はるか向うに蒲原平野、そして眼下に長岡市街地を見下ろす森立峠に立つこの地蔵は、どこから見ても自分を見つめているように見えることから「見送り地蔵」と呼ばれています。
この峠の旧道は、かって栃尾と長岡とを結ぶ殿様街道と呼ばれた主要道で、人馬がはげしく往きかったといわれています。頂上付近にはこんこんと湧き出ている薬師清水があり、茶屋があった時代もありました。
見送り地蔵は高さ約2.6メートルの見上げるような大きな塔です。
基壇の上に蓮華台があり、それをもって軸部を支え、その上に宝珠のついた笠が乗っています。中心の軸部は1.2メートルあり、写真のような線彫りの延命地蔵尊が刻まれ、薄く紅色に塗られています。
線刻の、しかもこれ程大きな石仏は、栃尾郷においては他に見られません。柔和な顔立ち、長い切れ目、素朴でふっくらとした左右の手、袈裟や衣の流文など均整のとれた尊像に思わず手が合わさってくるのです。
<長岡市指定文化財>