対応型共同生活介護計画」とする。
(6) 介護等
① 基準等条例第121条第1項で定める介護サービスの提供に当たっては、認知症の状態にある利用者の心身の状況に応じ、利用者がその自主性を保ち、意欲的に日々の生活を送ることが出来るようにすることを念頭に、利用者の精神的な安定、行動障害の減少及び認知症の進行緩和が図られるように介護サービスを提供し又は必要な支援を行うものとする。その際、利用者の人格に十分に配慮しなければならない。
② 基準等条例第121条第2項は、指定認知症対応型共同生活介護事業所で提供されるサービスは施設サービスに準じ、当該共同生活住居において完結する内容であることを踏まえ、当該事業所の従業者でないいわゆる付添者による介護や、居宅療養管理指導を除く他の居宅サービスを、入居者にその負担によって利用させることができないこととしたものである。ただし、指定認知症対応型共同生活介護事業者の負担により、通所介護等のサービスを利用に供することは差し支えない。
③ 基準等条例第121条第3項は、利用者が介護従業者と食事や清掃、洗濯、買物、園芸、農作業、レクリエーション、行事等を共同で行うことによって良好な人間関係に基づく家庭的な生活環境の中で日常生活が送れるようにすることに配慮したものである。
(7) 社会生活上の便宜の提供等
① 基準等条例第122条第1項は事業者が画一的なサービスを提供するのではなく、利用者が自らの趣味又は嗜好に応じた活動を行うことができるよう必要な支援を行うことにより、利用者が充実した日常生活を送り、利用者の精神的な安定、行動障害の減少及び認知症の症状の進行を緩和するよう努めることとしたものである。
② 基準等条例第122条第2項は、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、郵便、証明書等の交付申請等、利用者が必要とする手続等について、利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭に係るものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。
③ 基準等条例第122条第3項は、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、利用者の家族に対し、当該共同生活住居の会報の送付、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。また、利用者と家族の面会の場所や時間等についても、利用者やその家族の利便を図るものとする。
(8) 運営規程
基準等条例第124条は、指定認知症対応型共同生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定認知症対応型共同生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを共同生活住居ごとに義務付けたものであるが、第4号の「指定認知症対応型共同生活介護の内容」にあっては、通所介護等を利用する場合については当該サービスを含めたサービスの内容を指すものであることに留意するものとする。
同条第6号の「非常災害対策」は、指定小規模多機能型居宅介護に係る基準等条例第102条第9号の規定と同趣旨であるため、第3のその4の4の(13)の③を参照すること。
同条第8号の「前各号に掲げるもののほか、運営に関する重要事項」として、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続について定めておくことが望ましい。
(9) 勤務体制の確保等
基準等条例第125条は、利用者に対する適切な指定認知症対応型共同生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
① 共同生活住居ごとに、介護従業者の日々の勤務体制、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、夜間及び深夜の勤務の担当者等を明確にすること。
② 基準等条例第125条第2項は、指定認知症対応型共同生活介護の利用者の精神の安定を図る観点から、担当の介護従業者を固定する等の継続性を重視したサービス提供に配慮すべきこととしたものであること。
③ 夜間及び深夜の時間帯を定めるに当たっては、それぞれの事業所ごとに、利用者の生活サイクルに応じて設定するものとし、これに対応して、夜間及び深夜の勤務を行わせるために必要な介護従業者を確保するとともに、夜間及び深夜の時間帯以外の指定認知症対応型共同生活介護の提供に必要な介護従業者を確保すること。なお、常時介護従業者が1人以上確保されている(2により指定小規模多機能型居宅介護事業所の職務を兼ねている夜勤職員が配置されている場合を含む。)ことが必要であること。
④ 基準等条例第125条第3項前段は、当該指定認知症対応型共同生活介護事業所の介護従業者の質の向上を図るため、具体的な研修計画を策定し、研修機関又は当該指定認知症対応型共同生活介護事業者が実施する研修その他その資質の向上のための研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであるが、当該介護従業者は要介護者であって認知症の状態にあるものの介護を専ら担当することに鑑み、特に認知症介護に関する知識及び技術の修得を主たる目的とする研修を受講する機会を確保するよう努めること。特に利用者の人権の擁護、高齢者虐待の防止、身体的拘束の廃止、感染症や食中毒の予防とまん延防止、事故発生の防止等のため、従業者に対し定期的に研修の実施その他必要な措置を講じること。
⑤ 基準等条例第125条第3項後段の規定は、地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の13第3項と基本的に同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(6)の③を参照すること。
⑥ 基準等条例第125条第4項の規定は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第34条第5項と基本的に同趣旨であるため、第3のその1の4の(22)の⑥を参照すること。
(10) 協力医療機関等
① 基準等条例第127条第1項及び第2項の協力医療機関及び協力歯科医療機関は、共同生活住居から近距離にあることが望ましい。
② 基準等条例第127条第3項は、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、サービスの提供体制の確保、夜間における緊急時の対応等のため、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、病院等のバックアップ施設との間の連携及び支援の体制を整えなければならない旨を規定したものである。これらの協力医療機関やバックアップ施設から、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、当該協力医療機関等との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。
(11) 居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止
① 基準等条例第128条第1項は、居宅介護支援事業者による共同生活住居の紹介が公正中立に行われるよう、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該共同生活住居を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。
② 基準等条例第128条第2項は、共同生活住居の退居後において利用者による居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該共同生活住居からの退居者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。
(12) 業務継続計画の策定等
① 基準等条例第130条により準用される基準等条例第34条の2は、指定認知症対応型共同生活介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定認知症対応型共同生活介護の提供を受けられるよう、業務継続計画を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、指定認知症対応型共同生活介護事業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準等条例第34条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施に当たっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第3項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、厚生労働省「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び厚生労働省「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照すること。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
ア 感染症に係る業務継続計画
(ア) 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
(イ) 初動対応
(ウ) 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
イ 災害に係る業務継続計画
(ア) 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
(イ) 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
(ウ) 他施設及び地域との連携
③ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年2回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施すること。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
④ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年2回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。また、災害の業務継続計画に係る訓練については、非常災害対策に係る訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(13) 衛生管理等
① 基準等条例第130条により準用される基準等条例第61条の16は、指定認知症対応型共同生活介護事業者の必要最低限の衛生管理等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
ア 指定認知症対応型共同生活介護事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
イ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、国から別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
ウ 空調設備等により事業所内の適温の確保に努めること。
② 基準等条例第61条の16第2項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずべき措置については、具体的には次のアからウまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第4項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
ア 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、本市における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」を参照すること。
ウ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
認知症対応型共同生活介護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施すること。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(14) 虐待の防止
基準等条例第130条により準用される基準等条例第42条の2は虐待の防止に関する事項について規定したものである。虐待は、法の目的の一つである高齢者の尊厳の保持や、高齢者の人格の尊重に深刻な影響を及ぼす可能性が極めて高く、指定認知症対応型共同生活介護事業者は虐待の防止のために必要な措置を講じなければならない。虐待を未然に防止するための対策及び発生した場合の対応等については、高齢者虐待防止法に規定されているところであり、その実効性を高め、利用者の尊厳の保持・人格の尊重が達成されるよう、次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じるものとする。
ア 虐待の未然防止
指定認知症対応型共同生活介護事業者は高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、基準等条例第5条の一般原則に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が高齢者虐待防止法等に規定する養介護事業の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。
イ 虐待等の早期発見
指定認知症対応型共同生活介護事業所の従業者は、虐待等を発見しやすい立場にあることから、これらを早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、本市の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、利用者及びその家族からの虐待等に係る相談、利用者から本市への虐待の届出について、適切な対応をすること。
ウ 虐待等への迅速かつ適切な対応
虐待が発生した場合には、速やかに本市の窓口に通報される必要があり、指定認知症対応型共同生活介護事業者は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、本市等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努めることとする。
以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施するものとする。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第2項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
虐待防止検討委員会は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、事業所外の虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。
なお、虐待防止検討委員会は、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携により行うことも差し支えない。
また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
虐待防止検討委員会は、具体的には、次のような事項について検討することとする。その際、そこで得た結果(事業所における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
ア 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関すること
イ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ウ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
エ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
オ 従業者が虐待等を把握した場合に、本市への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
カ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
キ この①のカの再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
② 虐待の防止のための指針(第2号)
指定認知症対応型共同生活介護事業者が整備する「虐待の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
イ 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ウ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
エ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
オ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
カ 成年後見制度の利用支援に関する事項
キ 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
ク 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
ケ その他虐待の防止の推進のために必要な事項
③ 虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
従業者に対する虐待の防止のための研修の内容としては、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、当該指定認知症対応型共同生活介護事業所における指針に基づき、虐待の防止の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定認知症対応型共同生活介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、事業所内での研修で差し支えない。
④ 虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)
指定認知症対応型共同生活介護事業所における虐待を防止するための体制として、①から③までに掲げる措置を適切に実施するため、専任の担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。
(15) 記録の整備
地域密着型通所介護の場合と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(13)を参照すること。
(16) 準用
基準等条例第130条の規定により、基準等条例第11条、第12条、第14条、第15条、第24条、第30条、第34条の2、第36条から第38条まで、第40条、第42条から第43条まで、第61条の11、第61条の16、第61条の17第1項から第4項まで、第101条、第104条及び第106条の規定は、指定認知症対応型共同生活介護の事業に準用されるものであるため、第3のその1の4の(2)、(3)、(5)、(6)、(14)、(18)、(25)、(26)、(28)、(30)及び(32)、第3のその2の2の3の(4)及び(10)の①から④まで並びに第3のその4の4の(12)、(16)及び(19)を参照すること。この場合において、準用される基準等条例第61条の17第1項から第4項までの規定について、指定認知症対応型共同生活介護事業所は、1年に1回以上、サービスの改善及び質の向上を目的として、各事業所が自ら提供するサービスについて評価・点検(自己評価)を行うとともに、当該自己評価結果について、運営推進会議において第三者の観点からサービスの評価(外部評価)を行うことができることとし、実施にあたっては以下の点に留意すること。また、運営推進会議の複数の事業所の合同開催については、合同で開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこととするとともに、外部評価を行う運営推進会議は単独開催で行うこと。
ア 自己評価は、事業所が自ら提供するサービス内容について振り返りを行い、指定認知症対応型共同生活介護事業所として提供するサービスについて個々の従業者の問題意識を向上させ、事業所全体の質の向上につなげていくことを目指すものである。
イ 外部評価は、運営推進会議において、当該事業所が行った自己評価結果に基づき、当該事業所で提供されているサービスの内容や課題等について共有を図るとともに、利用者のほか、市職員、地域住民の代表者等が第三者の観点から評価を行うことにより、新たな課題や改善点を明らかにすることが必要である。
ウ このようなことから、運営推進会議において当該取組を行う場合には、市職員又は地域包括支援センター職員、指定認知症対応型共同生活介護に知見を有し公正・中立な第三者の立場にある者の参加が必要であるものとする。
エ 自己評価結果及び外部評価結果は、利用者及び利用者の家族へ提供するとともに、「介護サービスの情報公表制度」に基づく介護サービス情報公表システムを活用し公表することが考えられるが、法人のホームページへの掲載、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所への掲示、市窓口や地域包括支援センターへの掲示等により公表することも差し支えない。
オ 指定認知症対応型共同生活介護の特性に沿った自己評価及び外部評価の在り方については、平成28年度老人保健健康増進等事業「認知症グループホームにおける運営推進会議及び外部評価のあり方に関する調査研究事業」(公益社団法人日本認知症グループホーム協会)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/94_nihonGHkyoukai.pdf)(厚生労働省ホームページ「平成28年度老人保健健康増進等事業当初協議採択事業一覧」にて掲載)を参考に行うものとし、サービスの改善及び質の向上に資する適切な手法により行うものとする。
その6 地域密着型特定施設入居者生活介護
1 人員に関する基準
(1) 生活相談員(基準等条例第132条第7項)
サテライト型特定施設(本体施設と密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営される指定地域密着型特定施設をいう。また、本体施設とは、サテライト型特定施設と同じ法人により設置され、当該施設に対する支援機能を有する介護老人保健施設、介護医療院又は病院若しくは診療所をいう。この場合において、本体施設と密接な連携を確保する具体的な要件は、本体施設とサテライト型特定施設は、自動車等による移動に要する時間がおおむね20分以内の近距離であることをいう。以下この号において同じ。)の生活相談員については、本体施設(介護老人保健施設に限る。)の支援相談員によるサービス提供が、当該本体施設の入所者及びサテライト型特定施設の入居者に適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。
(2) 看護職員及び介護職員
基準等条例第132条第1項第2号ウの「常に1以上の指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供に当たる介護職員の確保」とは、介護サービスの提供内容に応じて介護職員の勤務体系を適切に定めることであり、宿直時間帯を含めて適切な介護を提供できるようにするものとする。
(3) 主として指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供に当たる看護職員及び介護職員
基準等条例第132条第4項の「主として指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供に当たる」看護職員及び介護職員は、指定地域密着型特定施設の利用者に対するサービス提供に従事することを基本とするものである。ただし、当該要介護者のサービス利用に支障のないときに、併設事業所等の要介護者等に対するサービス提供を行うことは差し支えない。
指定時においては、前記の趣旨が運営規程において明示されていることを確認する必要がある。
また、「主として指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供に当たる」看護職員及び介護職員のうち、それぞれ1人以上は、常勤の職員でなければならない。ただし、サテライト型特定施設の場合にあっては、これらの職員は、それぞれ常勤換算方法で1以上の基準を満たしていれば非常勤の者であっても差し支えない。
(4) 機能訓練指導員(基準等条例第132条第5項及び第7項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格を有する者(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)とする。
また、サテライト型特定施設の機能訓練指導員については、本体施設(診療所を除く。)の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士によるサービス提供が、本体施設の入所者又は入院患者及びサテライト型特定施設の入居者に適切に行われると認めれれるときは、これを置かないことができる。
(5) 計画作成担当者(基準等条例第132条第7項)
サテライト型特定施設の計画作成担当者については、本体施設(介護老人保健施設、介護医療院又は病院(指定介護療養型医療施設に限る。)に限る。)の介護支援専門員によるサービス提供が、本体施設の入所者又は入院患者及びサテライト型特定施設の入居者に適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。
(6) 基準等条例第132条第8項の規定は、指定小規模多機能型居宅介護に係る基準等条例第84条第6項の規定と同趣旨であるため、第3のその4の2の(1)の②のクを参照すること。
(7) 管理者(基準等条例第133条)
指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
① 当該地域密着型特定施設の他の職務に従事する場合
② 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される訪問系サービスの事業所のサービス提供を行う従業者との兼務は一般的には管理業務に支障があると考えられるが、訪問系サービス事業所における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もあり得る。)。
③ 当該指定地域密着型特定施設がサテライト型特定施設であって、本体施設の職務に従事する場合(本体施設が病院又は診療所の場合にあっては、管理者としての職務を除く。)
(8) 病院及び診療所の療養病床転換による機能訓練指導員の配置に関する基準緩和の経過措置(長岡市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例(平成30年長岡市条例第25号。以下「平成30年改正基準等条例」という。)附則第2項)
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を平成36年3月31日までの間に転換し、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業を行う医療機関併設型指定地域密着型特定施設(介護老人保健施設、介護医療院又は病院若しくは診療所に併設される指定地域密着型特定施設をいう。以下同じ。)においては、機能訓練指導員は、当該医療機関併設型指定地域密着型特定施設における理学療法士等によるサービス提供が、当該併設医療機関及び医療機関併設型指定地域密着型特定施設の入居者に対するサービス提供が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。
(9) 病院及び診療所の療養病床転換による生活指導員及び計画作成担当者の配置に関する基準緩和の経過措置(平成30年改正基準等条例附則第2項)
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を平成36年3月31日までの間に転換し、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業を行う医療機関併設型指定地域密着型特定施設においては、当該医療機関併設型指定地域密着型特定施設における生活相談員及び計画作成担当者の配置については、当該医療機関併設型指定地域密着型特定施設の入居者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合にあっては、実情に応じた適当数でよいこと。
2 設備に関する基準(基準等条例第134条)
(1) 基準等条例第134条第4項第1号アの「利用者の処遇上必要と認められる場合」とは、例えば、夫婦で居室を利用する場合などであって、事業者の都合により一方的に2人部屋とすることはできない。
(2) 基準等条例第134条第4項において、介護居室、一時介護室、食堂及び機能訓練室についていう「適当な広さ」については、面積による基準を定めることはせず、利用者の選択に委ねることとする。このため、具体的な広さについては、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項であり、利用申込者に対する文書を交付しての説明及び掲示が必要となる。また、機能訓練室については、他に適当な場所が確保されている場合に設けないことができることとしたが、この場合には、同一敷地内にある若しくは道路を隔てて隣接する又は当該指定地域密着型特定施設の付近にある等機能訓練の実施に支障のない範囲内にある施設の設備を利用する場合も含まれるものである。
(3) 基準等条例第134条第5項の「利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造」とは、段差の解消、廊下の幅の確保等の配慮がなされていることをいうものである。
(4) 基準等条例第134条第6項の「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の5第1項の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の2の(3)を参照すること。
(5) 療養病床転換による基準緩和の経過処置
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の開設者が、当該病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は当該診療所の一般病床若しくは療養病床を平成30年3月31日までの間に転換を行ってサテライト型特定施設である指定地域密着型特定施設を開設する場合にあっては、機能訓練室は、本体施設の機能訓練室を利用すれば足りることとする。
(6) 病院及び診療所の療養病床転換による浴室、便所及び食堂に関する基準の緩和(平成30年改正基準等条例附則第3項)
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を平成36年3月31日までの間に転換し、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業を行う医療機関併設型指定地域密着型特定施設においては、当該医療機関併設型指定地域密着型特定施設における浴室、便所及び食堂に関しては、当該医療機関併設型指定地域密着型特定施設の入居者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合にあっては、置かないことができるものとする。
なお、機能訓練指導室については、他に適当な場所が確保されている場合に設けないことができることとされており、この場合には、併設医療機関の設備を利用する場合も含まれるものである。
(7) 個人情報が記載されている書類については、施錠が可能なロッカー等を使用し適切に管理すること。
3 運営に関する基準
(1) 内容及び手続の説明及び契約の締結等
基準等条例第135条第1項は、利用者に対し適切な指定地域密着型特定施設入居者生活介護を提供するため、入居申込者又はその家族に対し、入居申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項ついて、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、同意を得なければならないこととしたものである。
「入居申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項」とは、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、介護居室、一時介護室、浴室、食堂及び機能訓練室の概要、要介護状態区分に応じて当該事業者が提供する標準的な介護サービスの内容、利用料の額及びその改定の方法並びに事故発生時の対応等である。
また、契約書においては、少なくとも、介護サービスの内容及び利用料その他費用の額、契約解除の条件を記載するものとする。
(2) 指定特定施設入居者生活介護の提供の開始等
基準等条例第136条第2項は、入居者が当該指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者から指定地域密着型特定施設入居者生活介護を受けることに同意できない場合もあること等から設けたものである。
(3) サービスの提供の記録
① 基準等条例第138条第1項は、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス、地域密着サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等において当該利用者が指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者に対して、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の開始に際しては当該開始の年月日及び入居している指定地域密着型特定施設の名称を、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の終了に際しては当該終了の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、サービスの提供日、サービスの内容、利用者の状況その他必要な事項を記録しなければならないこととしたものである。
なお、基準等条例第150条第2項の規定に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
(4) 利用料等の受領
① 基準等条例第139条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第23条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(13)の①、②及び④を参照すること。
② 基準等条例第139条第3項は、指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供に関して、次のアからウまでのものについては、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、ウの費用の具体的な範囲については、国において別途通知するところによるものである。
ア 利用者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に要する費用
イ おむつ代
ウ 前2号に掲げるもののほか、指定地域密着型特定施設入居者生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの
(5) 指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供の取扱方針
① 基準等条例第140条第4項及び第5項は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
ア 緊急やむを得ない場合とは、身体的拘束廃止委員会が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。
(ア) 利用者又は他の利用者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。
(イ) 身体的拘束等を行う以外に当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。
(ウ) 身体的拘束等が一時的なものであること。
イ 身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア) 身体的拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
(イ) 当該身体的拘束等が必要な理由及びその態様、時間、その他必要な事項について利用者又はその家族に対して説明した上で、文書により利用者の同意を得ること。
(ウ) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びにアの緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。
ウ 身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体的拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。
なお、基準等条例第150条第2項の規定に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
② 基準等条例第140条第6項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下、この(5)において「身体的拘束適正化検討委員会」という。)とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の身体的拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。
なお、身体的拘束適正化検討委員会は、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。身体的拘束適正化検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。また、身体的拘束適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等が考えられる。
また、身体的拘束適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
指定地域密着型特定施設が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
ア 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
イ 介護職員その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ウ 身体的拘束等の適正化のための委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
エ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
カ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
③ 指定地域密着型特定施設が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
イ 身体的拘束適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ウ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
エ 施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
オ 身体的拘束等の発生時の対応に関する基本方針
カ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
キ その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
④ 介護職員その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定地域密着型特定施設における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定地域密着型特定施設が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。
(6) 地域密着型特定施設サービス計画の作成
基準等条例第141条は、地域密着型特定施設サービス計画の作成及び変更の留意点及び方法について定めたものであるが、利用者に対するサービスが総合的に提供されるよう、当該計画は、介護保険給付の対象とならない介護サービスに関する事項をも含めたものとする。なお、当該計画の作成及び実施に当たっては、利用者の希望を十分勘案するものとする。
サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、計画作成担当者は、当該計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で文書によって利用者の同意を得なければならず、また、当該計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した特定施設サービス計画は、基準等条例第150条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
地域密着型特定施設入居者生活介護事業所において短期利用地域密着型特定施設入居者生活介護費を算定する場合で、居宅サービス計画に基づきサービスを提供している地域密着型特定施設入居者生活介護事業者については、第3のその4の4の(9)の④を準用する。この場合において、「小規模多機能型居宅介護計画」とあるのは、「地域密着型特定施設サービス計画」とする。
(7) 介護
① 基準等条例第142条の規定による介護サービスの提供に当たっては、当該指定地域密着型特定施設においてその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとする。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格を十分に配慮して実施するものとする。
② 基準等条例第142条第2項の規定による入浴の実施に当たっては、自ら入浴が困難な利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、健康上の理由等で入浴の困難な利用者については、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
③ 基準等条例第142条第3項の規定による排せつの介助に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
④ 基準等条例第142条第4項は、地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は、入居者の心身の状況や要望に応じて、1日の生活の流れに沿って、食事、離床、着替え、整容などの日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。
(8) 相談及び援助
基準等条例第145条の規定による相談及び援助については、常時必要な相談及び社会生活に必要な支援を行い得る体制をとることにより、積極的に入居者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。なお、社会生活に必要な支援とは、入居者自らの趣味又は嗜好に応じた生きがい活動、各種の公共サービス及び必要とする行政機関に対する手続等に関する情報提供又は相談である。
(9) 利用者の家族との連携等
基準等条例第146条は、指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は、利用者の生活及び健康の状況並びにサービスの提供状況を家族に定期的に報告する等常に利用者と家族の連携を図るとともに、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。
(10) 運営規程
基準等条例第147条は、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第10号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定地域密着型特定施設ごとに義務付けたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 指定地域密着型特定施設入居者生活介護の内容(第4号)
「指定地域密着型特定施設入居者生活介護の内容」については、入浴の介護の1週間における回数等のサービスの内容を指すものであること。
② 非常災害対策(第8号)
基準等条例第147条第8号は、指定地域密着型通所介護に係る第61条の12第9号の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(5)の⑥を参照すること。
③ 前各号に掲げるもののほか、運営に関する重要事項(第10号)
利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続について定めておくことが望ましい。
(11) 勤務体制の確保等
基準等条例第148条は、利用者に対する適切な指定地域密着型特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
① 地域密着型特定施設従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係、計画作成担当者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。
② 基準等条例第148条第2項の規定により、指定地域密着型特定施設入居者生活介護に係る業務の全部又は一部を他の事業者(以下「受託者」という。)に行わせる指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者(以下「委託者」という。)は、当該受託者に対する当該業務の管理及び指揮命令の確実な実施を確保するため、当該委託契約において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。この場合において、委託者は受託者に委託した業務の全部又は一部を再委託させてはならない。なお、給食、警備等の指定地域密着型特定施設入居者生活介護に含まれない業務については、この限りでない。
ア 当該委託の範囲
イ 当該委託に係る業務(以下「委託業務」という。)の実施に当たり遵守すべき条件
ウ 受託者の従業者により当該委託業務が基準等条例第7章第4節の運営基準に従って適切に行われていることを委託者が定期的に確認する旨
エ 委託者が当該委託業務に関し受託者に対し指示を行い得る旨
オ 委託者が当該委託業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるようこの②のエの指示を行った場合において、当該措置が講じられたことを委託者が確認する旨
カ 受託者が実施した当該委託業務により入居者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在
キ その他当該委託業務の適切な実施を確保するために必要な事項
③ 指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は②のウ及びオの確認の結果の記録を作成しなければならないこと。
④ 指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者が行う②のエの指示は、文書により行わなければならないこと。
⑤ 指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は、基準等条例第150条第2項の規定に基づき、②のウ及びオの確認の結果の記録を5年間保存しなければならないこと。
⑥ 基準等条例第148条第4項の規定は、地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の13第3項と基本的に同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(6)の③を参照すること。
⑦ 基準等条例第148条第5項の規定は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第34条第5項と基本的に同趣旨であるため、第3のその1の4の(22)の⑥を参照すること。
(12) 業務継続計画の策定等
基準等条例第151条の規定により指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業について準用される基準等条例第34条の2の規定については、認知症対応型共同生活介護と同様であるので、第3のその5の4の(12)を参照すること。
(13) 協力医療機関等
① 基準等条例第149条第1項及び第2項は、指定認知症対応型共同生活介護に係る基準等条例第127条第1項及び第2項と同趣旨であるので、第3のその5の4の(10)の①を参照すること。
② 指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。
(14) 衛生管理等
基準等条例第151条の規定により指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業について準用される基準等条例第61条の16の規定については、認知症対応型共同生活介護と同様であるので、第3のその5の4の(13)を参照すること。
(15) 虐待の防止
基準等条例第151条の規定により指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業について準用される基準等条例第42条の2の規定については、認知症対応型共同生活介護と同様であるので、第3のその5の4の(14)を参照すること。
(16) 記録の整備
基準等条例第150条第2項は、指定地域密着型特定施設入居者生活介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、5年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、同項第1号から第3号まで及び第5号から第7号までの記録については、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立を含む。)により一連のサービス提供が終了した日、同項第4号の記録については、基準等条例第148条第3項に規定する指定地域密着型特定施設入居者生活介護に係る業務の全部又は一部を委託により他の事業者に行わせる場合の当該事業者の業務の実施状況について確認した日、同項第8号の記録については、基準等条例第61条の17第1項の運営推進会議を開催し、基準等条例第61条の17第2項に規定する報告、評価、要望、助言等の記録を公表した日とする。
(17) 準用
基準等条例第151条の規定により、基準等条例第14条、第15条、第24条、第30条、第34条の2、第36条から第40条まで、第42条から第43条まで、第61条の11、第61条の15、第61条の16、第61条の17第1項から第4項まで及び第101条の規定は、指定地域密着型特定施設入居者生活介護の事業に準用されるものであるため、第3のその1の4の(5)、(6)、(14)、(18)、(25)から(28)まで、(30)及び(32)、第3のその2の2の3の(4)、(8)及び(10)の①から④まで並びに第3のその4の4の(12)を参照すること。この場合において、準用される基準等条例第61条の17第1項から第4項までの規定について、運営推進会議の複数の事業所の合同開催については、合同で開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこととすること。
その7 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
1 基本方針
(1) 指定地域密着型介護老人福祉施設は、地域密着型施設サービス計画に基づき、可能な限り、居宅における生活への復帰を念頭に置いて、入浴、排せつ、食事等の介護、相談及び援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものであり、常にその運営の向上に努めなければならないこと。
(2) 指定地域密着型介護老人福祉施設の形態は、次のようなものが考えられる。
ア 単独の小規模の介護老人福祉施設
イ 本体施設のあるサテライト型居住施設
ウ 居宅サービス事業所(通所介護事業所、短期入所生活介護事業所等)や地域密着型サービス事業所(地域密着型通所介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所等)と併設された小規模の介護老人福祉施設
これらの形態を組み合わせると、本体施設+指定地域密着型介護老人福祉施設(サテライト型居住施設)+併設事業所といった事業形態も可能である。
(3) サテライト型居住施設とは、本体施設と密接な連携を確保しつつ、本体施設とは別の場所で運営される指定地域密着型介護老人福祉施設をいう。また、本体施設とは、サテライト型居住施設と同じ法人により設置され、当該施設に対する支援機能を有する指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院又は病院若しくは診療所をいう。
また、サテライト型居住施設を設置する場合、新潟県が介護保険事業支援計画において定める必要利用定員総数(指定地域密着型介護老人福祉施設である本体施設にあっては、本市が介護保険事業計画において定める必要利用定員総数)の範囲内であれば、本体施設の定員を減らす必要はない。ただし、新潟県では、同計画の中で、介護老人福祉施設を始めとする介護保険施設の個室・ユニット化の整備目標を定めていることを踏まえ、サテライト型居住施設の仕組みを活用しながら、本体施設を改修するなど、ユニット型施設の整備割合が高まっていくようにする取組が求められる。
(4) 運営に関する基準に従って施設の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消された直後に再度当該施設から指定地域密着型介護老人福祉施設について指定の申請がなされた場合には、当該施設が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が十分に確認されない限り指定を行わないものとすること。
2 人員に関する基準(基準等条例第153条)
(1) 医師(基準等条例第153条第4項)
サテライト型居住施設の医師については、本体施設の医師が入所者全員の病状等を把握し施設療養全体の管理に責任を持つ場合であって、本体施設の入所者又は入院患者及びサテライト型居住施設の入所者の処遇が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。
(2) 生活相談員(基準等条例第153条第5項及び第8項)
① 生活相談員については、原則として常勤の者であること。ただし、1人を超えて配置されている生活相談員が、時間帯を明確に区分した上で当該指定地域密着型介護老人福祉施設を運営する法人内の他の職務に従事する場合にあっては、この限りでない。
② 生活相談員の資格については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準第5条第2項によること。
サテライト型居住施設(本体施設が指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人保健施設の場合に限る。)の生活相談員については、常勤換算方法で1以上の基準を満たしていれば非常勤の者であっても差し支えないものとする。また、本体施設(指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人保健施設に限る。)の生活相談員又は支援相談員によるサービス提供が、本体施設及びサテライト型居住施設の入所者に適切に行われると認められるときは、サテライト型居住施設の生活相談員を置かないことができる。
(3) 看護職員(基準等条例第153条第7項)
サテライト型居住施設の看護職員については、常勤換算方法で1以上の基準を満たしていれば非常勤の者であっても差し支えないものとする。
(4) 栄養士又は管理栄養士(基準等条例第153条第8項)
基準等条例第153条第1項ただし書に規定する「他の社会福祉施設等の栄養士又は管理栄養士との連携を図ることにより当該指定地域密着型介護老人福祉施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないとき」とは、隣接の他の社会福祉施設や病院等の栄養士又は管理栄養士との兼務や地域の栄養指導員(健康増進法(平成14年法律第103号)第19条に規定する栄養指導員をいう。)との連携を図ることにより、適切な栄養管理が行われている場合であること。
また、サテライト型居住施設の栄養士又は管理栄養士については、本体施設(指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院又は病床数100以上の病院に限る。)の栄養士又は管理栄養士によるサービス提供が、本体施設の入所者又は入院患者及びサテライト型居住施設の入所者に適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。
(5) 機能訓練指導員
基準等条例第153条第9項の「訓練を行う能力を有すると認められる者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。ただし、入所者の日常生活やレクリエーション、行事等を通じて行う機能訓練指導については、当該施設の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えないこと。
また、サテライト型居住施設の機能訓練指導員については、本体施設(指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人保健施設に限る。)の機能訓練指導員又は理学療法士若しくは作業療法士によるサービス提供が、本体施設及びサテライト型居住施設の入所者に適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。(基準等条例第153条第8項)
(6) 介護支援専門員
介護支援専門員については、入所者の処遇に支障がない場合は、当該指定地域密着型介護老人福祉施設の他の職務に従事することができるものとする。この場合、兼務を行う当該介護支援専門員の配置により、介護支援専門員の配置基準を満たすこととなると同時に、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上も、当該介護支援専門員の勤務時間の全体を当該他の職務に係る勤務時間として算入することができるものとすること。
なお、居宅介護支援事業者の介護支援専門員との兼務は認められないものである。ただし、増員に係る非常勤の介護支援専門員については、この限りでない。
また、サテライト型居住施設の介護支援専門員については、本体施設(指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院又は病院(指定介護療養型医療施設に限る。)に限る。)の介護支援専門員によるサービス提供が、本体施設の入所者又は入院患者及びサテライト型居住施設の入所者に適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。(基準等条例第153条第8項)
(7) 指定地域密着型介護老人福祉施設に指定短期入所生活介護事業所、指定通所介護事業所、指定地域密着型通所介護事業所、併設型指定認知症対応型通所介護事業所、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所等が併設される場合については、処遇等が適切に行われる場合に限り、それぞれ次のとおり人員基準の緩和を認めている。
① 指定短期入所生活介護事業所又は指定介護予防短期入所生活介護事業所に置かないことができる人員
ア 医師
イ 生活相談員
ウ 栄養士
エ 機能訓練指導員
② 指定通所介護事業所又は指定地域密着型通所介護事業所に置かないことができる人員
ア 生活相談員
イ 機能訓練指導員
③ 指定認知症対応型通所介護事業所又は指定介護予防認知症対応型通所介護事業所に置かないことができる人員
ア 生活相談員
イ 機能訓練指導員
④ 指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所又は指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業所と併設する指定地域密着型介護老人福祉施設に置かないことができる人員
ア 介護支援専門員
(8) 指定地域密着型介護老人福祉施設には、居宅サービス事業所や他の地域密着型サービス事業所を併設することができるが、指定短期入所生活介護事業所等を併設する場合は、施設全体が地域密着型サービスの趣旨に反して過大なものとならないよう、併設する指定短期入所生活介護事業所等の入所定員は、当該指定地域密着型介護老人福祉施設の入所定員を上限とする。
なお、指定地域密着型介護老人福祉施設に指定通所介護事業所、指定地域密着型通所介護事業所、指定小規模多機能型居宅介護事業所等を併設する場合は、特に定員の上限はない。
(9) 平成18年4月1日に現に併設する指定短期入所生活介護事業所等の定員が指定地域密着型介護老人福祉施設の定員を超えているもの(建築中のものを含む。)については、第153条第14項の規定は適用しない。この場合において、平成18年4月1日に現に基本設計が終了している事業所又はこれに準ずると認められるものについても、同日に現に「建築中のもの」として取り扱って差し支えない。なお、「これに準ずると認められるもの」とは、平成18年4月1日に現に指定短期入所生活介護事業所等の事業者が確定しており、かつ、当該事業者が当該事業の用に供する用地を確保しているものであって、平成18年度中に確実の建物の着工が見込まれる程度に具体的な構想に至っていると市長が認めるものをいうものとする。
(10) 基準等条例第153条第16項の規定は、小規模多機能型居宅介護に係る基準等条例第84条第6項の規定と同趣旨であるため、第3のその4の2の(1)の②のクを参照すること。
(11) サテライト型居住施設には、医師又は介護支援専門員(以下「医師等」という。)を置かないことができる場合があるが、その場合には、本体施設の入所者とサテライト型居住施設の入所者の合計数を基礎として本体施設に置くべき医師等の人員を算出しなければならない。
3 設備に関する基準(基準等条例第154条)
(1) 便所等の面積又は数の定めのない設備については、それぞれの設備の持つ機能を十分に発揮し得る適当な広さ又は数を確保するよう配慮するものとする。
(2) 基準等条例第154条第1項第8号は、指定地域密着型介護老人福祉施設にあっては入所者や従業者が少数であることから、廊下幅の一律の規制を緩和したものである。
ここでいう「廊下の一部の幅を拡張すること等により、入所者、従業者等の円滑な往来に支障が生じないと認められるとき」とは、アルコーブを設けることなどにより、入所者、従業者等がすれ違う際にも支障が生じない場合を想定している。
また、「これによらないことができる。」とは、建築基準法等他の法令の基準を満たす範囲内である必要がある。
(3) 基準等条例第154条第1項第9号に定める「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」は、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の5第1項の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の2の(3)を参照すること。
(4) 個人情報が記載されている書類については、施錠が可能なロッカー等を使用し適切に管理すること。
4 運営に関する基準
(1) 入退所
① 基準等条例第156条第1項は、指定地域密着型介護老人福祉施設は、身体上、精神上の著しい障害のために居宅で生活を継続することが、困難な要介護者を対象とするものであることを規定したものである。
② 基準等条例第156条第2項は、入所を待っている申込者がいる場合には、入所して指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を受ける必要性が高いと認められる者を優先的に入所させるよう努めなければならないことを規定したものである。また、その際の勘案事項として、指定地域密着型介護老人福祉施設が常時の介護を要する者のうち居宅においてこれを受けることが困難な者を対象としていることに鑑み、介護の必要の程度及び家族の状況等を挙げているものである。なお、こうした優先的な入所の取扱いについては、透明性及び公平性が求められることに留意すべきものである。
③ 基準等条例第156条第3項は、基準等条例第152条(基本方針)を踏まえ、入所者の家族等に対し、居宅における生活への復帰が見込まれる場合には、居宅での生活へ移行する必要性があること、できるだけ面会に来ることが望ましいこと等の説明を行うとともに、入所者に対して適切な指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護が提供されるようにするため、入所者の心身の状況、生活歴、病歴、家族の状況等の把握に努めなければならないことを規定したものである。
また、質の高い指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の提供に資することや入所者の生活の継続性を重視するという観点から、指定居宅サービス等の利用状況等の把握に努めなければならないとしたものである。
④ 基準等条例第156条第4項及び第5項は、指定地域密着型介護老人福祉施設が要介護者のうち、入所して介護を受けることが必要な者を対象としていることに鑑み、退所して居宅において日常生活を営むことができるかどうかについて定期的に検討しなければならないこととしたものである。
なお、前記の検討は、生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等により行うこと。
⑤ 基準等条例第156条第6項は、同条第4項の検討の結果、居宅での生活が可能と判断される入所者に対し、退所に際しての本人又は家族等に対する家庭での介護方法等に関する適切な指導、居宅介護支援事業者等に対する情報提供等の必要な援助をすることを規定したものである。なお、安易に施設側の理由により退所を促すことのないよう留意するものとする。
また、退所が可能になった入所者の退所を円滑に行うために、介護支援専門員及び生活相談員が中心となって、退所後の主治の医師及び居宅介護支援事業者等並びに本市と十分連携を図ること。
(2) サービスの提供の記録
基準等条例第157条第2項は、サービスの提供日、提供した具体的なサービスの内容、入所者の心身の状況その他必要な事項を記録しなければならないこととしたものである。
なお、基準等条例第178条第2項に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
(3) 利用料等の受領
① 基準等条例第158条第1項、第2項及び第5項の規定は、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る第23条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3のその1の4の(13)の①、②及び④を参照すること。ただし、第158条第3項第1号から第4号までの利用料に係る同意については、文書によって得なければならないこととしたものである。
② 基準等条例第158条第3項は、指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の提供に関して、次のアからカまでのものについては、基準等条例第158条第1項及び第2項の利用料のほかに入所者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、アからエまでの費用については、指針及び厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等(平成12年厚生省告示第123号)の定めるところによるものとし、カの費用の具体的な範囲については、国において別に通知するところによるものとする。
ア 食事の提供に要する費用(法第51条の3第1項の規定により特定入所者介護サービス費が入所者に支給された場合は、同条第2項第1号に規定する食費の基準費用額(同条第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費が入所者に代わり当該指定地域密着型介護老人福祉施設に支払われた場合は、同条第2項第1号に規定する食費の負担限度額)を限度とする。)
イ 居住に要する費用(法第51条の3第1項の規定により特定入所者介護サービス費が入所者に支給された場合は、同条第2項第2号に規定する居住費の基準費用額(同条第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費が入所者に代わり当該指定地域密着型介護老人福祉施設に支払われた場合は、同条第2項第2号に規定する居住費の負担限度額)を限度とする。)
ウ 厚生労働大臣の定める基準に基づき入所者が選定する特別な居室の提供を行ったことに伴い必要となる費用
エ 厚生労働大臣の定める基準に基づき入所者が選定する特別な食事の提供を行ったことに伴い必要となる費用
オ 理美容代
カ アからオまでに掲げるもののほか、指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入所者に負担させることが適当と認められるもの
(4) 指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の取扱方針
① 基準等条例第159条第3項に規定する処遇上必要な事項とは、地域密着型施設サービス計画の目標及び内容並びに行事及び日課等も含むものである。
② 基準等条例第159条第4項及び第5項は、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
ア 緊急やむを得ない場合とは、身体的拘束廃止委員会が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。
(ア) 利用者又は他の利用者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。
(イ) 身体的拘束等を行う以外に当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。
(ウ) 身体的拘束等が一時的なものであること。
イ 身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア) 身体的拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
(イ) 当該身体的拘束等が必要な理由及びその態様、時間、その他必要な事項について利用者又はその家族に対して説明した上で、文書により利用者の同意を得ること。
(ウ) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びにアの緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。
ウ 身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体的拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。
なお、基準等条例第178条第2項の規定に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
③ 基準等条例第159条第6項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下、この(4)において「身体的拘束適正化検討委員会」という。)とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の身体的拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。
なお、身体的拘束適正化検討委員会は、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。身体的拘束適正化検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。また、身体的拘束適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等が考えられる。
また、身体的拘束適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
指定地域密着型介護老人福祉施設が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
ア 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
イ 介護職員その他の従業員は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ウ 身体的拘束適正化検討委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
エ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
カ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
④ 指定地域密着型介護老人福祉施設が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
イ 身体的拘束適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ウ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
エ 施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
オ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
カ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
キ その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
⑤ 介護職員その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定地域密着型介護老人福祉施設における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定地域密着型介護老人福祉施設が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。
(5) 地域密着型施設サービス計画の作成(基準等条例第160条)
基準等条例第160条は、入所者の課題分析、サービス担当者会議の開催、地域密着型施設サービス計画の作成、地域密着型施設サービス計画の実施状況の把握など、指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護が地域密着型施設サービス計画に基づいて適切に行われるよう、地域密着型施設サービス計画に係る一連の業務のあり方及び当該業務を行う介護支援専門員(以下「計画担当介護支援専門員」という。)の責務を明らかにしたものである。なお、地域密着型施設サービス計画の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを入所者に強制することとならないように留意するものとする。
① 計画担当介護支援専門員による地域密着型施設サービス計画の作成(第1項)
指定地域密着型介護老人福祉施設の管理者は、地域密着型施設サービス計画の作成に関する業務の主要な過程を計画担当介護支援専門員に担当させることとしたものである。
② 総合的な地域密着型施設サービス計画の作成(第2項)
地域密着型施設サービス計画は、入所者の日常生活全般を支援する観点に立って作成されることが重要である。このため、地域密着型施設サービス計画の作成又は変更に当たっては、入所者の希望や課題分析の結果に基づき、介護給付等対象サービス以外の、当該地域の住民による入所者の話し相手、会食などの自発的な活動によるサービス等も含めて地域密着型施設サービス計画に位置付けることにより、総合的な計画となるよう努めなければならない。
③ 課題分析の実施(第3項)
地域密着型施設サービス計画は、個々の入所者の特性に応じて作成されることが重要である。このため計画担当介護支援専門員は、地域密着型施設サービス計画の作成に先立ち入所者の課題分析を行わなければならない。
課題分析とは、入所者の有する日常生活上の能力や入所者を取り巻く環境等の評価を通じて入所者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、入所者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することであり、入所者の課題を客観的に抽出するための手法として合理的なものと認められる適切な方法を用いなければならないものである。
④ 課題分析における留意点(第4項)
計画担当介護支援専門員は、解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、必ず入所者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、入所者やその家族との間の信頼関係、協働関係の構築が重要であり、計画担当介護支援専門員は、面接の趣旨を入所者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。なお、このため、計画担当介護支援専門員は面接技法等の研鑽に努めることが重要である。
⑤ 地域密着型施設サービス計画原案の作成(第5項)
計画担当介護支援専門員は、地域密着型施設サービス計画が入所者の生活の質に直接影響する重要なものであることを十分に認識し、地域密着型施設サービス計画原案を作成しなければならない。したがって、地域密着型施設サービス計画原案は、入所者の希望及び入所者についてのアセスメントの結果による専門的見地に基づき、入所者の家族の希望を勘案した上で、実現可能なものとする必要がある。
また、当該地域密着型施設サービス計画原案には、入所者及びその家族の生活に対する意向及び総合的な援助の方針並びに生活全般の解決すべき課題に加え、各種サービス(機能訓練、看護、介護、食事等)に係る目標を具体的に設定し記載する必要がある。さらに提供される指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について、その長期的な目標及びそれを達成するための短期的な目標並びにそれらの達成時期等を明確に盛り込み、当該達成時期には地域密着型施設サービス計画及び提供したサービスの評価を行い得るようにすることが重要である。
なお、ここでいう指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の内容には、当該指定地域密着型介護老人福祉施設の行事及び日課等も含むものである。
地域密着型施設サービス計画の作成に当たっては、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考にしつつ、本人の意思を尊重した医療・ケアが実施できるよう、多職種が連携し、本人及びその家族と必要な情報の共有等に努めること。
⑥ サービス担当者会議等による専門的意見の聴取(第6項)
計画担当介護支援専門員は、効果的かつ実現可能な質の高い地域密着型施設サービス計画とするため、指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の目標を達成するために、具体的なサービスの内容として何ができるかなどについて、地域密着型施設計画サービス原案に位置付けた指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の担当者からなるサービス担当者会議の開催又は当該担当者への照会等により、専門的な見地からの意見を求め調整を図ることが重要である。なお、計画担当介護支援専門員は、入所者の状態を分析し、複数職種間で直接に意見調整を行う必要の有無について十分見極める必要があるものである。
サービス担当者会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この⑥において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、同項で定める他の担当者とは、医師、生活相談員、介護職員、看護職員、機能訓練指導員及び生活状況等に関係する者を指すものである。
⑦ 地域密着型施設サービス計画原案の説明及び同意(第7項)
地域密着型施設サービス計画は、入所者の希望を尊重して作成されなければならない。このため、計画担当介護支援専門員に、地域密着型施設サービス計画の作成に当たっては、これに位置付けるサービスの内容を説明した上で文書によって入所者の同意を得ることを義務付けることにより、サービスの内容への入所者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。
なお、当該説明及び同意を要する地域密着型施設サービス計画の原案とは、いわゆる施設サービス計画書の第1表及び第2表(「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)に示す標準様式を指す。)に相当するものを指すものである。
また、地域密着型施設サービス計画の原案について、入所者に対して説明し、同意を得ることを義務付けているが、必要に応じて入所者の家族に対しても説明を行い同意を得ることが望ましいことに留意すること。
⑧ 地域密着型施設サービス計画の交付(第8項)
地域密着型施設サービス計画を作成した際には、遅滞なく入所者に交付しなければならない。
なお、交付した地域密着型施設サービス計画は、基準等条例第178条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
⑨ 地域密着型施設サービス計画の実施状況等の把握及び評価等(第9項)
計画担当介護支援専門員は、入所者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であり、地域密着型施設サービス計画の作成後においても、入所者及びその家族並びに他のサービス担当者と継続して連絡調整を行い、地域密着型施設サービス計画の実施状況の把握(入所者についての継続的なアセスメントを含む。以下「モニタリング」という。)を行い、入所者の解決すべき課題の変化が認められる場合等必要に応じて地域密着型施設サービス計画の変更を行うものとする。
なお、入所者の解決すべき課題の変化は、入所者に直接サービスを提供する他のサービス担当者により把握されることも多いことから、計画担当介護支援専門員は、他のサービス担当者と緊密な連携を図り、入所者の解決すべき課題の変化が認められる場合には、円滑に連絡が行われる体制の整備に努めなければならない。
⑩ モニタリングの実施(第10項)
地域密着型施設サービス計画の作成後のモニタリングについては、定期的に入所者と面接して行う必要がある。また、モニタリングの結果についても定期的に記録することが必要である。
「定期的に」の頻度については、入所者の心身の状況等に応じて適切に判断するものとする。
また、特段の事情とは、入所者の事情により、入所者に面接することができない場合を主として指すものであり、計画担当介護支援専門員に起因する事情は含まれない。
なお、当該特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。
⑪ 地域密着型施設サービス計画の変更(第12項)
計画担当介護支援専門員は、地域密着型施設サービス計画を変更する際には、原則として、基準等条例第160条第2項から第8項までに規定された地域密着型施設サービス計画作成に当たっての一連の業務を行うことが必要である。
なお、入所者の希望による軽微な変更を行う場合には、この必要はないものとする。ただし、この場合においても、計画担当介護支援専門員が、入所者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であることは、同条第9項(⑨地域密着型施設サービス計画の実施状況等の把握及び評価等)に規定したとおりである。
(6) 介護(基準等条例第161条)
① 介護サービスの提供に当たっては、入所者の人格に十分配慮し、地域密着型施設サービス計画によるサービスの目標等を念頭において行うことが基本であり、自立している機能の低下が生じないようにするとともに残存機能の維持向上が図られるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとすること。
② 入浴は、入所者の心身の状況や自立支援を踏まえて、適切な方法により実施するものとする。
なお、入浴の実施に当たっては、事前に健康管理を行い、入浴することが困難な場合は、清しきを実施するなど入所者の清潔保持に努めるものとする。
③ 排せつの介護は、入所者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
④ 入所者がおむつを使用せざるを得ない場合には、その心身及び活動の状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、入所者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。
⑤ 「指定地域密着型介護老人福祉施設は、褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない。」とは、施設において褥瘡の予防のための体制を整備するとともに、介護職員等が褥瘡に関する基礎的知識を有し、日常的なケアにおいて配慮することにより、褥瘡発生の予防効果を向上させることを想定している。例えば、次のようなことが考えられる。
ア 当該施設における褥瘡のハイリスク者(日常生活自立度が低い入所者等)に対し、褥瘡予防のための計画の作成、実践並びに評価をする。
イ 当該施設において、専任の施設内褥瘡予防対策を担当する者(看護師が望ましい。)を決めておく。
ウ 医師、看護職員、介護職員、管理栄養士等からなる褥瘡対策チームを設置する。
エ 当該施設における褥瘡対策のための指針を整備する。
オ 介護職員等に対し、褥瘡対策に関する施設内職員継続教育を実施する。
また、施設外の専門家による相談、指導を積極的に活用することが望ましい。
⑥ 指定地域密着型介護老人福祉施設は、入所者にとって生活の場であることから、通常の1日の生活の流れに沿って、離床、着替え、整容など入所者の心身の状況に応じた日常生活上の世話を適切に行うものとする。
⑦ 第7項の規定は、常時1人以上の介護職員を従事させればよいこととしたものであり、非常勤の介護職員でも差し支えない。
(7) 食事(基準等条例第162条)
① 食事の提供について
入所者ごとの栄養状態を定期的に把握し、個々の入所者の栄養状態に応じた栄養管理を行うとともに、摂食・嚥下機能その他の入所者の身体の状況や、食形態、嗜好等にも配慮した適切な栄養量及び内容とすること。
また、入所者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めなければならないこと。
② 調理について
調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
また、病弱者に対する献立については、必要に応じ、医師の指導を受けること。
③ 適時の食事の提供について
食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
④ 食事の提供に関する業務の委託について
食事の提供に関する業務は指定地域密着型介護老人福祉施設自らが行うことが望ましいが、栄養管理、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理について施設自らが行う等、当該施設の管理者が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事サービスの質が確保される場合には、当該施設の最終的責任の下で第三者に委託することができること。
⑤ 居室関係部門と食事関係部門との連携について
食事提供については、入所者の嚥下や咀嚼の状況、食欲など心身の状態等を当該入所者の食事に的確に反映させるために、居室関係部門と食事関係部門との連絡が十分とられていることが必要であること。
⑥ 栄養食事相談
入所者に対しては適切な栄養食事相談を行う必要があること。
⑦ 食事内容の検討について
食事内容については、当該施設の医師又は栄養士若しくは管理栄養士を含む会議において検討が加えられなければならないこと。
(8) 相談及び援助
基準等条例第163条に定める相談及び援助は、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的に入所者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。
(9) 社会生活上の便宜の提供等
① 基準等条例第164条第1項は指定地域密着型介護老人福祉施設が画一的なサービスを提供するのではなく、入所者が自らの趣味又は嗜好に応じた活動を通じて充実した日常生活を送ることができるよう努めることとしたものである。
② 基準等条例第164条第2項は、指定地域密着型介護老人福祉施設は、郵便、証明書等の交付申請等、入所者が必要とする手続等について、入所者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭に係るものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。
③ 基準等条例第164条第3項は、指定地域密着型介護老人福祉施設は、入所者の家族に対し、当該施設の会報の送付、当該施設が実施する行事への参加の呼びかけ等によって入所者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。また、入所者と家族の面会の場所や時間等についても、入所者やその家族の利便に配慮したものとするよう努めなければならない。
④ 基準等条例第164条第4項は、指定地域密着型介護老人福祉施設は、入所者の生活を当該施設内で完結させてしまうことのないよう、入所者の希望や心身の状況を踏まえながら、買物や外食、図書館や公民館等の公共施設の利用、地域の行事への参加、友人宅の訪問、散歩など、入所者に多様な外出の機会を確保するよう努めなければならないこととするものである。
(10) 機能訓練
基準等条例第165条に定める機能訓練は、機能訓練室における機能訓練に限るものではなく、日常生活の中での機能訓練やレクリエーション、行事の実施等を通じた機能訓練を含むものであり、これらについても十分に配慮しなければならない。
(11) 栄養管理
基準等条例第165条の2は、指定地域密着型介護老人福祉施設の入所者に対する栄養管理について、令和3年度より栄養マネジメント加算を廃止し、栄養ケア・マネジメントを基本サービスとして行うことを踏まえ、管理栄養士が、入所者の栄養状態に応じて、計画的に行うべきことを定めたものである。ただし、栄養士のみが配置されている施設や栄養士又は管理栄養士を置かないことができる施設については、併設施設や外部の管理栄養士の協力により行うこととする。
栄養管理について、以下の手順により行うこととする。
① 入所者の栄養状態を施設入所時に把握し、医師、管理栄養士、歯科医師、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、入所者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成すること。栄養ケア計画の作成に当たっては、地域密着型施設サービス計画との整合性を図ること。なお、栄養ケア計画に相当する内容を地域密着型施設サービス計画の中に記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができるものとすること。
② 入所者ごとの栄養ケア計画に従い、栄養管理を行うとともに、入所者の栄養状態を定期的に記録すること。
③ 入所者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直すこと。
④ 栄養ケア・マネジメントの実務等については、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和3年3月16日老認発0316第3号、老老発0316第2号)第4において示しているので、参考とすること。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第8項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
(12) 口腔衛生の管理
基準等条例第165条の3は、指定地域密着型介護老人福祉施設の入所者に対する口腔衛生の管理について、令和3年度より口腔衛生管理体制加算を廃止し、基本サービスとして行うことを踏まえ、入所者の口腔の健康状態に応じて、以下の手順により計画的に行うべきことを定めたものである。
① 当該施設において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該施設の介護職員に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を年2回以上行うこと。
② ①の技術的助言及び指導に基づき、以下の事項を記載した、入所者の口腔衛生の管理体制に係る計画を作成するとともに、必要に応じて、定期的に当該計画を見直すこと。なお、口腔衛生の管理体制に係る計画に相当する内容を地域密着型施設サービス計画の中に記載する場合はその記載をもって口腔衛生の管理体制に係る計画の作成に代えることができるものとすること。
ア 助言を行った歯科医師
イ 歯科医師からの助言の要点
ウ 具体的方策
エ 当該施設における実施目標
オ 留意事項・特記事項
③ 医療保険において歯科訪問診療料が算定された日に、介護職員に対する口腔清掃等に係る技術的助言及び指導又は(2)の計画に関する技術的助言及び指導を行うに当たっては、歯科訪問診療又は訪問歯科衛生指導の実施時間以外の時間帯に行うこと。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第9項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
(13) 健康管理
基準等条例第166条は、健康管理が、医師及び看護職員の業務であることを明確にしたものである。
(14) 入所者の入院期間中の取扱い(基準等条例第167条)
① 「退院することが明らかに見込まれるとき」に該当するか否かは、入所者の入院先の病院又は診療所の当該主治医に確認するなどの方法により判断すること。
② 「必要に応じて適切な便宜を供与」とは、入所者及びその家族の同意の上での入退院の手続や、その他の個々の状況に応じた便宜を図ることを指すものである。
③ 「やむを得ない事情がある場合」とは、単に当初予定の退院日に満床であることをもってやむを得ない事情として該当するものではなく、例えば、入所者の退院が予定より早まるなどの理由により、ベッドの確保が間に合わない場合等を指すものである。施設側の都合は、基本的には該当しないことに留意すること。なお、前記の例示の場合であっても、再入所が可能なベッドの確保が出来るまでの間、短期入所生活介護の利用を検討するなどにより、入所者の生活に支障を来さないよう努める必要がある。
④ 入所者の入院期間中のベッドは、短期入所生活介護事業等に利用しても差し支えないが、入所者が退院する際に円滑に再入所できるよう、その利用は計画的なものでなければならない。
(15) 緊急時等の対応(基準等条例第167条の2)
基準等条例第167条の2は、入所者の病状の急変等に備えるため、施設に対してあらかじめ配置医師による対応その他の方法による対応方針を定めなければならないことを義務付けるものである。対応方針に定める規定としては、例えば、緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法、曜日や時間帯ごとの医師との連携方法や診察を依頼するタイミング等があげられる。
(16) 管理者による管理(基準等条例第168条)
指定地域密着型介護老人福祉施設の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該指定地域密着型介護老人福祉施設の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該指定地域密着型介護老人福祉施設の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
① 当該指定地域密着型介護老人福祉施設の従業者としての職務に従事する場合
② 当該指定地域密着型介護老人福祉施設と同一敷地内にある他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、特に当該指定地域密着型介護老人福祉施設の管理業務に支障がないと認められる場合
③ 当該指定地域密着型介護老人福祉施設がサテライト型居住施設である場合であって、当該サテライト型居住施設の本体施設の管理者又は従業者としての職務(本体施設が病院又は診療所の場合は、管理者としての職務を除く。)に従事する場合
(17) 計画担当介護支援専門員の責務
基準等条例第169条は、指定地域密着型介護老人福祉施設の計画担当介護支援専門員の責務を定めたものである。
計画担当介護支援専門員は、基準等条例第160条の業務のほか、指定地域密着型介護老人福祉施設が行う業務のうち、基準等条例第156条第3項から第7項まで、第159条第5項、第177条第3項及び第179条において準用する基準等条例第40条第2項に規定される業務を行うものとする。
(18) 運営規程(基準等条例第170条)
基準等条例第170条は、指定地域密着型介護老人福祉施設の適正な運営及び入所者に対する適切な指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第9号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定地域密着型介護老人福祉施設ごとに義務付けたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 入所定員(第3号)
入所定員は、指定地域密着型介護老人福祉施設の事業の専用の居室のベッド数(和室利用の場合は、当該居室の利用人員数)と同数とすること。
② 指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の内容及び利用料その他の費用の額(第4号)
「指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の内容」は、年間行事・レクリエーション及び日課等を含めたサービスの内容を指すものであること。また、「その他の費用の額」は、基準等条例第158条第3項により支払を受けることが認められている費用の額を指すものであること。
③ 施設の利用に当たっての留意事項(第5号)
入所者が指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の提供を受ける際の、入所者側が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること。
④ 非常災害対策(第7号)
基準等条例第170条第7号は、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の12第9号の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(5)の⑥を参照すること。
⑤ 前各号に掲げるもののほか、施設の運営に関する重要事項(第9号)
当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続について定めておくことが望ましい。
(19) 勤務体制の確保等
基準等条例第171条は、入所者に対する適切な指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
① 基準等条例第171条第1項は、指定地域密着型介護老人福祉施設ごとに、原則として月ごとに勤務表(介護職員の勤務体制を2以上で行っている場合は、その勤務体制ごとの勤務表)を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、介護職員及び看護職員等の配置、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。
② 基準等条例第171条第2項は、指定地域密着型介護老人福祉施設は原則として、当該施設の従業者によって指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を提供すべきであるが、調理業務、洗濯等の入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。
③ 基準等条例第171条第3項前段は、当該指定地域密着型介護老人福祉施設の従業者の資質の向上を図るため、具体的な研修計画を策定し、研修機関又は当該指定地域密着型介護老人福祉施設が実施する研修その他その資質の向上のための研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。特に利用者の人権の擁護、高齢者虐待の防止、身体的拘束の廃止、感染症や食中毒の予防とまん延防止、事故発生の防止等のため、従業者に対し定期的に研修の実施その他必要な措置を講じること。
④ 基準等条例第171条第3項後段の規定は、地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の13第3項後段と基本的に同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(6)の③を参照すること。
⑤ 基準等条例第171条第4項の規定は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に係る基準等条例第34条第5項と基本的に同趣旨であるため、第3のその1の4の(22)の⑥を参照すること。
(20) 業務継続計画の策定等
基準等条例第179条の規定により指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の事業について準用される基準等条例第34条の2の規定については、認知症対応型共同生活介護と同様であるので、第3のその5の4の(12)を参照すること。
(21) 衛生管理等
① 基準等条例第173条第1項は、指定地域密着型介護老人福祉施設の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
ア 調理及び配膳に伴う衛生は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等関係法規に準じて行われなければならない。
なお、食事の提供に使用する食器等の消毒も適正に行われなければならないこと。
イ 食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
ウ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、国から別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
エ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
② 基準等条例第173条第2項に規定する感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のアからオまでの取扱いとすること。
ア 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該施設における感染対策委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、栄養士又は管理栄養士、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、入所者の状況など施設の状況に応じ、おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策員会は、運営委員会など施設内の他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、基準等条例第177条第1項第3号に規定する事故発生の防止のための委員会については、関係する職種、取り扱う事項等が感染対策委員会と相互に関係が深いと認められることから、これと一体的に設置・運営することも差し支えない。感染対策担当者は看護師であることが望ましい。
また、施設外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
イ 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針
当該施設における「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、施設内の衛生管理(環境の整備、排泄物の処理、血液・体液の処理等)、日常のケアに係る感染対策(標準的な予防策(例えば、血液・体液・分泌液・排泄物(便)などに触れるとき、傷や創傷皮膚に触れるときどのようにするかなどの取り決め)、手洗いの基本、早期発見のための日常の観察項目)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、本市における施設関係課等の関係機関との連携、医療処置、行政への報告等が想定される。また、発生時における施設内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き」を参照すること。
ウ 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修
介護職員その他の従業者に対する「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該施設における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該施設が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず感染対策研修を実施することが重要である。また、調理や清掃などの業務を委託する場合には、委託を受けて行う者に対しても、施設の指針が周知されるようにする必要がある。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、施設内での研修で差し支えない。
エ 感染症の予防及びまん延の防止のための訓練
平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第11項において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31日までの間は、努力義務とされている。
オ 施設は、入所予定者の感染症に関する事項も含めた健康状態を確認することが必要であるが、その結果感染症や既往であっても、一定の場合を除き、サービス提供を断る正当な理由には該当しないものである。こうした者が入所する場合には、感染対策担当者は、介護職員その他の従業者に対し、当該感染症に関する知識、対応等について周知することが必要である。
(22) 協力病院等
基準等条例第174条第1項の協力病院及び同条第2項の協力歯科医療機関は、指定地域密着型介護老人福祉施設から近距離にあることが望ましい。
(23) 秘密保持等
① 基準等条例第175条第1項は、指定地域密着型介護老人福祉施設の従業者に、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密の保持を義務付けたものである。
② 基準等条例第175条第2項は、指定地域密着型介護老人福祉施設に対して、過去に当該指定地域密着型介護老人福祉施設の従業者であった者が、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務付けたものであり、具体的には、指定地域密着型介護老人福祉施設は、当該指定地域密着型介護老人福祉施設の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものである。
③ 基準等条例第175条第3項は、入所者の退所後の居宅における居宅介護支援計画の作成等に資するために、居宅介護支援事業者等に対して情報提供を行う場合には、あらかじめ、文書により入所者から同意を得る必要があることを規定したものである。
(24) 居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止
① 基準等条例第176条第1項は、居宅介護支援事業者による介護保険施設の紹介が公正中立に行われるよう、指定地域密着型介護老人福祉施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該施設を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。
② 基準等条例第176条第2項は、入所者による退所後の居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、指定地域密着型介護老人福祉施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該施設からの退所者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。
(25) 事故発生の防止及び発生時の対応(基準等条例第177条)
① 事故発生の防止のための指針(第1項第1号)
指定地域密着型介護老人福祉施設が整備する「事故発生の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 施設における介護事故の防止に関する基本的考え方
イ 介護事故の防止のための委員会その他施設内の組織に関する事項
ウ 介護事故の防止のための職員研修に関する基本方針
エ 施設内で発生した介護事故、介護事故には至らなかったが介護事故が発生しそうになった場合(ヒヤリ・ハット事例)及び現状を放置しておくと介護事故に結びつく可能性が高いもの(以下「介護事故等」という。)の報告方法等の介護に係る安全の確保を目的とした改善のための方策に関する基本方針
オ 介護事故等発生時の対応に関する基本方針
カ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
キ その他介護事故等の発生の防止の推進のために必要な基本方針
② 事実の報告及びその分析を通じた改善策の従業者に対する周知徹底(第1項第2号)
指定地域密着型介護老人福祉施設が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、介護事故等について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
ア 介護事故等について報告するための様式を整備すること。
イ 介護職員その他の従業者は、介護事故等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、介護事故等について報告すること。
ウ ③の事故発生の防止のための委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
エ 事例の分析に当たっては、介護事故等の発生時の状況等を分析し、介護事故等の発生原因、結果等をとりまとめ、防止策を検討すること。
オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
カ 防止策を講じた後に、その効果について評価すること。
③ 事故発生の防止のための委員会(第1項第3号)
指定地域密着型介護老人福祉施設における「事故発生の防止のための検討委員会」(以下「事故防止検討委員会」という。)は、介護事故発生の防止及び再発防止のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成し、構成メンバーの責務及び役割分担を明確にすることが必要である。
事故防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、事故防止検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。事故防止検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。
また、事故防止検討委員会に施設外の安全対策の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
④ 事故発生の防止のための従業者に対する研修(第1項第3号)
介護職員その他の従業者に対する事故発生の防止のための研修の内容としては、事故発生防止の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定地域密着型介護老人福祉施設における指針に基づき、安全管理の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定地域密着型介護老人福祉施設が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず事故発生の防止の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。
⑤ 事故発生防止等の措置を適切に実施するための担当者(第1項第4号)
指定地域密着型介護老人福祉施設における事故発生を防止するための体制として、①から④までに掲げる措置を適切に実施するため、専任の担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、事故防止検討委員会の安全対策担当者と同一の従業者が務めることが望ましい。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正基準等条例附則第10項において、6か月間の経過措置を設けており、令和3年9月30日までの間は、努力義務とされている。
⑥ 損害賠償(第4項)
指定地域密着型介護老人福祉施設は、賠償すべき事態となった場合には、速やかに賠償しなければならない。そのため、損害賠償保険に加入しておくか若しくは賠償資力を有することが望ましい。
(26) 虐待の防止
基準等条例第179条の規定により指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の事業について準用される基準等条例第42条の2の規定については、認知症対応型共同生活介護と同様であるので、第3のその5の4の(14)を参照すること。
(27) 記録の整備
地域密着型通所介護の場合と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(13)を参照すること。
(28) 準用
基準等条例第179条の規定により、基準等条例第11条、第12条、第14条、第15条、第24条、第30条、第34条の2、第36条、第38条、第40条、第42条の2、第43条、第61条の11、第61条の15及び第61条の17第1項から第4項までの規定は、指定地域密着型介護老人福祉施設に準用されるものであるため、第3のその1の4の(2)、(3)、(5)、(6)、(14)、(18)、(25)、(28)及び(32)並びに第3のその2の2の3の(4)、(8)及び(10)の①から④までを参照すること。この場合において、準用される基準等条例第61条の17第1項から第4項までの規定について、運営推進会議の複数の事業所の合同開催については、合同で開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこととすること。
5 ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設
(1) 基本方針
基準等条例第181条(基本方針)は、ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設がユニットケアを行うものであることを規定したものである。
その具体的な内容に関しては、基準等条例第184条以下に、サービスの取扱方針、介護、食事など、それぞれについて明らかにしている。
(2) 設備に関する要件(基準等条例第182条)
① ユニットケアを行うためには、入居者の自律的な生活を保障する居室(使い慣れた家具等を持ち込むことのできる個室)と、少人数の家庭的な雰囲気の中で生活できる共同生活室(居宅での居間に相当する部屋)が不可欠であることから、ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設は、施設全体を、こうした居室と共同生活室によって一体的に構成される場所(ユニット)を単位として構成し、運営しなければならない。
② 入居者が、自室のあるユニットを超えて広がりのある日常生活を楽しむことができるよう、他のユニットの入居者と交流したり、多数の入居者が集まったりすることのできる場所を設けることが望ましい。
③ ユニット(第1項第1号)
ユニットは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うというユニットケアの特徴を踏まえたものでなければならない。
④ 居室(第1項第1号ア)
ア 前記①のとおりユニットケアには個室が不可欠なことから、居室の定員は1人とする。ただし、夫婦で居室を利用する場合などサービスの提供上必要と認められる場合は、2人部屋とすることができる。
イ 居室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設けなければならない。
この場合、「当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設け」られる居室とは、次の3つをいう。
(ア) 当該共同生活室に隣接している居室
(イ) 当該共同生活室に隣接してはいないが、(ア)の居室と隣接している居室
(ウ) その他当該共同生活室に近接して一体的に設けられている居室(他の共同生活室のア及びイに該当する居室を除く。)
ウ ユニットの入居定員
ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設は、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するものであることから、1のユニットの入居定員は、おおむね10人以下とすることを原則とする。
ただし、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するのに支障がないと認められる場合には、入居定員が15人までのユニットも認める。
エ 居室の床面積等(経過措置)
ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設では、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うため、入居者は長年使い慣れた箪笥などの家具を持ち込むことを想定しており、居室は次のいずれかに分類される。
(ア) ユニット型個室
床面積は、13.2平方メートル以上(居室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、居室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)とすること。
また、入居者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21.3平方メートル以上とすること。
(イ) ユニット型個室的多床室
令和3年4月1日に現に存するユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設(基本的な設備が完成しているものを含み、令和3年4月1日以降に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)において、ユニットに属さない居室を改修してユニットが造られている場合であり、床面積が、13.2平方メートル以上(居室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、居室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)であるもの。この場合にあっては、入居者同士の視線が遮断され、入居者のプライバシーが十分に確保されていれば、天井と壁との間に一定の隙間が生じていても差し支えない。
壁については、家具等のように可動のもので室内を区分しただけのものは認められず、可動でないものであって、プライバシーの確保のために適切な素材であることが必要である。
居室であるためには、一定程度以上の大きさの窓が必要であることから、多床室を仕切って窓のない居室を設けたとしても個室的多床室としては認められない。
また、居室への入口が、複数の居室で共同であったり、カーテンなどで仕切られているに過ぎないような場合には、十分なプライバシーが確保されているとはいえず、個室的多床室としては認められないものである。
入居者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21.3平方メートル以上とすること。
なお、ユニットに属さない居室を改修してユニットを造る場合に、居室が(ア)の要件を満たしていれば、ユニット型個室に分類される。
⑤ 共同生活室(第1項第1号イ)
ア 共同生活室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの入居者が交流し、共同で日常生活を営むための場所としてふさわしい形状を有するものでなければならない。このためには、次の2つの要件を満たす必要がある。
(ア) 他のユニットの入居者が、当該共同生活室を通過することなく、施設内の他の場所に移動することができるようになっていること。
(イ) 当該ユニットの入居者全員とその介護等を行う従業者が一度に食事をしたり、談話等を楽しんだりすることが可能な備品を備えた上で、当該共同生活室内を車椅子が支障なく通行できる形状が確保されていること。
イ 共同生活室には、要介護者が食事をしたり、談話等を楽しんだりするのに適したテーブル、椅子等の備品を備えなければならない。
また、入居者が、その心身の状況に応じて家事を行うことができるようにする観点から、簡易な流し・調理設備を設けることが望ましい。
⑥ 洗面設備(第1項第1号ウ)
洗面設備は、居室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1か所に集中して設けるのではなく、2か所以上に分散して設けることが望ましい。なお、居室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。
⑦ 便所(第1項第1号エ)
便所は、居室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1か所に集中して設けるのではなく、2か所以上に分散して設けることが望ましい。なお、居室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。
⑧ 浴室(第1項第2号)
浴室は、居室のある階ごとに設けることが望ましい。
⑨ ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設の設備については、上記の①から⑧までによるほか、第3のその7の3を準用する。
(3) 利用料等の受領
第3のその7の4(3)は、ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設について準用する。この場合において第3のその7の4の(3)の①及び②中「基準等条例第158条」とあるのは「基準等条例第183条」とする。
(4) 指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の取扱方針
① 基準等条例第184条第1項は、基準等条例第181条第1項の基本方針を受けて、入居者へのサービスの提供は、入居者が自律的な日常生活を営むことができるよう支援するものとして行わなければならないことを規定したものである。
入居者へのサービス提供に当たっては、入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮することが必要であり、このため従業者は、一人一人の入居者について、個性、心身の状況、入居に至るまでの生活歴とその中で培われてきた生活様式や生活習慣を具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助しなければならない。
なお、こうしたことから明らかなように、入居者の意向に関わりなく集団で行うゲームや、日常生活動作にない動作を通じた機能訓練など、家庭の中では通常行われないことを行うのは、サービスとして適当でない。
② 基準等条例第184条第2項は、基準等条例第181条第1項の基本方針を受けて、入居者へのサービスの提供は、入居者がユニットにおいて相互に社会的関係を築くことができるよう、それぞれ役割を持って生活を営めるように配慮して行わなければならないことを規定したものである。
このため従業者は、入居者相互の信頼関係が醸成されるよう配慮することが必要であるが、同時に、入居者が他の入居者の生活に過度に干渉し、自律的な生活を損なうことのないようにすることにも配慮が必要である。
③ 基準等条例第184条第6項及び第7項は、当該入居者又は他の入居者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
ア 緊急やむを得ない場合とは、身体的拘束廃止委員会が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。
(ア) 利用者又は他の利用者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。
(イ) 身体的拘束等を行う以外に当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。
(ウ) 身体的拘束等が一時的なものであること。
イ 身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア) 身体的拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
(イ) 当該身体的拘束等が必要な理由及びその態様、時間、その他必要な事項について利用者又はその家族に対して説明した上で、文書により利用者の同意を得ること。
(ウ) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びにアの緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。
ウ 身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体的拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。
(5) 介護
① 基準等条例第185条第1項は、介護が、基準等条例第184条第1項及び第2項の指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の取扱方針を受けた適切な技術をもって行わなければならないことを規定したものである。
自律的な日常生活を営むことを支援するという点では、入居者の日常生活上の活動への援助が過剰なものとなることのないよう留意する必要がある。
また、入居者が相互に社会的関係を築くことを支援するという点では、単に入居者が家事の中で役割を持つことを支援するにとどまらず、例えば、入居者相互の間で、頼り、頼られるといった精神面での役割が生まれることを支援することにも留意する必要がある。
② 基準等条例第185条第2項の「日常生活における家事」には、食事の簡単な下準備や配膳、後片付け、清掃やごみ出しなど、多様なものが考えられる。
③ 基準等条例第185条第3項は、入浴が、単に身体の清潔を維持するだけでなく、入居者が精神的に快適な生活を営む上でも重要なものであることから、こうした観点に照らして「適切な方法により」これを行うこととするとともに、同様の観点から、一律の入浴回数を設けるのではなく、個浴の実施など入居者の意向に応じることができるだけの入浴機会を設けなければならないことを規定したものである。
④ ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設における介護については、上記の①から③までによるほか、第3のその7の4の(6)の③から⑦までを準用する。この場合において、第3のその7の4の(6)の⑦中「第7項」とあるのは「第8項」とする。
(6) 食事
① 基準等条例第186条第3項は、基準等条例第184条第1項の指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の取扱方針を受けて、食事は、入居者の生活習慣を尊重した適切な時間に提供しなければならないこと、また、施設側の都合でせかしたりすることなく、入居者が自分のペースで食事を摂ることができるよう十分な時間を確保しなければならないことを規定したものである。
② 基準等条例第186条第4項は、基準等条例第181条第1項の基本方針を受けて、入居者の意思を尊重し、また、その心身の状況に配慮した上で、できる限り離床し、共同生活室で食事を摂ることができるよう支援しなければならないことを規定したものである。
その際、共同生活室で食事を摂るよう強制することはあってはならないので、十分留意する必要がある。
③ ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設における食事については、上記の①及び②によるほか、第3のその7の4の(7)の①から⑦までを準用する。
(7) 社会生活上の便宜の提供等
① 基準等条例第187条第1項は、基準等条例第184条第1項の指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の取扱方針を受けて、入居者一人一人の嗜好を把握した上で、それに応じた趣味、教養又は娯楽に係る活動の機会を提供するとともに、同好会やクラブ活動などを含め、入居者が自律的に行うこれらの活動を支援しなければならないことを規定したものである。
② ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設の居室は、家族や友人が来訪・宿泊して入居者と交流するのに適した個室であることから、これらの者ができる限り気軽に来訪・宿泊することができるよう配慮しなければならない。
③ ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設における社会生活上の便宜の提供等については、上記の①及び②によるほか、第3のその7の4の(9)の②から④までを準用する。この場合において、第3のその7の4の(9)の②中「第164条第2項」とあるのは「第187条第2項」と、同③中「第164条第3項」とあるのは「第187条第3項」と、同④中「第164条第4項」とあるのは「第187条第4項」とする。
(8) 運営規程(基準等条例第188条)
① 入居者に対する指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の内容及び利用料その他の費用の額(第5号)
「指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の内容」は、入居者が、自ら生活様式や生活習慣に沿って自律的な日常生活を営むことができるように、1日の生活の流れの中で行われる支援の内容を指すものであること。
また、「その他の費用の額」は、基準等条例第183条第3項により支払を受けることが認められている費用の額を指すものであること。
② 第3のその7の4の(18)の①及び③から⑤までは、ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設について準用する。この場合において、第3のその7の4の(18)中「基準等条例第170条」とあるのは「基準等条例第188条」と、「同条第1号から第9号まで」とあるのは「同条第1号から第10号まで」と、同③中「第5号」とあるのは「第6号」と、同④中「第7号」とあるのは「第8号」と、同⑤中「第9号」とあるのは「第10号」とする。
(9) 勤務体制の確保等
① 基準等条例第189条第2項は、基準等条例第184条第1項の指定地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の取扱方針を受けて、従業者の勤務体制を定めるに当たっては、継続性を重視したサービスの提供に配慮しなければならないことを規定したものである。
これは、従業者が、一人一人の入居者について、個性、心身の状況、生活歴などを具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助するためには、いわゆる「なじみの関係」が求められることによるものである。
② ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設において配置を義務付けることとしたユニットごとの常勤のユニットリーダーについては、当面は、ユニットケアリーダー研修を受講した従業者(以下「研修受講者」という。)を各施設(一部ユニット型の施設も含む。)に2人以上配置する(ただし、2ユニット以下の施設の場合には、1人でよいこととする。)ほか、研修受講者が配置されているユニット以外のユニットでは、ユニットにおけるケアに責任を持つ(研修受講者でなくても構わない。)従業者を決めてもらうことで足りるものとする。
この場合、研修受講者は、研修で得た知識等をリーダー研修を受講していないユニットの責任者に伝達するなど、当該施設におけるユニットケアの質の向上の中核となることが求められる。
また、ユニットリーダーについて必要とされる研修受講者の数には、当面は、ユニットリーダー以外の研修受講者であって、研修を受講していないユニットリーダーに対して研修で得た知識等を伝達するとともに、ユニットケアに関して指導及び助言を行うことができる者を含めて差し支えない。
ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設(以下②において「ユニット型施設」という。)とユニット型又は一部ユニット型の指定短期入所生活介護事業所(以下②において「ユニット型事業所」という。)が併設されている場合には、研修受講者をそれぞれに2人以上配置する必要はなく、ユニット型施設又は併設するユニット型事業所を一体のものとみなして、合計2人以上の研修受講者が配置されていればよいこととする。(ただし、ユニット型施設及び併設するユニット型事業所のユニット数の合計が2ユニット以下のときには、1人でよいこととする。)
なお、平成18年4月1日の時点で上記の要件を満たす研修受講者が2人に満たない施設については、平成19年3月31日までの間に満たせばよいこととする。
また、今後の研修受講者の状況等を踏まえた上で、配置基準を再検討する予定であるので、この当面の基準にかかわらず、多くの従業者について研修を受講していただくよう配慮をお願いしたい。
③ 令和3年4月1日以降に、入居定員が10を超えるユニットを整備する場合においては、令和3年改正基準等条例附則第6項の経過措置に従い、夜勤時間帯(午後10時から翌日の午前5時までを含めた連続する16時間をいい、原則として事業所又は施設ごとに設定するものとする。以下同じ。)を含めた介護職員及び看護職員の配置の実態を勘案し、次のとおり職員を配置するよう努めるものとする。
ア 日勤時間帯の介護職員及び看護職員の配置
ユニットごとに常時1人の配置に加えて、当該ユニットにおいて日勤時間帯(夜勤時間帯に含まれない連続する8時間をいい、原則として事業所又は施設ごとに設定するものとする。以下同じ。)に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を8で除して得た数が、入居者の数が10を超えて1を増すごとに0.1以上となるように介護職員又は看護職員を配置するよう努めること。
イ 夜勤時間帯の介護職員及び看護職員の配置
2ユニットごとに1人の配置に加えて、当該2ユニットにおいて夜勤時間帯に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を16で除して得た数が、入居者の合計数が20を超えて2又はその端数を増すごとに0.1以上となるように介護職員又は看護職員を配置するよう努めること。
なお、基準等条例第189条第2項第1号及び第2号に規定する職員配置に加えて介護職員又は看護職員を配置することを努める時間については、日勤時間帯又は夜勤時間帯に属していればいずれの時間でも構わず、連続する時間である必要はない。当該ユニットにおいて行われるケアの内容、入居者の状態等に応じて最も配置が必要である時間に充てるよう努めること。
④ ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設における勤務体制の確保等については、上記の①及び②によるほか、第3のその7の4の(19)を準用する。この場合において、第3のその7の4の(19)中「第171条」とあるのは「第189条」と、同②中「第171条第2項」とあるのは「第189条第3項」と、同③中「第171条第3項」とあるのは「第189条第4項」とする。
(10) 準用
基準等条例第191条の規定により、基準等条例第11条、第12条、第14条、第15条、第24条、第30条、第34条の2、第36条、第38条、第40条、第42条の2、第43条、第61条の11、第61条の15、第61条の17第1項から第4項まで、第155条から第157条まで、第160条、第163条、第165条から第169条まで及び第173条から第178条までの規定は、ユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設に準用されるものであるため、第3のその1の4の(2)、(3)、(5)、(6)、(14)、(18)、(25)、(28)及び(32)、第3のその2の2の3の(4)及び(10)の①から④まで並びに第3のその7の4の(1)、(2)、(5)、(8)、(10)から(17)まで及び(20)から(27)までを参照すること。この場合において、準用される基準等条例第61条の17第1項から第4項までの規定について、運営推進会議の複数の事業所の合同開催については、合同で開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこととすること。
その8 看護小規模多機能型居宅介護
1 基本方針(基準等条例第192条)
(1) 指定看護小規模多機能型居宅介護は、訪問看護の基本方針と小規模多機能型居宅介護の基本方針を踏まえて行うこと。
(2) 既存の指定訪問看護事業所、指定通所介護事業所、指定地域密着型通所介護事業所、指定療養通所介護事業所又は指定認知症対応型通所介護事業所が指定看護小規模多機能型居宅介護事業所となる場合に、これまで指定訪問看護事業所、指定通所介護事業所、指定地域密着型通所介護事業所、指定療養通所介護事業所又は指定認知症対応型通所介護事業所を利用していた本市以外の市町村の被保険者が指定看護小規模多機能型居宅介護を利用し続けることができるようにするためには、本市以外の市町村からも複合型サービス事業所の指定を受ける必要があるが、従来からの利用者のために継続的なサービス利用を確保する観点から、従来の利用者からの希望に基づき、当該本市以外の市町村から指定の同意の申出があった場合には、原則として、本市は、本市以外の市町村の従来からの利用者の利用について、法第78条の2第4項第4号に係る同意を行うこととし、当該同意に基づき本市以外の市町村は指定を行うこと又は同条第9項に係る同意をあらかじめ行うことが求められる。なお、こうした場合において本市が指定を行う際には、既に事業所所在の市町村において事業所が遵守すべき基準の適合性について審査していることから、地域密着型サービス運営委員会において、事前に「本市以外の市町村に所在する事業所の指定に限り、運営委員会を開催することなく指定することができる」といったことを決めておくことにより、円滑に事業所指定が行われるようにするものとする。
2 人員に関する基準
(1) 従業者の員数等(基準等条例第193条)
① サテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の実施要件
基準等条例第193条第8項の規定によるサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の実施に当たっては、次の要件を満たす必要があること。
ア サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所に係る指定看護小規模多機能型居宅介護事業者は、指定居宅サービス事業等その他の保健医療又は福祉に関する事業について3年以上の経験を有するものである必要があるが、この場合、指定看護小規模多機能型居宅介護以外の事業の経験についても当該経験に算入できることに留意すること。また、「3年以上の経験」については、当該指定日において満たしている必要があり、休止等、事業を運営していない期間は除いて計算すること。
イ サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所は、本体事業所(指定看護小規模多機能型居宅介護事業所であって、緊急時訪問看護加算の届出をしており適切な看護サービスを提供できる当該事業所に対する支援機能を有する事業所をいう。以下、この号において同じ。)を有する必要があるが、ここでいう「支援機能を有する事業所」については、当該本体事業所が次のいずれかに該当することを指すものであること。
(ア) 事業開始以降1年以上の本体事業所としての実績を有すること
(イ) 当該本体事業所の登録者数が、当該本体事業所において定められた登録定員の100分の70を超えたことがあること
ウ サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所は、本体事業所との密接な連携を確保しつつ、運営するものであるため、次に掲げる要件をいずれも満たす必要があること。
(ア) 本体事業所とサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の距離は、自動車等による移動に要する時間がおおむね20分以内の近距離であること
(イ) 1の本体事業所に係るサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の数は2箇所までとし、またサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所1箇所及びサテライト型小規模多機能型居宅介護事業所1箇所を合わせ2箇所までとするものであること
エ 本体事業所とサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所は、同一の日常生活圏域内に所在することが望ましいが、隣接する市町村における指定看護小規模多機能型居宅介護事業所とすることも差し支えないものである。
オ なお、市長は、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の指定に当たっては、他の地域密着型サービスの指定の場合と同様、あらかじめ本市に設置される地域密着型サービス運営委員会等の意見を聴き、必要があると認められる場合は、指定の際に条件を付す等により、事業の適正な運営に当たっての措置を講ずること。
② 看護小規模多機能型居宅介護従業者
ア 看護小規模多機能型居宅介護従業者については、介護福祉士や訪問介護員の資格等は必ずしも必要としないが、介護等に対する知識、経験を有する者であることを原則とする。なお、これ以外の看護小規模多機能型居宅介護従業者にあっても研修の機会を確保することなどにより質の向上を図るものとする。
イ 夜間及び深夜の時間帯は、それぞれの事業所ごとに、宿泊サービスの利用者の生活サイクル等に応じて設定するものとし、これに対応して、夜間及び深夜の時間帯以外の指定看護小規模多機能型居宅介護の提供に必要な看護小規模多機能型居宅介護従業者及び宿直勤務又は夜間及び深夜の勤務(夜間及び深夜の時間帯に行われる勤務(宿直勤務を除く。)をいう。以下同じ。)を行わせるために必要な看護小規模多機能型居宅介護従業者を確保するものとする。
例えば、通いサービスの利用定員を15人とし、日中の勤務時間帯を午前6時から午後9時までの15時間、常勤の職員の勤務時間を8時間とした場合、常勤換算方法で通いの利用者3人に対して1人の看護小規模多機能型居宅介護従業者を配置すればよいことから、通いの利用者が15人の場合、日中の常勤の看護小規模多機能型居宅介護従業者は5人となり、日中の15時間の間に、8時間×5人=延べ40時間分のサービスが提供されていることが必要である。それに加え、日中については、常勤換算方法で2人以上に訪問サービスの提供を行わせ、夜間については、夜勤1人+宿直1人に宿泊サービス及び夜間の訪問サービスに当たらせるために必要な看護小規模多機能型居宅介護従業者を、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所全体として確保することが必要となる。
具体的には、通いサービスに要する時間(延べ40時間)、日中の訪問サービスに要する時間(8時間×2人=延べ16時間)、夜勤及び宿直職員の勤務時間を合計した指定看護小規模多機能型居宅介護において必要となる延べサービス時間を確保することができるよう、有給休暇、研修時間、常勤・非常勤の別、サービス提供のあり方など、各事業所で定める諸条件を踏まえた上で、実際に配置しなければならない職員数を確保することが必要である。
夜間及び深夜の時間帯の設定に当たっては、「社会福祉施設における宿直勤務の取扱いについて」(昭和49年8月20日社施第160号厚生省社会局施設課長、児童家庭局企画課長連名通知)に準じて適切に行うこと。
なお、基準等条例第193条第1項は看護小規模多機能型居宅介護従業者の必要数の算出基準を示したものであるので、日中であれば通いサービスを行うために3:1以上、訪問サービスを行うために2以上をそれぞれのサービスに固定しなければならないという趣旨ではなく、日中勤務している看護小規模多機能型居宅介護従業者全体で通いサービス及び訪問サービスを行うこととなるものである。
ウ 日々の通いサービスの実際の職員配置については、その日ごとの状況に応じて判断する必要があるが、単に通いサービスの利用者がいないからといって職員を配置しないということではなく、通いサービスを利用しない者に対する訪問サービスも含め、利用者に何らかの形で関わることができるような職員配置に努めるものとする。
エ サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所においては、訪問サービスを行う看護小規模多機能型居宅介護従業者を常勤換算方法で2以上ではなく、2名以上配置することで足りることとしている。なお、本体事業所とサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所における訪問サービスは一体的に提供することが可能であり、本体事業所の看護小規模多機能型居宅介護従業者はサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の登録者に対し、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の看護小規模多機能型居宅介護従業者は本体事業所及び当該本体事業所に係る他のサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所若しくはサテライト型小規模多機能型居宅介護事業所の登録者に対し、それぞれ訪問サービスを提供できるものであること。また、訪問サービスの提供に当たる看護小規模多機能型居宅介護従業者を、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所から離れた特別養護老人ホーム等の職員が行う形態は認められない。特別養護老人ホーム等における職員が非常勤である場合には、非常勤として勤務する以外の時間帯に指定看護小規模多機能型居宅介護事業所に勤務し、通いサービスや宿泊サービスも含めた業務を行うことは差し支えない。
オ 看護小規模多機能型居宅介護従事者のうち常勤換算方法で2.5以上の者は、保健師、看護師又は准看護師(以下、「看護職員」という。)でなければならないこととされており、うち1以上は常勤の保健師又は看護師とするものである。また、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所において、看護小規模多機能型居宅介護従業者のうち常勤換算方法で1.0以上の者は看護職員であるものとし、本体事業所の看護職員は適切にサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の登録者を支援するものとする。
カ 看護職員である看護小規模多機能型居宅介護従業員は、日中の通いサービスと訪問サービスを行う各サービスで1人以上必要であり、常勤を要件としていないが、日中のサービス提供時間帯を通じて必要な看護サービスが提供される職員配置とすること。
キ 宿泊サービスの利用者が1人であっても、訪問サービス対応のため、夜間及び深夜の時間帯を通じて、夜勤1人と宿直1人の計2人が最低必要となるものである。この場合、必ずしもいずれか1人以上が看護職員である必要はないが、電話等による連絡体制は確保していること。
また、宿泊サービスの利用者がいない場合であって、夜間及び深夜の時間帯を通じて利用者に対して訪問サービスを提供するために必要な連絡体制を整備している時は、宿泊及び夜勤を行う従業者を置かないことができることとしたものである。
なお、宿泊サービスの利用者のための夜勤職員に加えて配置される宿直職員は、主として登録者からの連絡を受けての訪問サービスに対応するために配置されるものであることから、連絡を受けた後、事業所から登録者宅へ訪問するのと同程度の対応ができるなど、随時の訪問サービスに支障がない体制が整備されているのであれば、必ずしも事業所内で宿直する必要はないものである。また、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所においては、本体事業所の宿直職員が、当該サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の登録者からの訪問サービスの要請に適切に対応できるときは、宿直職員を配置しないこともできるものであること。
ク サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の登録者の処遇に支障がない場合は、本体事業所において宿泊サービスを提供することができることとされているが、本体事業所においてサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の登録者を宿泊させる際は、当該本体事業所との行事等の共同実施や、本体事業所の看護小規模多機能型居宅介護従業者による訪問サービスの提供により、当該本体事業所の従業者とのなじみの関係の構築を行うよう努めること。なお、本体事業所の登録者がサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の宿泊サービスを受けることは認められていないことに留意すること。
ケ 基準等条例第193条第7項の規定は、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所と「居住」の事業所双方に、それぞれの人員に関する基準を満たす従業者を置いているときは、従業者はそれぞれの事業所の業務に従事できるということであり、「居住」に移行してからもなじみの関係を保てるよう、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所と「居住」の事業所は、人員としては一体のものとして、運営することを認めたものである。
コ 指定複合型サービス事業者が、指定訪問看護事業者の指定を併せて受け、かつ、指定看護小規模多機能型居宅介護事業と指定訪問看護事業とが同じ事業所で一体的に運営されている場合については、指定居宅サービス等基準第60条第1項第1号の指定訪問看護における看護職員の人員基準を満たすことによって、基準等条例第193条第4項の看護職員の人員基準を満たしているものとみなすことができるとされたが、その意義は次のとおりである。
指定看護小規模多機能型居宅介護と指定訪問看護の両方において、看護職員を常勤換算方法で2.5以上とすることが要件とされているが、両事業を一体的に行っている場合については、一方の事業で常勤換算方法2.5以上を満たしていることにより、他の事業でも当該基準を満たすこととするという趣旨である。なお、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所における看護職員については、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の本体事業所が指定訪問看護事業所としての指定を受けている場合であって、次の要件を満たす場合に限り、指定訪問看護事業所として一体的な届出として認められるものとする。
(ア) 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること
(イ) 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること
(ウ) 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること
(エ) 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること
(オ) 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること
しかしながら、指定看護小規模多機能型居宅介護は療養上の管理の下で妥当適切に行うものであり、例えば、指定看護小規模多機能型居宅介護において看護サービスが必要な利用者がいるにも関わらず、看護職員が指定訪問看護にのみ従事することは適切ではない。
なお、指定看護小規模多機能型居宅介護と指定訪問看護を同一の拠点で行う場合であっても、一体的に運営されておらず、完全に体制を分離して行う場合にあっては、独立して基準を満たす必要があるので留意すること。また、本体事業所が指定訪問看護事業所と一体的に運営されていない場合には、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所から指定訪問看護を行うことはできないものであるが、本体事業所が指定訪問看護事業所を一体的に運営している場合には、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所を指定訪問看護事業所の出張所としての指定を受けることは差し支えない。
③ 介護支援専門員等
ア 介護支援専門員は、指定を受ける際(指定を受けた後に介護支援専門員の変更の届出を行う場合を含む。)に、113号告示第3号に規定する研修を修了しているものとする。なお、当該研修は具体的には地域密着研修通知2の(1)の①の「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」を指すものである。
イ 介護支援専門員は利用者の処遇に支障がない場合は、管理者との兼務もできるものである。また、非常勤でも差し支えない。
ウ 介護支援専門員は、基本的には、①登録者の看護小規模多機能型居宅介護以外の居宅サービスを含めた「居宅サービス計画」の作成、②法定代理受領の要件である看護小規模多機能型居宅介護の利用に関する本市への届出の代行、③看護小規模多機能型居宅介護の具体的なサービス内容等を記載した「看護小規模多機能型居宅介護計画」の作成の業務に従事するものである。
エ 施行規則第65条の4第2号に基づく本市への届出については、居宅サービスにおける例にならい、別に定める様式とすること。
オ サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所においては、介護支援専門員を配置せず、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了した者(以下「研修修了者」という。)を配置することができることとされているが、研修修了者はサテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の登録者に係る看護小規模多機能型居宅介護計画の作成に従事するものであり、ウの①の居宅サービス計画の作成及び②の本市への届出の代行については、本体事業所の介護支援専門員が行わなければならないこと。
(2) 管理者(基準等条例第194条)
① 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事する者である。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がない場合には、他の職務を兼ねることができるものとする。
ア 当該指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の看護小規模多機能型居宅介護従業者としての職務に従事する場合
イ 事業所に併設する基準等条例第193条第7項各号に掲げる施設等の職務に従事する場合
ウ 当該指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合に、当該指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の管理者又は従事者としての職務に従事する場合
② 管理者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定複合型サービス事業所等の職員又は訪問介護員等として、3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を有する者であることが必要である。
さらに、管理者としての資質を確保するために、指定を受ける際(指定を受けた後に管理者の変更の届出を行う場合を含む。)に、113号告示第2号に規定する研修を修了しているもの又は保健師若しくは看護師とする。なお、当該研修は具体的には地域密着研修通知1の(1)の「認知症対応型サービス事業管理者研修」を指すものである。ただし、管理者の変更の届出を行う場合については、管理者交代時の都道府県における研修の開催状況等を踏まえ、新たに管理者を配置し、かつ、市町村からの推薦を受けて都道府県に研修の申込を行い、当該管理者が研修を修了することが確実に見込まれる場合は当該管理者が研修を修了していない場合であっても差し支えない。
③ サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所の管理者は本体事業所の管理者を充てることができることとされているが、当該事業所の管理者が保健師又は看護師でないときは、当該管理者は認知症対応型サービス事業管理者研修を修了している必要があること。
④ ②の保健師及び看護師については、管理者としてふさわしいと認められるものであって、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第14条第1項の規定により保健師又は看護師の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当しないものである必要がある。
⑤ ②の保健師及び看護師については、医療機関における看護、訪問看護又は訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要がある。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。
(3) 指定看護小規模多機能型居宅介護事業者の代表者(基準等条例第195条)
① 指定看護小規模多機能型居宅介護事業者の代表者とは、基本的には、運営している法人の代表者であり、理事長や代表取締役が該当するが、法人の規模によって、理事長や代表取締役をその法人の地域密着型サービス部門の代表者として扱うのは合理的でないと判断される場合においては、地域密着型サービスの事業部門の責任者などを代表者として差し支えない。したがって、指定複合型サービス事業所の指定申請書に記載する代表者と異なることはあり得る。なお、管理者とは、各事業所の責任者を指すものであり、各法人の代表者とは異なるが、例えば、法人が一つの介護サービス事業所のみを運営している場合は、代表者と管理者が同一であることもあるものである。
② 指定看護小規模多機能型居宅介護事業者の代表者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定複合型サービス事業所等の職員又は訪問介護員等として認知症高齢者の介護に従事した経験を有する者又は保健医療サービス若しくは福祉サービスの経営に携わった経験を有する者であり、代表者としての資質を確保するために、指定を受ける際(指定を受けた後に代表者の変更の届出を行う場合を含む。)に113号告示第4号に規定する研修を修了しているもの又は保健師若しくは看護師とする。
ただし、代表者の変更の届出を行う場合については、代表者交代時に「認知症対応型サービス事業開設者研修」が開催されていないことにより、保健師若しくは看護師ではない当該代表者が「認知症対応型サービス事業開設者研修」を修了していない場合、代表者交代の半年後又は次回の「認知症対応型サービス事業開設者研修」日程のいずれか早い日までに「認知症対応型サービス事業開設者研修」を修了することで差し支えない。なお、当該研修は具体的には地域密着研修通知3の(1)の「認知症対応型サービス事業開設者研修」を指すものである。
③ 特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定複合型サービス事業所等の職員又は訪問介護職員等として認知症高齢者の介護に従事した経験又は保健医療サービス若しくは福祉サービスの経営に携わった経験とは、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所、指定複合型サービス事業所等の職員か訪問介護員等として認知症高齢者の介護に携わった経験や、あるいは、保健医療サービスや福祉サービスの経営に直接携わったことがあればよく、一律の経験年数の制約は設けていない。なお、経験の有無については個々のケースごとに判断するものとすること。
④ ②に示す保健師及び看護師については、代表者としてふさわしいと認められるものであって、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第14条第1項の規定により保健師又は看護師の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当しないものであること。
⑤ ②の保健師及び看護師については、医療機関における看護、訪問看護又は訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要がある。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。
3 設備に関する基準
(1) 登録定員(基準等条例第196条)
① 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所は、その登録定員を29人(サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、18人)以下としなければならないとしたものである。
指定看護小規模多機能型居宅介護においては、利用者と従業者のなじみの関係を築きながらサービスを提供する観点から、利用者は1か所の指定看護小規模多機能型居宅介護事業所に限って利用者登録を行うことができるものであり、複数の指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の利用は認められないものである。
② 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所は、その通いサービスの利用定員を登録定員の2分の1から15人(登録定員が25人を超える指定看護小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、登録定員に応じて、基準等条例第196条第2項第1号の表中に定める数、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、12人)まで、宿泊サービスの利用定員を通いサービスの利用定員の3分の1から9人(サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所にあっては、6人)までとしなければならない。この場合における利用定員については、当該指定看護小規模多機能型居宅介護事業所において1日当たりの同時にサービスの提供を受ける者の上限を指すものであり、1日当たりの延べ人数ではないことに留意すること。なお、基準等条例第204条において準用する基準等条例第103条の規定により、特に必要と認められる場合は、当該利用定員を超えるサービス提供も差し支えないこととされているので、指定看護小規模多機能型居宅介護が利用者の心身の状況に応じ、柔軟に通いサービス、訪問サービス、宿泊サービスを組み合わせて提供されるものであることを踏まえ、適切なサービス提供を行うこと。
③ 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所に併設している有料老人ホームの入居者が指定看護小規模多機能型居宅介護を利用することは可能である(ただし、特定施設入居者生活介護を受けている間は、介護報酬は算定できない。)が、養護老人ホームの入所者が指定看護小規模多機能型居宅介護を利用することについては、養護老人ホームは措置費の下で施設サービスとして基礎的な生活支援が行われているところであり、養護老人ホームの入所者が指定看護小規模多機能型居宅介護を利用することは想定していないものである。
(2) 設備及び備品等(基準等条例第197条)
① 基準等条例第197条第1項にいう「事業所」及び「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」は、指定地域密着型通所介護に係る基準等条例第61条の5第1項の規定と同趣旨であるため、第3のその2の2の2の(1)及び(3)を参照すること。
② 居間及び食堂
ア 居間及び食堂は同一の室内とする場合であっても、居間、食堂のそれぞれの機能が独立していることが望ましい。また、その広さについても原則として利用者及び看護小規模多機能型居宅介護従業者が一堂に会するのに充分な広さを確保するものとする。
イ 基準等条例第197条第3項第1号に規定する居間及び食堂を合計した面積については、既存家屋等の建物を居間及び食堂として利活用する場合を除き、3平方メートルに通いサービスの利用定員を乗じて得た面積以上とするものとする。
③ 宿泊室
ア 民家等の既存施設を活用した効率的なサービス提供等を可能とする観点から、宿泊専用の個室がない場合であっても、宿泊室についてプライバシーが確保されたしつらえになっていれば差し支えない。プライバシーが確保されたものとは、例えば、パーティションや家具などにより利用者同士の視線の遮断が確保されるようなものである必要があるが、壁やふすまのような建具まで要するということではない。ただし、カーテンはプライバシーが確保されたものとは考えにくいことから認められないものである。
イ 利用者が泊まるスペースは、基本的に1人当たり7.43平方メートル程度あり、かつ、その構造がプライバシーが確保されたものであることが必要であることから、例えば、6畳間であれば、基本的に1人を宿泊させることになる。ただし、利用者の希望等により、6畳間で一時的に2人を宿泊させるという状態があったとしても、そのことをもって直ちに基準違反となるものではないことに留意すること。
また、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が病院又は診療所である場合であって、宿泊室の定員が1人の場合には、利用者が泊まるスペースは、1人当たり6.4平方メートル程度以上として差し支えない。
ウ 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が有床診療所である場合については、有床診療所の病床を宿泊室として柔軟に活用することは差し支えない。ただし、当該病床のうち1病床以上は利用者の専用のものとして確保しておくこと。
エ 他の利用者が通らない宿泊室と連続した縁側等については、宿泊室の面積に含めて差し支えない。
オ ウにおいては、ア、イ及びエに準じるものであるが、有床診療所の入院患者と同じ居室を利用する場合も想定されることから、衛生管理等について必要な措置を講ずること。
④ 指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間を指定看護小規模多機能型居宅介護の居間として共用することは、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間は入居者の生活空間であることから、基本的に指定看護小規模多機能型居宅介護の居間との共用は認められないものである。
ただし、事業所が小規模である場合(指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の通いサービスの利用定員と指定認知症対応型共同生活介護事業所の定員の合計が15人以下である場合)などで、指定認知症対応型共同生活介護事業所の居間として必要なものが確保されており、かつ、指定看護小規模多機能型居宅介護の居間として機能を十分に発揮し得る適当な広さを有している場合は、共用としても差し支えない。
また、指定看護小規模多機能型居宅介護の居間及び食堂を指定通所介護等の機能訓練室及び食堂として共用することは認められないが、法第115条の45第1項に規定する介護予防・日常生活支援総合事業の交流スペースとして共用することは、事業所が小規模である場合(指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の通いサービスの利用者と介護予防・日常生活支援総合事業の交流スペースの参加者の合計が少数である場合)などで、指定看護小規模多機能型居宅介護の居間及び食堂として機能を十分に発揮しうる適当な広さが確保されており、利用者に対する指定看護小規模多機能型居宅介護の提供に支障がない場合は差し支えない。なお、浴室、トイレ等を共用することは差し支えないが、指定通所介護事業所等の浴室を活用する場合、当該指定通所介護事業所等の利用者が利用している時間帯に指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の利用者が利用できない取扱いとするなど画一的な取扱いは行わないこと。
⑤ 事業所の立地
基準等条例第197条第5項の規定は、指定小規模多機能型居宅介護に係る基準等条例第88条第5項の規定と同趣旨であるため、第3のその4の3の(2)の⑤を参照すること。
4 運営に関する基準
(1) 指定看護小規模多機能型居宅介護の具体的取扱方針(基準等条例第199条)
① 制度上は週1回程度の利用でも所定点数の算定は可能であるが、利用者負担等も勘案すれば、このような利用は必ずしも合理的ではなく、運営推進会議に通いサービスの回数等を報告し、適切なサービス提供であるかどうかの評価を受けることが必要となるものである。指定看護小規模多機能型居宅介護は、通いサービスを中心として、利用者の様態や希望に応じて、訪問サービスや宿泊サービスを組み合わせてサービスを提供するという弾力的なサービス提供が基本であり、宿泊サービスの上限は設けず、重度の者であれば、運営推進会議に対し報告し、評価を受けることを前提として、ほぼ毎日宿泊する形態も考えられる。しかしながら、ほぼ毎日宿泊するような者が増え、他の利用者の宿泊に対応できないような状況になれば、他の利用者が適切にサービスが利用できるよう調整を行うことが必要となるものである。
② 基準等条例第199条第4号で定める「療養上必要な事項その他サービスの提供等」とは、看護小規模多機能型居宅介護計画の目標及び内容や行事及び日課等も含むものである。
③ 基準等条例第199条第5号及び第6号は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
ア 緊急やむを得ない場合とは、身体的拘束廃止委員会が次のいずれにも該当すると判断した場合とする。
(ア) 利用者又は他の利用者等の生命又は身体に危険が及ぶ可能性が著しく高いこと。
(イ) 身体的拘束等を行う以外に当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するための手段がないこと。
(ウ) 身体的拘束等が一時的なものであること。
イ 身体的拘束等を行うに当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア) 身体的拘束廃止委員会の判断の結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること。
(イ) 当該身体的拘束等が必要な理由及びその態様、時間、その他必要な事項について利用者又はその家族に対して説明した上で、文書により利用者の同意を得ること。
(ウ) 当該身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びにアの緊急やむを得ない場合の具体的内容を記録すること。
ウ 身体的拘束等を行っている場合にあっては、その間、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれにも該当するかについて判断するため、身体的拘束廃止委員会を必要に応じ随時開催しなければならない。この場合において、当該身体的拘束等がアに定める要件のいずれかに該当しないと判断されたときは、直ちに当該身体的拘束等を廃止するものとする。
なお、基準等条例第203条第2項の規定に基づき、当該記録は、5年間保存しなければならない。
④ 基準等条例第199条第7号に定める「通いサービスの利用者が登録定員に比べて著しく少ない」とは、登録定員のおおむね3分の1以下が目安となる。登録定員が25人の場合は通いサービスの利用者が8人以下であれば、著しく少ない状態といえる。
⑤ 基準等条例第199条第8号に定める「適切なサービス」とは、一の利用者に対して、通いサービス及び訪問サービスを合わせておおむね週4日以上行うことが目安となるものである。指定看護小規模多機能型居宅介護事業者は、通いサービス及び訪問サービスを提供しない日であっても、電話による見守りを含め、利用者に何らかの形で関わることが望ましい。
なお、指定看護小規模多機能型居宅介護の訪問サービスは身体介護に限られないため、利用者宅を適宜訪問し、見守りの意味で声かけ等を行った場合でも訪問サービスの回数に含めて差し支えない。
⑥ 基準等条例第199条第10号で定める「適切な看護技術」とは、医学の進歩に沿った適切な看護技術をもって対応できるよう、新しい技術の修得等、研鑽を積むことを定めたものであり、医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならない。
(2) 主治医との関係(基準等条例第200条)
① 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の常勤の保健師又は看護師は、利用者の主治医が発行する訪問看護指示の文書(以下「指示書」という。)に基づき看護サービスが行われるよう、主治医との連絡調整、看護サービスの提供を担当する看護師等の監督等必要な管理を行わなければならないこと。なお、主治医とは、利用申込者の選定により加療している医師をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。
② 基準等条例第200条第2項は、看護サービスの利用対象者はその主治医が看護サービスの必要性を認めたものに限られるものであることを踏まえ、指定看護小規模多機能型居宅介護事業者は、看護サービスの提供の開始に際しては、指示書の交付を受けなければならないこととしたものであること。
③ 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の常勤の保健師又は看護師は、主治医と連携を図り、適切な指定看護小規模多機能型居宅介護を提供するため、定期的に看護小規模多機能型居宅介護計画及び看護小規模多機能型居宅介護報告書を主治医に提出しなければならないこと。
④ 指定看護小規模多機能型居宅介護における看護サービスの実施に当たっては、特に医療施設内の場合と異なり、看護師等が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること。
⑤ 看護小規模多機能型居宅介護事業所が病院又は診療所である場合には、主治医の指示は診療記録に記載されるもので差し支えないこと。また、看護小規模多機能型居宅介護報告書についても看護記録等の診療記録に記載することで差し支えないこと。
(3) 看護小規模多機能型居宅介護計画及び看護小規模多機能型居宅介護報告書の作成(基準等条例第201条)
① 当該計画の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを利用者に強制することとならないように留意するものとする。
② 当該計画の作成は利用者ごとに、介護支援専門員が行うものであるが、看護小規模多機能型居宅介護計画のうち看護サービスに係る記載については、看護師等と密接な連携を図ること。なお、看護サービスに係る計画とは、利用者の希望、主治医の指示、看護目標及び具体的なサービス内容等を含むものであること。
③ 基準等条例第201条第3項に定める「多様な活動」とは、地域の特性や利用者の生活環境に応じたレクリエーション、行事、園芸、農作業などの利用者の趣味又は嗜好に応じた活動等をいうものである。
④ 看護小規模多機能型居宅介護計画は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、介護支援専門員は、看護小規模多機能型居宅介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該看護小規模多機能型居宅介護計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した看護小規模多機能型居宅介護計画は、基準等条例第203条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。
⑤ 看護小規模多機能型居宅介護事業所において短期利用居宅介護費を算定する場合で、居宅サービス計画に基づきサービスを提供している看護小規模多機能型居宅介護事業者については、第3のその4の4の(9)の④を準用する。この場合において、「小規模多機能型居宅介護計画」とあるのは、「看護小規模多機能型居宅介護計画」とする。
⑥ 看護師等(准看護師を除く。)は、看護小規模多機能型居宅介護報告書に、訪問を行った日、提供した看護内容、サービス提供結果等を記載する。なお、基準等条例第201条に規定する報告書は、訪問の都度記載する記録とは異なり、主治医に定期的に提出するものをいい、当該報告書の記載と先に主治医に提出した看護小規模多機能型居宅介護計画の記載において重複する箇所がある場合は、当該報告書における重複箇所の記載を省略しても差し支えないこと。
⑦ 指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の常勤の保健師又は看護師は、看護小規模多機能型居宅介護計画に沿った看護サービスの実施状況を把握し、看護小規模多機能型居宅介護計画及び看護小規模多機能型居宅介護報告書に関し、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
⑧ 指定看護小規模多機能型居宅介護事業者は、主治医との連携を図り、適切な看護サービスを提供するため、看護小規模多機能型居宅介護計画及び看護小規模多機能型居宅介護報告書を定期的に主治医に提出しなければならない。
(4) 緊急時等の対応(基準等条例第202条)
基準等条例第202条は、看護小規模多機能型居宅介護従業者が現に指定看護小規模多機能型居宅介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、(看護小規模多機能型居宅介護従業者が看護師等の場合には、必要な臨時応急の手当を行うとともに)運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定看護小規模多機能型居宅介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。協力医療機関については、次の点に留意するものとする。
① 協力医療機関は、事業の通常の実施地域内にあることが望ましいものであること。
② 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。
(5) 業務継続計画の策定等
基準等条例第204条の規定により指定看護小規模多機能型居宅介護の事業について準用される基準等条例第34条の2の規定については、地域密着型通所介護と同様であるので、第3のその2の2の3の(7)を参照すること。
(6) 衛生管理等
基準等条例第204条の規定により指定看護小規模多機能型居宅介護の事業について準用される基準等条例第61条の16の規定については、地域密着型通所介護と同様であるので、第3のその2の2の3の(9)を参照すること。
(7) 虐待の防止
基準等条例第204条の規定により指定看護小規模多機能型居宅介護の事業について準用される基準等条例第42条の2の規定については、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様であるので、第3のその1の4の(31)を参照すること。
(8) 記録の整備(基準等条例第203条)
指定地域密着型通所介護の場合と同趣旨であるため、第3のその2の2の3の(13)を参照すること。
また、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が病院又は診療所である場合には、基準等条例第203条第2項により保存すべき記録のうち、主治の医師による指示の文書及び看護小規模多機能型居宅介護報告書については、診療記録の保存で差し支えない。
(9) 準用(基準等条例第204条)
基準等条例第204条の規定により、基準等条例第11条から第15条まで、第22条、第24条、第30条、第34条の2、第36条から第40条まで、第42条から第43条まで、第61条の11、第61条の13、第61条の16、第61条の17、第89条から第92条まで、第95条から第97条まで、第99条、第100条、第102条から第106条まで及び第108条の規定は、指定看護小規模多機能型居宅介護の事業について準用されるものであるため、第3のその1の4の(2)から(6)まで、(12)、(14)、(18)、(25)から(28)まで、(30)及び(32)、第3のその2の2の3の(4)、(6)及び(10)並びに第3のその4の4の(1)から(4)まで、(6)から(8)まで、(10)、(11)及び(13)から(21)までを参照すること。この場合において、準用される基準等条例第61条の17の規定について、指定看護小規模多機能型居宅介護事業所は、1年に1回以上、サービスの改善及び質の向上を目的として、各事業所が自ら提供するサービスについて評価・点検(自己評価)を行うとともに、当該自己評価結果について、運営推進会議において第三者の観点からサービスの評価(外部評価)を行うこととし、実施に当たっては以下の点に留意すること。また、運営推進会議の複数の事業所の合同開催については、合同で開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこととするとともに、外部評価を行う運営推進会議は、単独開催で行うこと。
ア 自己評価は、①事業所の全ての従業者が自ら提供するサービス内容について振り返りを行い、②その上で他の従業者の振り返り結果を当該事業所の従業者が相互に確認しながら、現状の課題や質の向上に向けて必要となる取組等について話し合いを行うことにより、看護小規模多機能型居宅介護事業所として提供するサービスについて個々の従業者の問題意識を向上させ、事業所全体の質の向上につなげていくことを目指すものである。
イ 外部評価は、運営推進会議において、当該事業所が行った自己評価結果に基づき、当該事業所で提供されているサービスの内容や課題等について共有を図るとともに、利用者、市職員、地域住民の代表者等が第三者の観点から評価を行うことにより、新たな課題や改善点を明らかにすることが必要である。
ウ このようなことから、運営推進会議において当該取組を行う場合には、市職員又は地域包括支援センター職員、指定看護小規模多機能型居宅介護に知見を有し公正・中立な第三者の立場にある者の参加が必要である。
エ 自己評価結果及び外部評価結果は、利用者及び利用者の家族へ提供するとともに、「介護サービスの情報公表制度」に基づく介護サービス情報公表システムを活用し公表することが考えられるが、法人のホームページへの掲載、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所への掲示、市窓口や地域包括支援センターへの掲示等により公表することも差し支えない。
オ 指定看護小規模多機能型居宅介護の特性に沿った自己評価及び外部評価の在り方については、令和2年度老人保健健康増進等事業「看護小規模多機能型居宅介護事業所及び療養通所介護事業所の業務負担軽減に関する事業」(公益財団法人日本訪問看護財団)を参考に行うものとし、サービスの改善及び質の向上に資する適切な手法により行うものとする。
第4 地域密着型介護予防サービス
その1 地域密着型介護予防サービスに関する基準について
地域密着型介護予防サービスに関する基準については、予防基準等条例において定められているところであるが、このうち、その3に記載する「介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」については、指定地域密着型介護予防サービスの提供に当たっての基本的な指針となるべきものであり、地域密着型介護予防サービスの創設に伴い、新たに制定された基準である。今後の地域密着型介護予防サービスの運営に当たっては、当該基準に従った適正な運営を図ること。
なお、①人員、②設備及び③運営に関する基準については、その2に記載する事項を除き、その取扱いについては、基本的には、第3に記載した地域密着型サービスに係る取扱いと同様であるので、第3の該当部分を参照すること。
その2 個別サービスの相違点
1 介護予防認知症対応型通所介護
地域密着型介護予防サービス費の支給を受けるための援助(予防基準等条例第19条)
介護給付においては、予防基準等条例第19条は、施行規則第85条の2各号のいずれにも該当しない利用者は、提供を受けようとしている指定介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給を受けることができないことを踏まえ、指定介護予防認知症対応型通所介護事業者は、施行規則第85条の2各号のいずれにも該当しない利用申込者又はその家族に対し、指定介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給を受けるための要件の説明、介護予防支援事業者に関する情報提供その他の地域密着型介護予防サービス費の支給を受けるために必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
その3 介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
1 介護予防認知症対応型通所介護
(1) 指定介護予防認知症対応型通所介護の基本取扱方針
予防基準等条例第42条にいう指定介護予防認知症対応型通所介護の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 指定介護予防認知症対応型通所介護の提供に当たっては、介護予防とは、単に高齢者の運動機能や栄養改善といった特定の機能の改善だけを目指すものではなく、これらの心身機能の改善や環境調整等を通じて、一人一人の高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
④ 提供された指定地域密着型介護予防サービスについては、介護予防認知症対応型通所介護計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防認知症対応型通所介護の具体的取扱方針
① 予防基準等条例第43条第1号及び第2号は、管理者は、介護予防認知症対応型通所介護計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防認知症対応型通所介護計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達やサービス担当者会議を通じる等の適切な方法により、利用者の状況を把握・分析し、介護予防認知症対応型通所介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、介護予防認知症対応型通所介護計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 同条第3号は、介護予防認知症対応型通所介護計画は、介護予防サービス計画(法第8条の2第16項に規定する介護予防サービス計画をいう。以下同じ。)に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、介護予防認知症対応型通所介護計画の作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該介護予防認知症対応型通所介護計画が介護予防サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 予防基準等条例第43条第4号、第5号、第8号及び第9号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防認知症対応型通所介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務付けることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。管理者は、介護予防認知症対応型通所介護計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防認知症対応型通所介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならならず、当該介護予防認知症対応型通所介護計画は、予防基準等条例第41条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならないこととしている。
④ 予防基準等条例第43条第7号は、指定介護予防認知症対応型通所介護の提供に当たっては、利用者が日常生活を送る上で自らの役割を持つことにより、達成感や満足感を得、自信を回復するなどの効果が期待されるとともに、利用者にとって自らの日常生活の場であると実感できるよう必要な支援を行わなければならないこととしたものである。
⑤ 予防基準等条例第43条第10号は、指定介護予防認知症対応型通所介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであることとしたものである。
⑥ 予防基準等条例第43条第11号から第13号までは、事業者に対して地域密着型介護予防サービスの提供状況等について介護予防支援事業者に対する報告の義務付けを行うとともに、介護予防認知症対応型通所介護計画に定める計画期間終了後の当該計画の実施状況の把握(モニタリング)を義務付けるものである。介護予防支援事業者に対する実施状況等の報告については、サービスが介護予防サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものであり、毎月行うこととしている。
また、併せて、事業者は介護予防認知症対応型通所介護計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の介護予防認知症対応型通所介護計画に定める目標の達成状況の把握等を行うこととしており、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、担当する介護予防支援事業者等とも相談の上、必要に応じて当該介護予防認知症対応型通所介護計画の変更を行うこととしたものである。
⑦ 介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している指定介護予防認知症対応型通所介護事業者については、第3のその1の4の(17)の⑫を準用する。この場合において、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画」とあるのは、「介護予防認知症対応型通所介護計画」とする。
2 介護予防小規模多機能型居宅介護
(1) 指定介護予防小規模多機能型居宅介護の基本取扱方針
予防基準等条例第67条にいう指定介護予防小規模多機能型居宅介護の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 介護予防小規模多機能型居宅介護の提供に当たっては、一人一人の高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
④ 提供された地域密着型介護予防サービスについては、介護予防小規模多機能型居宅介護計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防小規模多機能型居宅介護の具体的取扱方針
① 予防基準等条例第68条第1号から第3号までは、介護支援専門員は、指定介護予防サービス等の利用に係る計画及び介護予防小規模多機能型居宅介護計画を作成しなければならない(サテライト事業所の介護予防小規模多機能型居宅介護計画については研修修了者が作成するものである。)こととしたものである。このため、介護支援専門員は、地域包括支援センター(介護予防支援事業者)の職員が行う業務と同様の業務を行うことになる。
また、介護予防小規模多機能型居宅介護計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達や介護支援専門員が開催するサービス担当者会議を通じる等の適切な方法により、利用者の状況を把握・分析し、指定介護予防小規模多機能型居宅介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、介護予防小規模多機能型居宅介護計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 予防基準等条例第68条第4号に定める「多様な活動」とは、地域の特性や利用者の生活環境に応じたレクリエーション、行事、園芸、農作業などの利用者の趣味又は嗜好に応じた活動等をいうものである。
③ 予防基準等条例第68条第5号、第6号、第9号及び第10号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防小規模多機能型居宅介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務付けることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。管理者は、介護予防小規模多機能型居宅介護計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防小規模多機能型居宅介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならならず、当該介護予防小規模多機能型居宅介護計画は、予防基準等条例第65条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならないこととしている。
④ 指定介護予防小規模多機能型居宅介護の制度上は週1回程度の利用でも所定点数の算定は可能であるが、利用者負担等も勘案すれば、このような利用は必ずしも合理的ではなく、運営推進会議に通いサービスの回数等を報告し、適切なサービス提供であるかどうかの評価を受けることが必要となるものである。
指定介護予防小規模多機能型居宅介護は、通いサービスを中心として、利用者の様態や希望に応じて、訪問サービスや宿泊サービスを組み合わせてサービスを提供するという弾力的なサービス提供が基本であり、宿泊サービスの上限は設けず、重度の者であれば、運営推進会議に対し報告し、評価を受けることを前提として、ほぼ毎日宿泊する形態も考えられる。しかしながら、ほぼ毎日宿泊するような者が増え、他の利用者の宿泊に対応できないような状況になれば、他の利用者が適切にサービスを利用できるよう調整を行うことが必要となるものである。
⑤ 予防基準等条例第68条第11号に定める「通いサービスの利用者が登録定員に比べて著しく少ない」とは、登録定員のおおむね3分の1以下が目安となる。登録定員が25人の場合は通いサービスの利用者が8人以下であれば、著しく少ない状態といえる。
⑥ 予防基準等条例第68条第12号に定める「適切なサービス」とは、一の利用者に対して、通いサービス、宿泊サービス及び訪問サービスを合わせておおむね週4日以上行うことが目安となるものである。指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業者は、通いサービス、宿泊サービス及び訪問サービスを提供しない日であっても、電話による見守りを含め、利用者に何らかの形で関わることが望ましい。
なお、指定介護予防小規模多機能型居宅介護の訪問サービスは身体介護に限られないため、利用者宅を適宜訪問し、見守りの意味で声かけ等を行った場合でも訪問サービスの回数に含めて差し支えない。
⑦ 予防基準等条例第68条第13号及び第14号は、介護支援専門員又は研修修了者は、介護予防小規模多機能型居宅介護計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の介護予防小規模多機能型居宅介護計画に定める目標の達成状況の把握等を行うこととしており、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、必要に応じて当該介護予防小規模多機能型居宅介護計画の変更を行うこととしたものである。
⑧ 介護予防小規模多機能型居宅介護事業所において短期利用介護予防居宅介護費を算定する場合で、介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している介護予防小規模多機能型居宅介護事業者については、第3のその4の4の(9)の④を準用する。この場合において、「小規模多機能型居宅介護計画」とあるのは、「介護予防小規模多機能型居宅介護計画」とする。
(3) 介護等
① 予防基準等条例第69条第1項で定める介護サービスの提供に当たっては、利用者の心身の状況に応じ、利用者がその自主性を保ち、意欲的に日々の生活を送ることが出来るように介護サービスを提供し又は必要な支援を行うものとする。その際、利用者の人格に十分に配慮しなければならない。
② 予防基準等条例第69条第2項は、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業者は、指定介護予防小規模多機能型居宅介護のサービスを事業所の従業者に行わせなければならないことを定めたものであり、例えば、利用者の負担によって指定介護予防小規模多機能型居宅介護の一部を付添者等に行わせることがあってはならない。ただし、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業者の負担により、介護予防訪問入浴介護等のサービスの利用に供することは差し支えない。
③ 予防基準等条例第69条第3項は、利用者が介護従業者と食事や清掃、洗濯、買物、園芸、農作業、レクリエーション、行事等を可能な限り共同で行うことによって良好な人間関係に基づく家庭的な生活環境の中で日常生活が送れるようにすることに配慮したものである。
(4) 社会生活上の便宜の提供等
① 予防基準等条例第70条第1項は、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業者は画一的なサービスを提供するのではなく、利用者の外出の機会の確保その他の利用者の意向を踏まえた社会生活の継続のための支援に努めることとしたものである。
② 予防基準等条例第70条第2項は、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業者は、郵便、証明書等の交付申請等、利用者が必要とする手続等について、利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭に係るものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。
③ 予防基準等条例第70条第3項は、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業者は、利用者の家族に対し、当該指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業所の会報の送付、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。
3 介護予防認知症対応型共同生活介護
(1) 指定介護予防認知症対応型共同生活介護の基本取扱方針
予防基準等条例第88条にいう指定介護予防認知症対応型共同生活介護の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 指定介護予防認知症対応型共同生活介護の提供に当たっては、一人一人の高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
④ 提供された地域密着型介護予防サービスについては、介護予防認知症対応型共同生活介護計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
⑤ 指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業者は、新潟県の定める基準に基づき、まず自ら評価を行った上で、新潟県が選定した評価機関の実施するサービス評価を受け、その評価結果を踏まえて総括的な評価を行い、常にその提供する指定介護予防認知症対応型共同生活介護の質の改善を図らなければならないものであること。
また、評価の実施を担保する観点から、それらの結果を入居(申込)者及びその家族へ提供するほか、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所に掲示する方法や、本市の窓口、地域包括支援センターに置いておく方法、インターネットを活用する方法などにより、開示しなければならないこととする。なお、自ら行う評価及び外部の者による評価に関する具体的な事項については、国において別に通知するところによるものである。
(2) 指定介護予防認知症対応型共同生活介護の具体的取扱方針
① 予防基準等条例第89条第1号及び第2号は、計画作成担当者は、介護予防認知症対応型共同生活介護計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防認知症対応型共同生活介護計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達等の適切な方法により、利用者の状況を把握・分析し、介護予防認知症対応型共同生活介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、介護予防認知症対応型共同生活介護計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 予防基準等条例第89条第3号でいう通所介護等の活用とは、介護保険給付の対象となる通所介護ではなく、当該指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業者と通所介護事業者との間の契約により、利用者に介護保険給付の対象となる通所介護に準ずるサービスを提供するものである。また、その他の多様な活動とは、地域の特性や利用者の生活環境に応じたレクリエーション、行事、園芸、農作業などの利用者の趣味又は嗜好に応じた活動等をいうものである。
③ 予防基準等条例第89条第4号、第5号、第7号及び第8号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防認知症対応型共同生活介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務付けることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。計画作成担当者は、介護予防認知症対応型共同生活介護計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防認知症対応型共同生活介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならならず、当該介護予防認知症対応型共同生活介護計画は、予防基準等条例第86条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならないこととしている。
④ 予防基準等条例第89条第6号は、利用者が共同生活を送る上で自らの役割を持つことにより、達成感や満足感を得、自信を回復するなどの効果が期待されるとともに、利用者にとって当該共同生活住居が自らの生活の場であると実感できるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
⑤ 予防基準等条例第89条第9号及び第10号は、計画作成担当者は、介護予防認知症対応型共同生活介護計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の介護予防認知症対応型共同生活介護計画に定める目標の達成状況の把握等を行うこととしており、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、必要に応じて当該介護予防認知症対応型共同生活介護計画の変更を行うこととしたものである。
⑥ 介護予防認知症対応型共同生活介護事業所において介護予防短期利用認知症対応型共同生活介護費を算定する場合で、介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している介護予防認知症対応型共同生活介護事業者については、第3のその4の4の(9)の④を準用する。この場合において、「小規模多機能型居宅介護計画」とあるのは、「介護予防認知症対応型共同生活介護計画」とする。
(3) 介護等
① 予防基準等条例第90条第1項で定める介護サービスの提供に当たっては、認知症の状態にある利用者の心身の状況に応じ、利用者がその自主性を保ち、意欲的に日々の生活を送ることができるようにすることを念頭に、利用者の精神的な安定、行動障害の減少及び認知症の進行緩和が図られるように介護サービスを提供し又は必要な支援を行うものとする。その際、利用者の人格に十分に配慮しなければならない。
② 予防基準等条例第90条第2項は、指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業所で提供されるサービスは施設サービスに準じ、当該共同生活住居において完結する内容であることを踏まえ、当該事業所の従業者でないいわゆる付添者による介護や、居宅療養管理指導を除く他の居宅サービスを、入居者にその負担によって利用させることができないこととしたものである。ただし、指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業者の負担により、通所介護等のサービスを利用に供することは差し支えない。
③ 予防基準等条例第90条第3項は、利用者が介護従業者と食事や清掃、洗濯、買物、園芸、農作業、レクリエーション、行事等を共同で行うことによって良好な人間関係に基づく家庭的な生活環境の中で日常生活が送れるようにすることに配慮したものである。
(4) 社会生活上の便宜の提供等
① 予防基準等条例第91条第1項は事業者が画一的なサービスを提供するのではなく、利用者が自らの趣味又は嗜好に応じた活動を行うことができるよう必要な支援を行うことにより、利用者が充実した日常生活を送り、利用者の精神的な安定、行動障害の減少及び認知症の症状の進行を緩和するよう努めることとしたものである。
② 予防基準等条例第91条第2項は、指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業者は、郵便、証明書等の交付申請等、利用者が必要とする手続等について、利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭に係るものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。
③ 予防基準等条例第91条第3項は、指定介護予防認知症対応型共同生活介護事業者は、利用者の家族に対し、当該共同生活住居の会報の送付、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。また、利用者と家族の面会の場所や時間等についても、利用者やその家族の利便を図るものとする。
第5 雑則
1 電磁的記録について
基準等条例第205条第1項及び予防基準等条例第92条第1項は、指定地域密着型サービス事業者及び指定地域密着型サービスの提供に当たる者等(以下「事業者等」という。)の書面の保存等に係る負担の軽減を図るため、事業者等は、この基準等条例で規定する書面(被保険者証に関するものを除く。)の作成、保存等を次に掲げる電磁的記録により行うことができることとしたものである。
(1) 電磁的記録による作成は、事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は磁気ディスク等をもって調製する方法によること。
(2) 電磁的記録による保存は、以下のいずれかの方法によること。
① 作成された電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
② 書面に記載されている事項をスキャナ等により読み取ってできた電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
(3) その他、基準等条例第205条第1項及び予防基準等条例第92条第1項において電磁的記録により行うことができるとされているものは、(1)及び(2)に準じた方法によること。
(4) また、電磁的記録により行う場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
2 電磁的方法について
基準等条例第205条第2項及び予防基準等条例第92条第2項は、利用者及びその家族等(以下「利用者等」という。)の利便性向上並びに事業者等の業務負担軽減等の観点から、事業者等は、書面で行うことが規定されている又は想定される交付等(交付、説明、同意、承諾、締結その他これに類するものをいう。)について、事前に利用者等の承諾を得た上で、次に掲げる電磁的方法によることができることとしたものである。
(1) 電磁的方法による交付は、基準等条例第11条第2項から第6項まで及び予防基準等条例第12条第2項から第6項までの規定に準じた方法によること。
(2) 電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより利用者等が同意の意思表示をした場合等が考えられること。なお、「押印についてのQ&A」(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)を参考にすること。
(3) 電磁的方法による締結は、利用者等・事業者等の間の契約関係を明確にする観点から、書面における署名又は記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましいこと。なお、「押印についてのQ&A」(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)を参考にすること。
(4) その他、基準等条例第205条第2項及び予防基準等条例第92条第2項において電磁的方法によることができるとされているものは、(1)から(3)までに準じた方法によること。ただし、基準等条例若しくは予防基準等条例又はこの基準の規定により電磁的方法の定めがあるものについては、当該定めに従うこと。
(5) また、電磁的方法による場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
附則
この基準は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成27年9月30日公告第217号)
この基準は、公表の日から施行し、平成27年4月1日から適用する。
附則(平成28年7月22日公告第180号)
この基準は、公表の日から施行し、平成28年4月1日から適用する。
附則(平成29年6月6日公告第134号)
この基準は、公表の日から施行し、平成29年4月1日から適用する。
附則(平成30年9月3日公告第212号)
この基準は、公表の日から施行し、平成30年4月1日から適用する。ただし、第3のその1の4の(12)の①及び同(20)の③の改正規定は、平成30年8月1日から適用する。
附則(令和元年10月3日公告第114号)
この基準は、公表の日から施行する。
附則(令和3年9月15日公告第223号)
この基準は、公表の日から施行し、令和3年4月1日から適用する。
別表(第3のその2の2関係)
地域密着型通所介護の人員配置基準を満たすために必要となる介護職員の勤務時間数の具体例(単位ごと)
平均提供時間数 | ||||||||
3.0時間 | 4.0時間 | 5.0時間 | 6.0時間 | 7.0時間 | 8.0時間 | 9.0時間 | ||
利用者 | 5人 | 3.0時間 | 4.0時間 | 5.0時間 | 6.0時間 | 7.0時間 | 8.0時間 | 9.0時間 |
10人 | 3.0時間 | 4.0時間 | 5.0時間 | 6.0時間 | 7.0時間 | 8.0時間 | 9.0時間 | |
15人 | 3.0時間 | 4.0時間 | 5.0時間 | 6.0時間 | 7.0時間 | 8.0時間 | 9.0時間 | |
16人 | 3.6時間 | 4.8時間 | 6.0時間 | 7.2時間 | 8.4時間 | 9.6時間 | 10.8時間 | |
17人 | 4.2時間 | 5.6時間 | 7.0時間 | 8.4時間 | 9.8時間 | 11.2時間 | 12.6時間 | |
18人 | 4.8時間 | 6.4時間 | 8.0時間 | 9.6時間 | 11.2時間 | 12.8時間 | 14.4時間 | |
19人 | 5.4時間 | 7.2時間 | 9.0時間 | 10.8時間 | 12.6時間 | 14.4時間 | 16.2時間 | |
20人 | 6.0時間 | 8.0時間 | 10.0時間 | 12.0時間 | 14.0時間 | 16.0時間 | 18.0時間 |
(別紙)
給付管理業務の流れフローチャート