この梵鐘は、市内宮沢にあった禅幢山瑞麟寺のものです。
瑞麟寺は清瀧山尽未来際の置文によれば、応永19年(1412年)に創建されています。
泰簾門察年譜によると上杉謙信は父命により天文6年(1537年)に瑞麟寺五世門察和尚に預けられ、和尚の薫陶を受けています。
謙信がその門察和尚のために建立したのが常安寺で、開祖は謙信、開山は門察和尚です。
天分18年(1549年)瑞麟寺炎上により、梵鐘は常安寺に伝えられ保管されています。500年余りの戦国の世から上杉謙信・門察和尚・瑞麟寺・常安寺の変遷をこの梵鐘は見つめてきています。
この梵鐘の高さは74.8cm、口径62.8cmで周りを4区に分けて願文と大永3年(1523年)の年号が陰刻されています。
梵鐘の願文は「越後国古志郡禅幢山瑞麟寺堂前用之於是皇徳得普四海諸大旦越有増威光仏日増輝法輪常転聞者消衆罪脱前愆万歳繁繁護法安人率土豊穣必也 呈 大永三季癸末七月十九日 願主 檀越 道見」とあり、これを訳すと、「この鐘を越後国古志郡禅幢山瑞麟寺の堂前に用います。皇徳は四海にあまねき檀信徒の威光は増し、仏教の教えは日に日に栄えることでしょう。この鐘の音を聞く者は諸々の罪けがれが消え去り、仏の教えを守ることによって世の中は繁盛し作物は豊かに実ること間違いありません。時に大永3年7月19日 願主施主 道見」となります。
<新潟県指定文化財>