像高85cm、桧材を用いた一木彫りです。漆箔(しっぱく)仕上げですが剥落が甚だしい。
髪は巻髪(けんぱつ)で、左側こめかみより垂髪を肩から上膊まで垂らし、頂上にはしゃ髻(けい)とよぶ花形の髻(もとどり)をいただいています。右手に利剣(りけん)、左手に羂索を持ち、眼尻をつりあげ、右目を大きく左目を細くした眇目(すがめ)の天地眼をしています。口は堅く結ばれていますが、右牙を上に、左牙を下に向けてしん笑の二相をなしているため怒気を感ぜず、むしろ慈悲の相があらわれています。
迦楼羅炎(かるらえん)の光背があり、鳥の頭部をはっきりと彫り出していますが、火炎は大まかです。
この像は同寺の本尊大日如来の脇侍として伝わってきたもので、作者は同じく脇侍として伝わっている毘沙門天と同一人のようです。南北朝時代の作です。
利別・・・人間の煩悩を破り抜く剣
羂索・・・すべての衆生を受け入れ済度するしるし。
しん笑・・・怒ることと笑うこと。
<長岡市指定文化財>