子どもは地域の宝。それを実践している存在が、長岡にはたくさんいます。その一人が母子保健推進員、“母推さん”と呼ばれるみなさんです。
時に優しく時に厳しく。子育ての悩みの相談に乗ったり、一緒に赤ちゃんの面倒を見たりして子育て世帯に寄り添っています。
長岡市は、昭和44年に母子保健推進員制度を開設し、今年で50年。市が委嘱し、現在は248人が活動しています。
安心して出産できるように妊娠期に妊婦を訪問しているのは、県内の市町村でも珍しいことです。市が開設した産前産後サポート事業「ままのまカフェ(下)」は母推さんからの提案で実現。協力して運営する体制は、全国で初めてのことでした。
ほかにも、家庭の事情に合わせて行政や関係機関、子育て支援事業を紹介するなど“子育てのつなぎ役”として、長岡版ネウボラの要を担っています。
親子の笑顔をつなげる母推さんが、長岡の未来を明るく照らします。
【問】子ども家庭課 ☎39・2300
長岡版ネウボラ…ネウボラとは男女共同参画の先進国で女性のほとんどが働くフィンランドの妊娠・出産・育児を切れ目なく支援する体制のこと。長岡市は、子育ての駅や子育て支援センター、母子保健推進員、助産師などと協力し、一人ひとりのニーズに合わせてきめ細かく支援します
妊婦や生後4カ月頃の赤ちゃんがいる全家庭を訪問し、市のサービスや地域の情報を届けています。要望に応じて個別訪問する「産前産後寄り添い訪問」も保健師などと協力して行います。
ゆっくりくつろげる雰囲気「産後デイケアる〜む『ままリラ』」は、産後6カ月くらいまでの親が子育てを相談したり、出産後の体を休めたりできる空間。子どものお世話や見守りに協力します。
母推さんが子どもを預かり、見守り触れ合ってくれる中で、母親同士の交流や気軽な相談ができます。
コミュニティセンターなど市内全地域40カ所で、たくさんの親子が参加できる育児講座や運動教室などを企画・開催しています。
長岡市母子保健推進員協議会会長
兒玉(こだま) 優子 さん
母子保健推進員になるには、特別な資格はいりません。必要なのは、人の心に寄り添う気持ちと熱意。母推の活動できる範囲は本当に幅が広いんです。
とにかく基本は、直接お母さんと赤ちゃんの顔を見て話をする訪問活動で、7カ月頃の妊婦さんや4カ月頃の赤ちゃん全ての顔が見られるのは、母推にしかできない大きな強みだと感じています。
“地域のお母さん”といったような立ち位置で、困った時や発散したい時に、私たち母推の顔が一番に浮かび、気楽にどんなことでも話をしたくなるような存在でいたいと思います。
4年前に県外から転入
三島 幸恵(ゆきえ)さん、佳帆(かほ)ちゃん
出産後すぐに、夫の転勤で長岡に引っ越してきました。住み慣れない環境での初めての子育ては、右も左も分からない不安ばかりの日々で、そんな苦しい時期に救ってくれたのが、豊田地区で母推をしている小宮山さん(右下写真)でした。
母推のみなさんが企画した親子フィットネスで知り合い、子育て以外の日常生活での疑問や悩みなど、何でも相談に乗ってもらいました。本当に感謝しています。
甘え過ぎたかな?(笑)とも思っていますが、知り合いのいなかった私たちには、家族のような存在です。