○長岡市男女共同参画社会基本条例
平成22年12月22日
条例第118号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 推進体制(第9条・第10条)
第3章 基本的施策(第11条―第23条)
第4章 苦情処理(第24条)
第5章 男女共同参画審議会(第25条)
第6章 雑則(第26条)
附則
我が国では、個人の尊重と法の下の平等をうたう日本国憲法の下、国際社会における取組みとも連動し、男女が性別による差別的な取扱いを受けないことを盛り込んだ男女共同参画社会基本法を制定するなど男女共同参画社会の形成に向けて様々な取組みが行われてきた。長岡市においても、ながおか男女共同参画基本計画の策定や男女平等推進センターの設置など男女の平等と共同参画を目指すまちづくりを推進してきた。
しかしながら、今もなお、性別で役割を固定的に捉える意識が残っており、家族内の暴力の問題や、家庭や地域生活での災害時における問題など、社会の様々な分野において、男女共同参画社会を形成する上での多くの課題が残されている。
さらに、少子高齢社会の到来により、家族形態や働き方が多様化し、仕事と家庭との間で問題を抱える人が多くなってきているとともに、人口の減少により地域活力が低下するなどの課題にも直面している。
このため、市、市民、事業者は、それぞれが責務を果たし、みんなでこれらの課題の解決に取り組んでいくことが必要である。
ここに私たちは、男女共同参画社会を形成することを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に実施することにより、男女共同参画社会を形成することを目的とする。
(1) 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が平等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担う社会を形成することをいう。
(2) 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス) やりがいや充実感を感じながら働き、仕事、家庭生活、地域生活等において子育て期、中高年期等の人生の各段階に応じた多様な生き方を選択し、及び実現できることをいう。
(3) 積極的格差是正措置 第1号に規定する機会について、男女間の格差を是正するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供する措置をいう。
(4) 市民 社会を構成する主体としての個人で、市内に居住し、又は市内へ通勤し、若しくは通学する者をいう。
(5) 事業者 市内で事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(6) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動を行うことにより相手方を不快にさせること、又は性的な言動を受けた相手方の対応により当該相手方に不利益を与えることをいう。
(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者等の親密な関係にある者の間で行われる身体や心に対する暴力的行為をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画社会の形成は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的な取扱いを受けないこと、男女が個人としての能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 男女の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が尊重されること。
(3) 性別で役割を固定的に捉える意識を反映した制度や慣行が男女の社会活動における自由な選択の妨げにならないよう配慮されること。
(4) 男女が対等な構成員として社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定に平等に参画する機会が確保されること。
(5) 男女が互いの性に関する理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関する互いの意思が尊重され、生涯にわたり安全で健康な生活を営むことができるよう配慮されること。
(6) 男女が性別に関わりなく能力を高め、社会を支える人材となるよう配慮されること。
(7) 男女共同参画社会の形成は、国際社会における取組みと密接な関係を有していることを考慮し、国際的な理解と協調の下に行われること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成を市における主要な政策として位置付け、地域の実情を踏まえた総合的な施策(積極的格差是正措置を含む。以下同じ。)を実施しなければならない。
2 市は、施策の実施に当たっては、国及び他の地方公共団体との連携によって効率的な推進を図り、市民及び事業者との協働により、これに取り組まなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、学校、職場、地域その他社会のあらゆる分野において、主体的かつ積極的に男女共同参画社会の形成に努めるものとする。
2 市民は、市が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、事業活動を行うに当たり、基本理念にのっとり、男女が性別にとらわれることなく、その能力を発揮できるよう必要な措置を行うものとする。
2 事業者は、その雇用する労働者が仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を図ることのできる職場環境を整備するよう努めるものとする。
3 事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(性別による差別等の禁止)
第7条 何人も、家庭、学校、職場、地域その他社会のあらゆる分野において、性別による差別的な取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他男女共同参画社会の形成を阻害する行為を行ってはならない。
(表現上の留意事項)
第8条 何人も、広く市民に情報を提供する場合において、性別を理由とする権利侵害を助長する表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 推進体制
(推進体制)
第9条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を進めるために必要な財政上の措置を行うとともに、必要な体制を整備するものとする。
(基本計画)
第10条 市長は、男女共同参画社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、第25条の規定により設置する長岡市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民及び事業者の意見を反映させるものとする。
3 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
4 前2項の規定は、基本計画を変更する場合について準用する。
第3章 基本的施策
(教育の分野における施策の推進)
第11条 市は、幼稚園、小学校、中学校その他の学校及び保育園並びにあらゆる教育及び学習の場において、男女共同参画社会の形成及び人権意識の確立に配慮した教育又は保育が行われるよう必要な措置を行うものとする。
(防災の分野における施策の推進)
第12条 市は、災害復興を含む防災の分野において、男女共同参画社会の形成が促進されるよう必要な措置を行うものとする。
(農林水産業及び商工業等の分野における施策の推進)
第13条 市は、農林水産業、商工業等で家族経営的な分野において、経営における男女の役割が適正に評価されるとともに、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって経営又はこれに関連する活動に参画できる機会が確保されるよう、環境の整備に努めるものとする。
(雇用の分野における施策の推進)
第14条 市は、雇用の分野における男女共同参画社会の形成を促進するため、事業者に対し、情報の提供その他必要な措置を行うよう努めるものとする。
2 市長は、必要があると認めたときは、事業者に対し、男女共同参画社会の形成に関し必要な事項について報告を求めることができる。
(仕事と生活の調和の推進)
第15条 市は、だれもが仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を図ることができるよう、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(人材育成)
第16条 市、市民及び事業者は、社会のあらゆる分野で男女共同参画社会の形成が促進されるよう人材の育成に努めるものとする。
2 市は、市民及び事業者の行う人材の育成等の取組みを支援するため、必要な情報及び積極的な学習機会の提供等に努めなければならない。
(市民及び事業者との協働)
第17条 市は、市民及び事業者が男女共同参画社会の形成に関する活動を行うに当たり、これらの者との協働に努めるとともに、情報の提供その他必要な取組みを進めるものとする。
(拠点)
第18条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を実施するための拠点として、長岡市男女平等推進センターを置く。
(調査及び研究)
第19条 市は、男女共同参画社会の形成に関する施策を効果的に実施するため、必要な調査及び研究を行い、その成果の活用に努めるものとする。
(年次報告)
第20条 市は、毎年度、男女共同参画社会の形成に関する施策の実施状況及びその評価について報告書を作成し、これを公表するものとする。
(広報活動)
第21条 市は、市民及び事業者の基本理念に対する理解を深めるため、広報活動、情報の提供その他必要な措置を行うものとする。
(相談窓口の設置)
第22条 市は、性別を理由とする権利侵害について市民及び事業者からの相談を受けるための窓口を設置するものとする。
2 市は、前項の規定による相談を受けたときは、必要に応じて関係機関と連携し、適切な措置を行うものとする。
(附属機関等における委員の構成等)
第23条 市長は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条の5第1項及び第3項に規定する委員会の委員及び委員を選任するときは、男女の数の均衡を図るよう努めるものとする。
2 市長並びに前項に規定する委員会及び委員は、地方自治法第202条の3第1項に規定する附属機関(以下「附属機関」という。)の委員その他の構成員を委嘱し、又は任命するときは、男女の数の均衡を図るよう努めるものとする。
3 任命権者(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第6条第1項に規定する任命権者をいう。)は、性別にとらわれない職域の拡大及び女性の積極的な登用を図るとともに、職員が性別にかかわりなく平等に研修を受けることができるよう配慮するものとする。
第4章 苦情処理
(施策に対する苦情への対応)
第24条 市民及び事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成を促進する施策又はこの促進を阻害する施策についての苦情(以下「苦情」という。)があるときは、市長に申し出ることができる。ただし、次に掲げる事項に該当するものは、この限りでない。
(1) 判決、裁決等により確定した事項及び裁判所において係争中の事案に関する事項
(2) 不服申立てを行っている審理中の事案に関する事項
(3) 地方自治法第242条第1項に規定する住民監査請求を行っている事案に関する事項
(4) 議会に請願又は陳情を行っている事案に関する事項
(5) もっぱら私人間の紛争の解決を目的としている事項
(6) 次条の規定により設置する長岡市男女共同参画審議会がすでに判断した事項
(7) 他の法令に基づき処理すべき事項
3 前2項に定めるもののほか、苦情処理に関し必要な事項は、市長が規則で定める。
第5章 男女共同参画審議会
(設置等)
第25条 男女共同参画社会の形成を総合的かつ効果的に促進する上で必要な事項を審議するため、市長の附属機関として長岡市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置くものとする。
2 審議会は、次の事項について、市長の諮問に応じ、調査及び審議をし、市長に対し答申するものとする。
(1) 男女共同参画社会の形成に関する基本的事項及び重要事項
(2) 第10条第1項の規定による基本計画に関する事項
(3) 前条第1項に規定する苦情に関する事項
3 審議会は、前項各号に定めるもののほか、男女共同参画社会の形成に関し、市長に意見を述べることができる。
4 前3項に定めるもののほか、審議会に関して必要な事項は、市長が規則で定める。
第6章 雑則
附則
この条例は、平成23年4月1日から施行する。